カンボジア定期預金は米ドル建で金利年5.00%です。
つまり、100万円預金すると1年間の利息で約5万円得られる(※)ということです。
※日本円表記で分かりやすいように1USD = 100円のレートで計算、為替によって変動します。
正式には、1万USD預金すると定期預金米ドル建5%で1年間の利息500USD得ることができます。
目次
カンボジアの銀行の定期預金金利

カンボジアの銀行の定期預金の預金期間が長期になると金利は高くなり、3年で6%になります。

これを見てしまうと、日本の銀行に資産を眠らせておくのはもったいない気もしますよね。
プノンペン商業銀行
実は、ジャパンデスクがあり日本人が常駐しているプノンペン商業銀行もあるのです。


プノンペンには支店やATMが多く、アプリやネットバンクも充実していて非常に便利です。
また、プノンペン商業銀行は、現地通貨リエル建て社債発行をSECCに申請し、2020年4月10日に承認されました。
同行は新型コロナウイルスの感染動向を考慮して、社債800億リエルを400億リエルずつ2回に分けて資金調達する予定で、債券の満期は3年、年間表面利率は6.5%となる予定です。
カンボジアでは2017年8月、国内の証券業界全体の管理運営を行うSECCが社債発行に関する規制を定めたことにより、資金調達を目的とした社債発行が可能になりました。
カンボジア証券取引所(CSX)に社債を上場する商業銀行としては2例目に当たります。
今後の展開が楽しみです。
カンボジアの通貨・金融事情
次に、カンボジアの通貨や金融情報を紹介します。
米ドルとリエルが流通
世界経済の成長センターである東南アジア諸国のなかでも、特に大きな可能性を持つのがカンボジアです。
現在置かれている環境やタイミングからみて投資対象としてのポテンシャルが非常に高いことは、金融・経済事情からも明らかです。
数年前には、カンボジアでの高金利米ドル預金が密かなブームになったことがありました。
カンボジアには法定通貨としてリエルがありますが、プノンペンなどの都市部や商取引などでは米ドルが流通していて、むしろこちらの方が主要通貨のような扱いです。
銀行でも米ドル建ての口座を作れますし、さらに一時は1年定期の利率が7%台などという高金利の銀行もありました。
日本の信用金庫的な位置づけの金融機関であるマイクロファイナンスでは、さらに高利率の定期預金も珍しくありません。
日本の数百倍という驚くべき条件です。
カンボジアの金融制度:銀行口座
そのようなことが可能になるカンボジアの金融制度は一体どのようになっているのかは、誰もが興味を持たれることでしょう。
カンボジアに居住している人間であれば、誰でも自由に銀行口座などを開設できます。
銀行によっては非居住者でも口座を開けます。
口座ではカンボジアの法定通貨であるリエルと同様に米ドルも利用可能です。
また、外国為替法により、居住者はカンボジア国内で自由に外貨を保有することが認められています。
米ドルとリエルによる一種の2重通貨制がカンボジアでは日常です。
都市部などでは米ドルでの取引が普通で、リエルはおつりなどに利用されるケースが多く、まるで補助通貨のように扱われています。
米ドルの流通性が高いので、両替所などでリエルを米ドルに交換することも至極簡単です。
その際の交換レートは場所や施設によって異なりますが、過去15年の間
の比較的安定した為替レートが続いてきました。

カンボジアの金融制度:小切手
一方で、カンボジア国内での決済手段に広く利用されている存在に小切手があります。
国内送金であっても、必ずしも全体的に効率的な決済のネットワークが整備されているわけではありません。
銀行送金は、銀行によってはカンボジア国内のどの銀行口座にもアプリなどのインターネットバンキングから可能です。
しかし、まだ対応していない銀行もあり、時間と手間がかかるケースが多いことから、小切手の利用も一般的なのです。
また、口座振替システムがまだ未熟であるため、現金以外では電子送金と小切手の利用が多いと言えます。
近年は、都市部を中心にクレジットカードの使用も徐々に普及してきています。
ただし、カンボジア中央銀行は中長期的にはリエル使用を促進していくという方針を持っているようです。
納税やカンボジア証券取引所での取引にはリエルが使用されます。
金融機関の種類
金融機関の種類は、
・ 主に預貯金・ローンなどを扱う商業銀行
・ カード決済やローンなどのサービスに特化した専門銀行
・ 主に貸付事業を行うマイクロファイナンス
・ 農村部に特化した貸付業者
・ 電子マネー窓口
・ 両替所
などがあります。
事業者の内訳は、
マイクロファイナンス:81
農村信用事業者:273
ファイナンス・リース:15
その他:6
です。
カンボジアの通貨
カンボジアでは自国通貨であるリエル以上に米ドルが流通しています(紙幣のみで硬貨は使用できません)。
500リエル札のモチーフは日本のODAで造られた日本橋で、日本の国旗が描かれています。
外国の紙幣に他国の国旗が描かれるのは、非常に珍しいことです。
インドシナ時代はフランス領インドシナ共通の通貨が発行されており、カンボジアの独自通貨が発行されたのは1954年のことです。
口座保有

全銀行の預金口座数は2018年時点で420万口座、証券口座だけで2万525口座あり、銀行数・ATMとともに増えています。
都市部では預金口座数が増加し続けていますが、農村部ではまだ持たない人が多いというのが現実です。
農村部には銀行の数がまだ少ないということも理由ではありますが、内戦中に当時の紙幣の価値がなくなり、戦後に新しい紙幣が発行され以前の紙幣がキャンセルされたことから、銀行・リエルを信用していない人が多いということも理由のひとつです。
電子マネー送金
そうした事情からまだ銀行よりもWingやTrueMoneyのような送金口座を持つ人も多いので、外国人が想像するほど不便ではない印象です。
WingやTrueMoneyは窓口やアプリから送金が可能であるため遠方にいても問題はなく、送金者と受取人がどちらも口座を持っていなくても、手数料は掛かりますが、携帯電話番号さえあれば送受金が可能です。
また、年会費は6~7ドルと安価で、口座を持っている場合には手数料は掛かりません。
米ドル流通の歴史
カンボジアには自国通貨であるリエルが存在しますが、発行当初は内戦の経験からリエルに対する信用は著しく低かったという事実があります。
内戦後の国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の元で行われた大規模な国際支援により、援助資金として米ドルが大量に流入しました。
UNTACは外国人のドル払いを許容したため、米ドルが経済取引に盛んに取り入れられ、米ドル化が加速したというわけです。
1993年に国連暫定統治が終わりましたが、政情不安定のため外国からの政府の借り入れや援助によって政府資金運用や公共事業は行われていました。
外貨はそのまま政府によって利用され、カンボジア国内のドル供給量は増加を続けていきました。
法定通貨はリエルであり、実際に米ドルが公式の法定通貨として承認されているわけではありませんが、通貨の使用状況は事実上のドル化となっています。
カンボジア政府はリエルの利用拡大を推し進めていますが、依然として市場におけるリエル使用率が低いというのが現実です。
カンボジアで口座開設・預金するリスクと注意点
最後に、リスクを含めた注意点を説明します。
為替レートにより、ドル建てによる損失もあります。
また、日本と異なり、預金補償(経営破綻等)はありませんのでご注意ください。
入金後は、預金引き出しや変更等、現地でしか手続きできないことも多くありますので、事前に銀行の日本人スタッフからの説明をきちんと受けるようにしてください。(執筆者:宅地建物取引士 荒木 杏奈)