最近は新聞やテレビなどを見ていると、金の価格が高騰しているというニュースをよく見かけます。
この理由について調べてみると、「有事の金買い」という言葉が示すように戦争や大規模な自然災害などが発生すると安全資産である金が買われる場合が多いということです。
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2月頃から金の価格が上昇している理由
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2020年2月頃から、新型コロナウイルスが世界的に流行したために今回も有事の金買いが起きたと推測されます。
また、新型コロナウイルスが流行した直後に、世界各国で積極的な財政出動や金融緩和を相次いで実施されました。
これが将来的なインフレ(物価が持続的に上昇していく経済現象)を予感させたので、「インフレに強い」イメージがある金を多くの人々が買い始めたと推測されます。
なお、デフレ(物価が持続的に下降していく経済現象)で景気が悪化すると、企業や国家の信用不安が高まり、株式や債券の価格が下がりやすくなります。
これにより破綻リスクの少ない金が投資対象として注目を集めるため、金はデフレにも強いという側面があります。
採掘可能な金が枯渇するという予想がある
金の価格の見通しについて調べてみると、これからも上がるという強気派が多かったのですが、これからは下がるという弱気派もいました。
個人的には「調整の売りにより短期的に下がることがあっても、長期的には上がる」と予測しております。
このように考える主な理由は、あと10年~20年程で採掘可能な金が枯渇するという見解があるからです。
一方で将来的には金の採掘技術が向上するなどの理由により、採掘可能な金は枯渇しないと予想する方もいます。
どちらが正しいのかは現時点では分かりませんが、金の供給が減って希少性が意識されるようになれば、たとえ枯渇しなくても金の価格は上がっていくと思います。
年金財政検証で示された国民年金の積立金の枯渇

厚生労働省は2019年8月に、5年に1度のペースで実施される財政検証の結果を公表しました。
また、財政検証では、経済成長と労働参加の数値を変えた6つのシナリオが示されました。
この中で経済成長と労働参加が最も進まないシナリオでは、2052年度に国民年金の積立金が枯渇するという結果になりました。
公的年金の財源は、
・ 国庫(税金)
・ 積立金(元本の取り崩しと運用収入)
の3種類から成り立っていますが、積立金の割合は1割程度と言われています。
従って、
と考えられます。
ただし、財源のひとつがなくなってしまうのですから、年金受給額が減ってしまう可能性はあります。
もちろん、現役世代から徴収する保険料や消費税率などを引き上げれば年金受給額を減らさなくてもよいのですが、これはかなり高いハードルです。
なお、厚生労働省は
ようです。
もしもこれが現実になった場合には、厚生年金保険の積立金が国民年金のために使われてしまうため、厚生年金保険の加入者である会社員などから反発が起きるかもしれません。
金の比率は1割くらいに止めておく
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実物資産である金には「債券や株式などのペーパー資産にはないメリット」があるのですが、利息や配当が付かないというデメリットもあります。
従って、資産配分を決める際には、金の比率をあまり高くしない方がよいと言えます。
たとえば、アメリカの有名なファンドマネジャーのレイ・ダリオ氏が個人投資家に推奨している「オールウェザー・ポートフォリオ」は、次のような比率になっています。
・ 中期米国債(7年~10年満期):15%
・ 長期米国債(20年~25年満期):40%
・ 金:7.5%
・ 金以外のコモディティ:7.5%
このような比率の理由は、
ということのようです。
また、この4つの季節の中で金の価格が上がるのは、経済成長とインフレがやってきた時のようです。
世界各国の積極的な財政出動や金融緩和によってもうすぐインフレの季節がやってくる可能性がありますが、金に対する積極的な投資は控えて資産の1割程度に止めた方がよいというわけです。
金投資は少額から手軽に始められる
あくまでも現時点での予想にすぎませんが、採掘可能な金が枯渇、または金の希少性が意識されて価格が上がっていく時期と、年金積立金の枯渇が現実的な問題になる時期は近い可能性があります。
このことから、
と思います。
金の購入方法にはさまざまな選択肢がありますが、
・ 貴金属商などが実施している純金積立
・ 金の価格に連動するインデックスファンドの積立
であれば少額から手軽に始められます。
いづれも最初に仕組みを作ってしまえば後は自動的に購入されるので、購入のタイミングを判断する必要がありません。
それに加えて「NISA」や「iDeCo」を通じて金の価格に連動するインデックスファンドを購入しておくと、これを売却した際には利益に対する税金がかかりません。
こういった選択肢の中から自分に合った方法で金を購入し、それほど遠くない未来にやってくる年金積立金の枯渇に備えるのがよいと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)