緊急事態宣言が解除されて1か月余りが経過し、少しずつですがコロナ以前の生活が戻りつつあります。
しかし、いざ街へ出てみると、入店時の消毒の徹底やレジのビニールシートの壁などを見る限り、完全にコロナ以前の生活に戻るのは当面先だと感じます。
そこで飲食、小売業の月次既存店売上・前年同月比(以下既存店売上)を100社以上比較し、
・ その業種の中で特に有望な銘柄は何か
について、検証しました。

目次
自転車販売:あさひ(証券コード:3333)
自転車販売の会社で、あさひ(証券コード:3333)があります。
「asahi」という看板を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
あさひの既存店売上の推移は、
と、今回比較を行った企業の中でナンバー1の伸びを示しています。
これは、電車での通勤や通学をやめて、自転車に変える人が増えたことが理由として予想されます。
通勤・通学手段の変化は一過性のものなのか、今後継続するのか、あさひの既存店売上をチェックしていく必要があるでしょう。

回転寿司チェーン
飲食店全体の既存店売上の平均(5月)71.3% →(6月)83.0%に対し、回転寿司チェーンの平均は
と、緊急事態宣言の前後で飲食全体を上回っています。
以前に「ファミリー+テイクアウト」を根付かせる企業からお宝株が見つかるかもしれない、という記事を書かせていただきました。
回転寿司チェーンはテイクアウトにも力を入れており、まさに「ファミリー+テイクアウト」銘柄と言えます。
スシローGH(証券コード:3563)、くら寿司(証券コード:2695)
特に注目すべきは、スシローGH(証券コード:3563)、くら寿司(証券コード:2695)でしょう。
6月の既存店売上は、スシローが97.9%、くら寿司が97.4%とほぼ前年と同じ水準まで回復しており、人気の高さがうかがえます。

ファミレスは回復が鈍い
一方で、回転寿司チェーン同様ファミリーをターゲットにする、ファミリーレストランチェーンの既存店売上は回復傾向であるものの、依然お客さんが戻っていません。
大手のすかいらーく(証券コード:3197)とサイゼリヤ(証券コード:7581)の6月の既存店売上は、それぞれ70.8%、66.5%と飲食全体の平均を下回っています。
コロナ禍でも行きたいと世間のみなさんが考えるお店を厳選すれば、逆風の飲食銘柄でも利益が出せる確率は上がるでしょう。
さらに株主優待実施企業であれば、株主優待を利用してお店を応援しつつ、お客が戻っているかなどの店内調査をするのもよいでしょう。
ホームセンター
ホームセンターの既存店売上の平均は
と、緊急事態宣言の前後で売上が伸びています。
これはコロナ関連商品等、生活必需品を扱うお店として休業要請の対象とならず、緊急事態宣言中も開店していたことや、ステイホームでDIYやガーデニング需要があったことが理由でしょう。
スーパーは6月に入り減少傾向
それでは、ホームセンターと同様に休業要請の対象外であった
と考える方がいらっしゃると思います。
しかし、スーパーマーケットの既存店売上の平均は(5月)111.7% →(6月)104.7%と、依然高い数字ではありますが6月に入って減少傾向です。
これは6月に入り学校や出社が再開されたことで、家で食事する回数が減り、食費が減ったことが要因でしょう。
ケーヨー(証券コード:8168)、コメリ(証券コード:8218)、ナフコ(証券コード:2790)
ではなぜホームセンターの既存店売上は減少しなかったのでしょうか。
理由の一つに、自粛中の生活スタイルが根付いたことがあります。
自粛中に始めたガーデニングを継続している人や、ペットを飼い始めてケージや餌などのペット代が継続して発生する人が増加しているのです。
注目銘柄として、ケーヨー(証券コード:8168)とコメリ(証券コード:8218)を紹介します。
どちらも6月の既存店売上は120%を超えるほど好調であり、4月から6月にかけて右肩上がりで既存店売上が増加(あくまで前年同月比)しています。
また、ナフコ(証券コード:2790)は予想PERが8.4倍と他のホームセンター銘柄に比べて割安であるため、指標面でナフコに注目するのもよいでしょう。

新しい生活様式を味方につける企業を見つけよう
今回は飲食・小売業の既存店売上を比較しましたが、コロナに強い業種及び企業を見つけることができました。
他にもいろいろな視点で比較をすることで、ぜひ自分だけのお宝株を見つけてみてください。(執筆者:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)