新型コロナウイルス拡大防止策の緊急事態宣言が解除され、小売店では夏物商戦がスタートしています。
夏季ボーナスは例年と比較してみると低調な企業が多かったものの、政府による1人10万円の特別給付金の後押しもあり、リベンジ消費と呼ばれる動きも見られるようになりました。
その中でも売上が好調に推移しているのが、大型家電であるエアコンです。
コロナの第2波も懸念されている現在は、巣篭り生活を見据えて購入へと踏み切る人も多い様子です。
そこで、今回紹介するのは、エアコンの買い替え時期の見極め方についてです。
まだ問題なく使えているエアコンでもある程度の年数を超えているのであれば、新たに買い換えたほうがお得な場合もあります。
これを機に自宅のエアコンをいま一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
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目次
エアコンの寿命はだいたいどのくらいなのか
エアコンの買い替え時期の見極めポイントとしてまず知っておきたいのが、エアコンの寿命についてです。
エアコンはどの程度の期間使用できるのでしょうか。
エアコンの平均寿命は10~14年程度
エアコンはメーカーや種類、使用頻度によっても寿命は異なりますが、一般的に家電量販店などで販売されているエアコンは、メーカー側が指定している標準使用期間が10年であることから平均寿命も10年程度と言われています。
しかし、最近のエアコンは性能や品質も年々アップしてきており、10年以上問題なく使用できるケースも少なくありません。
内閣府が発表している「消費動向調査」では、家電製品使用者を対象としてエアコンの使用年数調査を実施しています。
参照:一般財団法人 家電製品協会「家電製品使用年数調査報告書(pdf)」
2018年度の統計調査によると平均13.6年ほどで買い替える人が多いという調査結果が記されています。
その買い替え理由は、約7割の人が故障と回答しています。
参照:内閣府「消費動向調査 主要耐久消費財の買替え状況の推移(二人以上の世帯)(exl)」
実際に10年以上経過して使用し続けているエアコンは、新型のエアコンと比較すると故障率は2倍以上とも言われています。
こまめに掃除やメンテナンスを行っている場合には14年程持つこともあるかもしれませんが、そうでなければ10年ちょっとで故障するタイミングが訪れると考えておいた方がよいと言えます。
メーカーごとに部品の保管期間が決められている
10年以上経過したエアコンが故障した場合には、修理が高額になってしまう可能性もあります。
エアコンに使用されている性能部品やパーツの最低保有期間というものが各メーカーで定められていて、一定期間を経過してしまうとその部品を探すのが困難だからです。
保有期間はメーカーによって多少バラつきがあるものの、おおむね9~10年と設定しているところがほとんどです。
従って、修理代が高額となってしまう場合があるほか、部品を破棄してしまっている場合には修理を依頼しても対応してもらえない可能性もあります。
エアコンが故障して修理に出すか買い替えるか迷った場合には、まずは部品の最低保有期間のチェックをするようにしましょう。
ちなみに、専門業者にエアコンのクリーニングを依頼した場合、最低保有期間によって「9年以上経過しているエアコンのクリーニングは万が一の際保証できないこともあります」と受付時に事前案内をするところも多いようです。
エアコン買い換え時はこんなサインを見逃さない

エアコンに次のような兆候が見られたら、買い替えを検討するのがよいかもしれません。
なかなか部屋が冷えない or 暖かくならない
冷暖房がなかなか効かなかったり、時間がかかったりする場合に、まずはエアコンの洗浄やフィルターの掃除を行ってみましょう。
それでも改善されないのであれば、冷媒ガスの容量が低くなっている、もしくは漏れてしまっている可能性が考えられます。
この場合修理で対応も可能ですが、修理代が数万円と高額になる傾向にあります。
エアコンから水滴がポタポタ垂れてくる
エアコンから水滴が落ちてくるというのもよく見られる現象の1つですが、エアコン内部が汚れているために結露が発生して生じるケースが多いと言われています。
しかし、なかには排水に必要となる箇所が折れているなどの部品交換が必要となる場合もあります。
また、原因が分からないときには、完全分解して清掃や確認する場合もあるようです。
そうなれば、修理代も高額なものになってしまうことでしょう。
異音がする
エアコンから変な音が聞こえてくる場合には、本体の送風ファンや室外機のコンプレッサーなどの故障が予想されます。
特に室外機は本体よりも故障するケースが起こりやすいと言われています。
しかし、なかには本体のフィルターの目詰まりが原因の場合もあるようです。
まずはフィルターの掃除を行ったうえで、故障場所をチェックするようにしましょう。
変な匂いがする
エアコンを稼働させた際に異臭がする場合は、フィルターやエアコン内部にカビが発生しているのが原因の場合がほとんどです。
フィルターであれば自身で処理も可能ですが、本体内部であれば専門業者によるクリーニングが必要です。
業者によってもクリーニング代は異なりますが、だいたい1万円前後が相場のようです。
修理費はどのくらいかかるものなのか
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こちらの表は三菱電機のホームページ内に掲載されている修理概算料金表です。
数千円で対応できる内容であれば修理に出す方がよいのですが、数万円かかるもので且つエアコンの年数もそれなりに経過しているのであれば、買い替えを検討した方がよいと言えます。
各メーカーでも公表されているので、故障した際には参考にしてみてください。
電気代を比較してみるのも方法
エアコンを実際に買い替えた人の約7割が故障による買い替えと回答したように、エアコンの寿命が来るまでは使い続けようと考えている人がほとんどではないでしょうか。
エアコンは高いものであれば10万円以上するため、一時の負担を考えるとそのような結論に達する気持ちも理解できます。
しかし、ここで注意してもらいたいのが買い換えた方が電気代が安くなり、トータルで見ればお得となるケースもあるということです。
最近のエアコンは省エネ化を謳っているものが多いのですが、エアコンの省エネ化が飛躍的に進んだのは2000年前後からです。
それ以前のエアコンであれば消費電力量も多く必要とし、電気代もかなり嵩んでいると考えられます。
では次の表を見てください。
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参照:資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2017年冬版(pdf)」
※2.8kWh・8~12畳・電気料金27円/kWhで算出
上記は2007年と2016年式のエアコンを比較したものですが、2016年のものは年間で4,698円もお得となり、数年間使えば万単位で差が出てくることが分かります。
また、実際に使用しているエアコンメーカーのものでもっと具体的に電力や電気代の差を知りたいという場合には、環境省が公開している「しんきゅうさん」という比較サイトもおすすめです。
エアコンをはじめ、テレビや冷蔵庫、照明器具等各メーカーの型式を入力するだけで、年間どのくらいの電気代が必要となり、どの程度お得となるのかを簡単に算出してくれます。
家電製品の選び方や豆知識など他コンテンツも充実しているので、買い替えを検討している人はぜひともチェックしてください。
猛暑を乗り切るためにエアコンを再チェック
近年、熱中症による搬送や死亡事故数は増加傾向にあります。
エアコンが突然のトラブルに見舞われて稼働しなくなってしまった場合には、修理するにしても買い替えるにしても数日を要してしまいます。
これからやってくる猛暑を安全に乗り切るためにも、このタイミングでエアコンの買い替えについて検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:元銀行員 吉村 みき子)