少し前に、ずっと飼っていた犬が15歳で旅立ちました。
以来、愛犬のいない生活はどうにもさみしく感じ思わずペットショップに立ち寄り、15年ぶりに子犬や子猫の並ぶケージの前にやってきて、ある変化に気づきました。
目次
犬と猫の人気が逆転
15年前は販売されているのはほぼ犬だったのが、先日にペットショップへ行った際には、店頭では猫と犬が半々くらいになっていました。
一般社団法人ペットフード協会が行った調査によると、日本の犬と猫の推計飼育頭数は、2017年に猫と犬が逆転していることがわかります。
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店頭では半々程度の割合ですが、猫は血統書付きよりも雑種が多く飼われており、ペットショップを経由せずに知人からもらうなどして猫の飼育を始めるケースも多いようです。
その場合、入手コストは0円です。
犬と猫の飼育コストを比較
犬と猫の飼育にかかる、1か月あたりの費用(1頭)に関するデータをみると、犬の方が高くなっています。
犬に関する支出総額(医療費等含む1か月あたり) 1万1,562円
猫に関する支出総額(医療費等含む1か月あたり) 7,485円
たしかに、犬は月1回1万円程度のトリミング代がかかりますし、一緒に外出する機会も多いため、ドッグラン代や外出用の小物など何かと費用がかさみます。
また犬のしつけを専門のトレーナーに頼む場合は、1回5,000円から7,000円程度の費用がかかります。
猫は先述したとおり、無料でもらってくるケースも多く、一緒にお出かけするのも難しいため、購入から飼育までのコストは犬に比べて抑えられそうです。
子犬・子猫の価格は15年前の約2~3倍
筆者の家では15年前に7万8,000円でシェットランドシープドッグの子犬を購入しました。
同じ時期にペットショップにいた他の子犬の価格は、当時の人気犬種のチワワやミニチュアダックスフンドでも20万円程度でした。
現在、首都圏のペットショップでの子犬の販売価格は犬種にもよりますが、20万円~50万円程度が相場です。

子犬の販売価格高騰の背景には、約5年おきに改正されてきた動物愛護法の影響もあります。
規制強化により、繁殖・飼育・販売コストが増加し、その分が価格に反映されていると考えられます。
・ 生後56日を超えない子犬・子猫の販売禁止(2021年から)
・ 出荷前に子犬・子猫のマイクロチップを装着(2022年から)
参照:sippo
ペット保険の加入数は増加傾向
ペット保険も、この15年間でずい分浸透しました。
ペット保険大手のアイペット損害保険の経営資料によると、ペット保険の市場規模は2019年時点でおよそ800億円にもなり、加入率は約10%だそうです。
参照:アイペット損害保険(pdf)
ペットショップでもたくさんのパンフレットが置いてあり、ペット購入者には店員が保険加入をすすめていました。
例えば、アニコムの50%プランは0歳で加入した場合、月々の保険料は2,680円です。
保険の契約期間は1年のため、年齢が上がるごとに保険料が変わります。
※人気犬種のトイプードルBクラスで試算
参照:アニコム損保(pdf)
こちらのプランはペットの通院・入院・手術にかかった動物病院への支払いのうち、50%の保険金が支払われます。
参照:アニコム損保(pdf)
支払い限度額、限度日数があります。
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平均的な健康状態の犬は保険料のもとをとれるのか
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、飼い犬の通院回数は年平均4回というデータがあります。
動物病院の診察代は、再診の場合最も多いのは500円~1,000円です。
調剤や服薬を含めても、3,000円程度が平均値です。
犬の通院にかかる費用(年) 3,000円 × 4回=1万2,000円
50%の保険金が支払われるペット保険に加入している場合
ペット保険の保険料(年) 2,680円 × 12か月=3万2,160円
支払われる保険金 1万2,000円 × 50%=6,000円
1年間の犬の医療費(ペット保険料含む)3万2,160円+6,000円=3万8,160円
年間通院回数が平均的な4回で、診察と服薬の一般的な診療を受けた場合、保険加入時の方が未加入に対して2万6,160円の損が出てしまいました。
健康な場合には保険料のもとはまず取れないというのは、人間と同じです。
ただし、手術の場合には万単位の診療代がかかりますので、大きな病気をした際には保険加入の恩恵を受けます。
健康な犬でも晩年は1年間に10万円はかかる
筆者の愛犬は15歳で旅立ちましたが、予防接種以外で動物病院にかかったのは、13歳以降です。
13歳までは全く病院にかかることはありませんでした。
晩年、腎臓や心臓の機能が落ちて食欲がなくなり、1か月に1度のペースで点滴に通いました。
生涯を通じて支払った費用は約20万円です。
※点滴を受けた場合は再診料に5,000円程度追加で費用がかかります。
ペット保険には入っていませんでしたが、生涯通じてこの程度の額ならば、子犬のときから保険に加入する必要はなかったでしょう。
8歳以降のシニア犬から入れるプランもあり、保険料は上がります。
通院頻度や抱えている疾患によってはプラスになる可能性もあるので、検討をしてみても良いでしょう。
参照:ア二コム損保(pdf)
飼うまで、飼ってからのコストを考えてみよう

ペットショップの店員に聞いたところによると、コロナ禍で家にいる時間が増え、ペットを購入する人が増えているそうです。
ペットの販売価格は高騰しており、飼ったあとのコストもしっかりかかります。
しかし、犬で言えば昔は番犬として飼っていたのがかけがえのない家族に変わり、それだけ飼育コストも上昇しているのではないでしょうか。
ペットショップに立ち寄った筆者は結局1頭のトイプードルのケージの前から離れられなくなり、数日後再び訪れてその子犬を連れて帰ることになりました。
先代犬と同じくかかるトリミング代やエサ代のためにも、これからも先取貯金や節約を取り入れ生活します。(執筆者:石田 彩子)