「厚生年金」とは、厚生年金法に基づいた日本の公的年金の1つで、主として会社員や公務員などの被用者のための年金です。
その目的は労働者の老齢や障害や死亡に対して保険給付を行うことで、生活の安定と福祉の向上に寄与することです。
その厚生年金の老齢のための給付として、老齢厚生年金があります。
老齢厚生年金は会社員や公務員などの労働者にとって老後のためのとても重要な年金ですが、意外にどのような条件で受給できるかを知らない人が多いと思われます。
今回は、老齢厚生年金の受給できる条件について詳しく解説していきます。
目次
厚生年金の特徴
厚生年金に加入する人は、会社員、公務員、教員、船員などの労働者で、国民年金にも第2号被保険者として同時に加入します。
厚生年金保険料は、給料からの天引きで勤務先と折半で支払います。
また、厚生年金保険料を支払うことで、国民年金保険料も納付済期間として計算されます。
そのため、老齢のための年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給できることになります。
老齢厚生年金の受給要件
老齢厚生年金は、以下の条件を満たした人が原則65歳から受給できます。
・ 老齢基礎年金の受給資格を満たしていること(国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が10年以上)
また、生年月日によっては、65歳になる前から特別支給の老齢厚生年金を受給できます。
男性の場合は昭和36年4月1日以前、女性の場合は昭和41年4月1日以前に生まれた場合です。
特別支給の老齢厚生年金とは、受給開始年齢60歳だった旧厚生年金法(1986年3月31日まで)を段階的に受給開始年齢65歳の現厚生年金に合わせていくための特別な措置です。
そのため、生年月日が早い人ほど定額部分や報酬比例部分の老齢厚生年金がより60歳に近い年齢で支給されます。
そして、昭和36年4月1日より後に生まれた男性と、昭和41年4月1日より後に生まれた女性は、特別支給の老齢厚生年金を受給できません。
参照:日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金について」
受給資格を満たしているか確認を
このように、老齢厚生年金を受給するためには老齢基礎年金の受給資格を満たすことが必要です。
過去に少しでも会社などに勤務していた人は、厚生年金の被保険者だった可能性があります。
また、パートで働いていた人も、厚生年金保険料を払っていた可能性があります。
厚生年金の被保険者だった期間が1か月でもある人は、老齢厚生年金を受給できる可能性がありますので調査をしてみるとよいでしょう。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)