高校授業料に関しては授業料補助の制度「高等学校等就学支援金」がありますが、所得に応じてどれだけ補助されるかも変わります。
正確には住民税の額によるのですが、住民税額はふるさと納税を行うと引き下げることができます。
このことを問題視する自治体があり、ふるさと納税が影響しない基準となりました。
基準を理解するには、住民税の理解も必要です。
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目次
私立高校授業料の支援金(従来の基準)
従来、高等学校等就学支援金の基準は住民税(道府県民税+市町村民税)の所得割額でした。
所得割額50万7,000円未満の場合、(公立高校の授業料にあたる)年11万8,000円(月9,900円)が補助されます。
私立の高校生に対しては加算支給もあり、所得割額25万7,500円未満は年額17万8,200円、8万5,500円未満は年額23万7,600円、非課税の場合は年額29万7,000円と1.5倍~2.5倍になります。
ふるさと納税を行うと基準となる所得割額が下がるため、大阪府などから批判もありました。
2020年7月からの新基準
2020年7月から補助される分に関しては、下記の金額を基に金額が決まります。
市町村民税の課税標準 × 6%(市町村民税の標準税率)-市町村民税の調整控除
課税標準は、課税対象の所得合計と見てください。
調整控除は、扶養控除など本人や家族の状況による控除がある場合に、所得税と住民税の控除差額に基づいて控除されるものです。
私立高校全日制の場合、この基準額が15万4,500円未満であれば約39万6,000円、30万4,200円未満であれば11万8,800円が支援金額です。
実質的には市町村民税の所得割額と言っても良い基準ですが、支援の拡充と引き換えに、見事にふるさと納税で下がらない基準にされました。
ふるさと納税を含む寄附金税額控除のほか、配当控除・住宅ローン控除・外国税額控除といった「税額控除」で引き下げられる基準ではなくなりました。
13種類の所得控除は引き続き考慮される
課税標準(課税所得)とは、所得控除を差し引いた後の所得合計を指します。市町村民税(住民税)における所得控除は、下記の13種類を指します。
・ 社会保険料控除
・ 小規模企業共済等掛金控除
・ 生命保険料控除
・ 地震保険料控除
・ 寡婦・寡夫控除(*)
・ 勤労学生控除(*)
・ 障害者控除(*)
・ 配偶者控除(*)
・ 配偶者特別控除(*)
・ 扶養控除(*)
・ 基礎控除(*)
・ 雑損控除
・ 医療費控除
(*)は所得税と住民税で控除額が異なり、調整控除の算定対象
※2021年度(令和3年度)からは寡婦・寡夫控除は寡婦・ひとり親控除となります。
上記に該当する控除は、年末調整や確定申告を行っておくことが、高校授業料補助を受けるにあたって重要になります。
また、上場株式等の配当・譲渡所得(源泉徴収のあるもの)は申告すると市町村民税の課税標準に組み込まれるため、確定申告もしくは住民税の申告不要制度をうまく活用することで有利になります。(執筆者:石谷 彰彦)