雇用保険の給付と言えば失業保険(基本手当)というほど、失業保険は多くの人に浸透しています。
失業保険は会社都合により失業した人や、自己都合での退職者が、安定した生活を送ることを目的とした給付であり、再就職するための支援でもあります。
このように、雇用保険の給付と言えば失業保険のイメージが強いですが、他にもいろいろな給付があるのです。
今回は、失業保険以外に受給することができる、雇用保険の給付について詳しく解説していきます。

目次
雇用保険の給付の種類
失業保険以外の雇用保険の給付は、大きく分けると
・ 教育訓練給付
・ 雇用継続給付
の3種類です。
また、その3種類の給付の下にいくつかの種類が分かれています。
以下では、それぞれの特徴などについて解説します。
就職促進給付
就職促進給付は、失業保険を受給している期間内に早期に再就職できるための給付です。
就職促進給付は、
2. 移転費
3. 広域求職活動費
の3種類に分類されます。
1. 就業促進手当
就業促進手当には、再就職手当、就業手当、、常用就職支度手当の3種類の手当があります。
それぞれ以下の場合に給付されます。
(1) 再就職手当
基本手当の受給資格のある人が、安定した職業に就職が決まった場合に支給されます。
(2) 就業手当
基本手当の受給資格がある人が、再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外で就職した場合に支給されます。
(3) 常用就職支度手当
基本手当の受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者の中で、障害のある人など、就職が困難な人が安定した職業に就いた場合に支給されます。
2. 移転費
受給資格者等がハローワークや特定地方公共団体や職業紹介事業者の紹介した職業に就く場合、または公共職業訓練等を受講するために、住所または居所を変更する必要がある場合に、受給資格者本人とその家族に支給されます。
3. 求職活動支援費
受給資格者等がハローワークの紹介により、遠隔地にある求人事業所を訪問して面接等をした場合に交通費及び宿泊料が支給されます。

就職促進給付を受給するためには、それぞれ一定の条件があります。
就職促進給付の詳細は、ハローワークインターネットサービスの就職促進給付のページを参照して下さい。
教育訓練給付
教育訓練給付は、働く人の主体的な能力開発や、中長期的なキャリア形成を支援するための給付制度です。
教育訓練受講に支払った費用の一部を雇用保険が支給することにより、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的としています。
教育訓練給付には、
2. 専門実践教育訓練給付金
3. 特定一般教育訓練給付金
の3種類があります。
教育訓練給付を受給するためには、それぞれ一定の条件があります。
教育訓練給付の詳細は、ハローワークインターネットサービスの教育訓練給付のページを参照して下さい。
雇用継続給付
雇用継続給付とは、読んで字のごとく雇用を継続させるための雇用保険の給付です。
2. 育児休業給付
3. 介護休業給付
の3種類があります。
1. 高年齢雇用継続給付
雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の被保険者が、60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した場合に支給されます。
2. 育児休業給付
雇用保険の被保険者が、育児のための休業期間中に支給されます。
3. 介護休業給付
雇用保険の被保険者が、家族を介護するための休業をした場合に支給されます。

雇用継続給付を受給するためには、それぞれ一定の条件があります。
雇用継続給付の詳細は、ハローワークインターネットサービスの雇用継続給付のページを参照して下さい。
雇用保険を受給できるのは失業者だけではない
このように、雇用保険にはいろいろな給付があります。
雇用保険は失業した人のためにあるイメージが強いですが、教育訓練給付など会社に雇用されながらでも給付できるものもあるのです。
厚生労働大臣の指定する教育訓練であれば教育訓練給付を利用できる可能性がありますので、スキルアップや資格取得にはおすすめです。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)