先日、ニュースで「在宅ワークが広がり、実家に戻って高齢になった両親と同居する人が増えている」という特集を目にしました。
私も、昨年から両親と同居を始めました。
そこで「両親を扶養に」と考えたのですが、ひと言に扶養と言っても本当にいろいろな側面があり、どうすればいいのか非常に悩みました。
今回は、親を扶養に入れたときの体験談と、学んだことと、失敗点をご紹介します。

目次
「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の違い
「扶養」には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
この2つを理解しておくだけで、扶養についての手続きがスムーズに進みます。
誰にメリットがあるのか
「税法上の扶養」とは、主に扶養する側が所得税・住民税等の税金に関する優遇を受けられます。
つまり私の場合だと、扶養している私の税金が安くなったという事です。
それに対して、「社会保険上の扶養」は主に、健康保険や厚生年金に関して、扶養される側の人が優遇を受けられます。
扶養される側の人とは、私の場合でいうと両親に当たります。
具体的なメリット
「税制上の扶養」では、扶養する側の人が年末調整や確定申告をすることで、38万円を所得から控除できます。
同居の親が70歳以上になると、控除額は上がり、同居していれば58万円、同居していなくても48万円の控除をすることが可能です。
所得から控除するということは、税金の計算をする際の所得が低くなるので、結果的に所得税や住民税が安くなるという事です。
一方、「社会保険上の扶養」では、扶養される側の人が、自分で社会保険料を払わなくても、社会保険の制度の適用を受けられることを言います。
社会保険とは「公的医療保険、公的年金、介護保険、労災保険、雇用保険」の事をいいます。
これらすべての制度に対して適用を受けられるわけではありません。
公的年金でメリットがあるのは、配偶者が扶養されている場合です。
今回、私の場合には両親でしたので、公的年金に関しては特にメリットはありませんでした。
労災保険や雇用保険も、関係ありませんでした。
優遇を受けられたのは、公的医療保険だけでした。
介護保険に関しては、むしろデメリットがありましたので、これについては後ほど詳しくご説明します。
公的医療保険に関しては、安い保険料で両親も私と同じ健康保険組合に加入でき、健康診断も無料で受けられたことはよかったと思います。
保険料は、私が払っている保険料に両親の分を上乗せして払う仕組みです。
保険料の仕組みについても健康保険組合によって異なりますので、一概には言えませんが、私の両親の場合は、ほんの少しだけ、市の国民健康保険より高くなりました。
健康保険組合によって、扶養親族が受けられるサービスは異なります。
金額だけでなく制度面でどのようなサービスを受けられるのか、事前に確認しておいた方がいいでしょう。
うちの会社の場合は、あまり充実していなかったので、メリットは健康診断が無料になったことくらいでした。
しかし、会社によっては充実したサービスを提供している健康保険組合があるらしいので、(父の会社は大手だったので、かなり充実していたらしいです。)ぜひ確認をしてみることをおすすめします。
会社によっては、納める保険料以上に充実したサービスを受けられる場合もあるようです。

注意した方がいいこと
私が両親を扶養に入れた際に、失敗したと思ったところは、介護保険料についてです。
各自治体が取りまとめている介護保険料に関しては、扶養という概念がありません。
両親を扶養に入れていても、介護保険料の請求は両親に直接来ます。
そして、介護保険料は安くなるどころか、逆に高くなってしまう事があるのです。
介護保険料の計算は、その年の4月1日時点の世帯収入で決まるので、私が両親と同居した際に世帯収入が上がり、結果、両親が払う介護保険料が上がってしまったのです。
介護保険料は年間で4万円程支払いが多くなり、結構な損失でした。
後で気が付いたのですが、世帯分離という方法で介護保険料を節約できます。
住所変更した時に、世帯分離をしておくべきだったのですが、介護保険料の事まで考えていませんでした。
世帯分離とは、1つの世帯を2つ以上の世帯に分けて住民票に登録することです。
世帯が2つになっても、同じ家に住み続けられますが、世帯主が2人になります。
つまり、私の場合だと、(父、母、私)で1つの世帯にしていたのを、(私)の世帯と(父、母)の世帯に分離するという手続きです。
この世帯分離の手続きをしておくことで、両親の世帯年収は今まで通りなので、介護保険料の上昇を抑えられたのです。
税務署に問い合わせたところ世帯分離をしても、親の年間所得が48 万円以内であり、かつ「親に生活費を送る」で親子の生計が一緒だと認められるので あれば、所得税の控除は使えるということでした。
公的医療保険については、健康保険組合によって異なるかと思いますので、各健康保険組合に問い合わせることをおすすめします。
うちの会社の健康保険組合の場合は、実の親なら世帯分離をしていても同居なら認められるという事でした。
ただし、県をまたいでの別居の場合には、扶養から外れるそうです。
それでも所得税での扶養控除については、別居であっても親の生活を子が仕送りで支えているのならば認められます。
介護保険料の計算方法については市役所に問い合わせたところ、4月1日の世帯年収で計算されるため、例えば同年の世帯分離の手続きを8月に行っても、今年の介護保険料は高いままだと言われました。
来年の4月1日には、世帯年収が下がるので、来年からは介護保険料が低くなるそうです。
各自治体によっても異なると思いますので、介護保険料に関しては、市役所や区役所に問い合わせることをおすすめします。

詳しくは税務署や各自治体に問い合わせしましょう
私の場合は、同居し、住所変更をした際に世帯分離をしていなかったせいで、両親の介護保険料が上がってしまうというミスをしてしまいました。
気が付いて慌てて世帯分離しましたが、介護保険料が安くなるのは来年からという事で、泣く泣く高い介護保険料を納めることになったのです。
また、世帯分離したり、別居したりしていても、親の年間所得が48万円 以内で、生活費などを援助しているという事実があれば「税制上の扶養」には入れたままにできるとのことでした。
ご家庭によって、事情はさまざまだと思いますので、詳しくは税務署や、各自治体の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。(執筆者:西島 楓 監修:税理士 鈴木まゆ子)