2019年、金融庁が公表した報告書に端を発する「老後資金2,000万円」は、後に報告書そのものが撤回されました。
しかし、老齢年金だけではリタイア後の生活が維持できないかもしれないという問題を認識させました。
老齢年金の改善が期待しづらい状況で、支給開始までの期間の長い若年層ほど、年金制度への不安感が大きく、資産運用を用いた自助の道を模索しているようです。
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相談者の悩み

20代~30代の比較的若い方から相談をいただくことが多いテーマです。
資金計画は定期的な見直しが必要
給与の一部をNISAやiDeCoなどの優遇制度を利用して定期的に積立るなど、資産運用を行っている方は、近年では珍しくなくなってきました。
しかし、資産運用によって収益を得られたとしても、その成果は目的としている金額に達しているのでしょうか。
2,000万円を資産運用によって用意する場合、必要な積立額は資産運用のリターンによって変化します。
資金準備にはマネープランの作成が大切
仮に40年間でリターンが年利2%であるならば、毎月2万7,500円の積立が必要です。
しかし、年利4%ならば1万7,500円となり、運用成績によって積立額を見直すことが理想です。
また、準備期間が短くなればなるほど、積立額が増加したりより大きなリターンが必要になるため、資金計画は厳しいものになります。
無理なく資金を準備するには、マネープランを作成し、例え少額でもなるべく早い時期から着手していくことが大切です。
資金計画を柔軟に見直しリスクを下げる

資産運用による収益拡大は理想的ですが、金融商品の選択や市場環境によっては損失を抱える場合もあります。
また、資産運用ではリスクとリターンは等価となっており、大きな不足金額を資産運用によるリターンで補おうとする場合、それに応じたリスクを許容することになります。
老後資金2,000万円を資産運用で貯めることも、もちろん可能です。
しかし、投資期間の減少や運用成績の達成度合いによって、資金計画を柔軟に見直す必要があります。
資産運用による収益は不足額を補う程度に考えよう
資金の不足額や運用成績の未達成などを把握できていないと、精度の高い資金計画が得られないばかりか、
・ 不足額を補うためによりリスクの高い投資が必要
となってしまう恐れがあります。
基本的には預貯金・退職金・老齢年金をベースとし、資産運用による収益は不足額を補う程度に考えておいた方がいいでしょう。(執筆者:菊原 浩司)