テレワークが普及した昨今、リゾート地でテレワークをするワーケーションという働き方まで登場しています。
「パソコン1台で仕事ができるのなら、いっそのこと会社を辞めて、個人で独立しよう」と考える方も中にはいらっしゃるかもしれません。
会社員でのお給料とフリーランスでの収入が同じ額であったとしても、実は体調不良等の休業時には大きな差があります。

目次
会社員であればケガ・病気のときにも補償がある
一般的にケガや病気で会社を休むと欠勤扱いとなり、その月のお給料が減給されます。
「傷病手当金」とは、会社員として勤めている方が業務以外の原因でケガをしたり、病気になって休業した場合に加入している健康保険組合等から手当金が支給されるものです。
連続3日の休業が要件です(待期と呼ばれます)。
その後、4日目以降で休業した日数に対して手当金が支給されます。
支給期間は、支給開始から最長1年6か月です。
同じケガ・病気が理由の休業であれば、期間内に出勤と欠勤を繰り返したとしても、休業した日数に対して手当金が支給されます。
手当金の額は、
です。
たとえば、過去1年間の標準報酬月額が26万円が2か月、30万円が10か月の場合、計算式に当てはめると、休業した際の支給日額は6,520円になります(小数点第1位は四捨五入で計算)。
「傷病手当金」は健康保険組合等からの支給ですので、国民健康保険に加入しているフリーランスや個人事業主の方は対象外となり、休業した場合の公的社会保障は何もありません。
参照:全国健康保険協会
会社員であれば出産のときにも補償がある
出産のために休業して報酬を受けなかった場合、加入している健康保険組合等から「出産手当金」が支給されます。
出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の翌日以後56日目までの間で、休業した日数に対して手当金が支給されます。
手当金の額の計算方法は傷病手当金と同じで、
です。
「出産手当金」も、健康保険組合等からの支給です。
ですから、国民健康保険に加入しているフリーランスや個人事業主の方は対象外です。
参照:全国健康保険協会
フリーランスや個人事業主の方でも出産時の生活の保障はある

出産費用として子ども1人当たり42万円を出産時に支給するのが「出産育児一時金」の制度です(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は40.4万円かかる)。
出産育児一時金は会社員の方は健康保険組合等から、フリーランスや個人事業主の方は国民健康保険から支給されます。
出産時の窓口負担を減らすために、健康保険組合や市町村で運営する国民健康保険から出産時の産院に直接42万円を上限に支払う「直接支払制度」という支給方法がよく利用されます。
出産費用が42万円未満の場合は、申請することによって差額を受け取れます。
参照:全国健康保険協会
フリーランスで働くには、万が一の時にどうするかも考えておく
フリーランスや個人事業主の方は、体が資本といっても過言ではありません。
働いた分だけ収入に反映されますが、休業した際の影響は大きいのです。
最近では、コロナウイルス拡大の影響を受けた個人事業主に対して手当金を支給する飛騨市のような自治体も出始めましたが、かなりの少数派であると言えます。
参照:飛騨市
万が一の時の備えとして予備費を準備しておく、可能な場合には共済や休業補償の民間保険を検討してみるといった方法があります。
何も考えがないままでいると、万が一の時のダメージが大きくなるばかりです。
現在、フリーランス・個人事業主の方やこれから独立するという方もいま一度、どういったリスクマネジメントができるかを考えてみるとよいかもしれません。(執筆者:AFP 大川 真理子)