今回は、調整局面入りしたハイテク株の現状と今後の展望についてです。
押さえておかなければならないポイントについて解説していきたいと思います。

目次
調整局面入りしたハイテク株とその理由
現在の相場環境では、決算発表を終えて下落するハイテク株が散見されるようになりました。
いつまでも続くように思われた上昇局面がいったん調整局面入りしたのです。
理由1. 季節的な要因
その理由は、第1に季節的な要因が影響しています。
8月は海外投資家が長期休暇に入る時期にあるため、7月末に買いポジションを一部解消する動きが出たのです。
そのため、好決算が発表されたハイテク株も一時的に上昇はしましたが、すぐに下落に転じたのです。
理由2. 円高が急速に進んだ
第2に、米国が発表した4-6月GDPが予想を大幅に下回ったことで、1ドル = 104円台にまで円高が急速に進んだことが原因と言えます。
直近の傾向では、株価と為替の連動制が大きく揺らいでおり、為替感応度が大きくなっていたため、わずかな変動で急速なリセッションが進んだのです。
理由3. 米国が追加の景気刺激策を発動
第3に、米雇用統計が民間予想を上回り大幅に改善し、トランプ大統領が追加の景気刺激策として大統領令を発動したこともハイテク株の調整を助長しました。
これにより、運輸や銀行、自動車株などの出遅れ株が買い戻される展開となり、ハイテク株下落にさらなる拍車をかけてしまったのです。
以上の3点がタイミング悪く重なったことにより、ハイテク株はその価格を大きく下げる結果となったのです。
景気敏感株がなぜ買われているのか
前述の通り、トランプ大統領は8日、週600ドル上乗せしていた失業給付金を400ドルに減額したうえでそれを延長する大統領令に署名しました。
これにより、今まで出遅れていた航空や銀行などの景気敏感株に資金が流入し、反対にハイテク株は利益確定売りに押される展開となったのです。
これにより、市場の中心銘柄のチャートパターンが明確に崩れ、相場のトレンドを見極めるうえで重視される
のです。
また、日経平均とTOPIXの日足チャートを見ていただいて、両指数ともに200日移動平均線を日足が上回る形で値動きしていることにも注目しておく必要があります。
であると判断できるのです。
日経平均の場合、超金融緩和策が発動されて以降何度かこのラインを上回ることがあり、そのたびに200日移動平均線にはじき返されてきましたが、8月14日時点ではこれを明確に上回っています。
さらに、今回の景気敏感株の上昇に合わせてTOPIXもこのラインを上回ってきたのです。
これは、コロナショック以降初めてのテクニカル的なシグナルであり、今まで出遅れていた銘柄が物色される理由となっているのです。
今後は、
ことでしょう。
ハイテク株の今後「上昇トレンドは継続」

では、ハイテク株の上昇を背景とした上昇相場はこれで終了なのかというと、一時的なものである可能性が高いと考えられます。
前述の通り、TOPIXが200日移動平均線を上回ったことは出遅れ銘柄にとっては追い風です。
しかし、過去何度もあったこれら銘柄への物色動向は短命であり、すぐに下落に転じています。
その後は、
という流れが何度も継続して起こっているのです。
これは、現在のコロナ相場が過去のITバブルと類似していることから分かるように、今後数年で来るはずだった情報通信革命がたった数か月で到来していることに起因します。
「株価の上昇=成長期待」であることから、この年間成長率がより鋭角になったことで急速に株価のリバランスが起こっているのです。
これは、米国上場企業の決算を見ても明らかであり、ハイテク関連株やクラウド関連の業績が市場予想を上回り、株価が上昇する企業が続出しているのです。
そういった裏打ちに基いて株価はトレンドを形成しているため、ハイテク関連株が下落して調整したタイミングは買い場となる可能性があります。
慎重にタイミングを見計らいながらエントリーを検討した方がよいことでしょう。
トレンドの現状は変わりなし
以上より、現状はハイテク株が下落し景気敏感株にやっと見直し買いが入りそうですが、広義の意味でのトレンドは変わっていないとの考え方が多数の意見として見られます。
「現在の相場環境がどういった状況にあるのか」、「成長率が急拡大している分野が今どこなのか」を冷静に判断することで相場の揺さぶりに左右されなくなります。
論理的な考え方を身に付けるようにしましょう。(執筆者:現役証券マン 白鳥 翔一)