新型コロナが社会に及ぼす影響は大きなものですが、企業業績、優待株にも多大な影響を与えております。
今回は、8月下旬から9月上旬に企業からリリースされた、株主優待に関する情報をまとめました。
株価その他の情報は9/11終値時点でのYahoo!ファイナンスから引用しています。
目次
1. 優待改悪「すかいらーくホールディングス (3197)」
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9月10日に「すかいらーくホールディングス (3197)」より、株主優待の変更が発表されました。
「すかいらーくホールディングス」は「ガスト」、「バーミヤン」、「夢庵」などの和洋中さまざまなジャンルのブランドを持つファミレスチェーンです。
株主優待の変更内容とは優待券金額の減額であり、100株保有の場合には、現行で年間6,000円相当を頂けていたのが年間4,000円相当に減ります。
とりわけ300株以上保有する株主にとっては減額の割合が大きく、それぞれの年間での優待金額は
500~999株:現行3万3,000円 → 1万6,000円
1,000株~:現行6万9,000円 → 3万4,000円
といったようにほぼ半減するため、今回の優待変更では保有株数の多い株主の方がより影響大だったかもしれません。
100株保有の場合には年間4,000円に減額されるものの、優待利回りは約2.6%であるため、優待のみの利回りとしてはまだ悪くないと思います。
現在無配なので、今後の配当の状況でまたお得度が変わってきます。
コロナ禍により外食産業は大変に厳しい状況にさらされるなか、「すかいらーくホールディングス」も2020年上半期の業績は営業赤字となり、配当の復活も不透明です。
コロナ禍以前も「すかいらーくホールディングス」の株主優待の動向については、数年前に投資ファンドがすかいらーく株を売却した頃から注目を集めるところでした。
以前の決算報告でも「株主優待はコスト」として挙げられていました。
そういった経緯もあり、優待変更については「とうとう来たか」という印象です。
筆者の予想では「クロス取引対策で長期保有の条件がつくのでは」と思っていましたが外れました。
そもそも長期で保有する株主が多いのかもしれません。
300株以上保有の場合の減額率が大きいのも、500株、1,000株と株式を取得し、優待を受ける株主が多かったのかもしれません。
それだけ「すかいらーく」グループのお店が全国津々浦々にあり、使い勝手がよく利用価値の大きい優待だと言えるのかもしれません。
唐揚げやカフェなどの専門店には客が戻ってきているそうなので、テイクアウトの強化などとともに業績の回復を待ちたいところです。
株価は9月10日終値1,684円から、翌9月11日終値1,521円と9%以上値下がりしてしまいましたが、今後はどう動いていくのか気になります。
すかいらーくホールディングス (3197)
【株価】1,521円
【最低購入代金(100株)】15万2,100円
【権利日】6月末日・12月末日
株主優待
優待カード(税込価格より、額面の範囲で500円単位で割引)
【300株以上】5,000円分
【500株以上】8,000円分
【1,000株以上】1万7,000円分
2. 優待改悪「ゲンキードラッグストア (9267)」
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8月20日に「ゲンキードラッグストア (9267)」より、株主優待変更の発表がありました。
「ゲンキードラッグストア」は福井県を中心に展開しているドラッグストアチェーンです。
これまで「ゲンキードラッグストア」の株主優待は、年2回、自社製品やお米などから頂けて、自社製品である化粧水セットを選んだ場合には金額換算すると年間1万円以上の優待品でした。
今回の優待変更により、
出店県外に居住する株主(100株):クオカードが年間2,000円
となって出店県外の株主にとっては優待利回りが大幅に減りました。
優待投資家の失望売りにより、8月20日終値3,535円から翌日終値3,385円と下落しましたが、9月11日終値では3,705円と回復しています。
Genky DrugStores (9267)
【株価】3,705円
【最低購入代金(100株)】37万500円
【権利日】6月20日・12月20日
株主優待
自社出店県内の株主 (1) ゲンキー商品券
自社出店県外の株主 (2) QUOカード
【100株以上】(1) 2,000円 (2) 1,000円
【500株以上】(1) 3,000円 (2) 2,000円
【1,000株以上】(1) 5,000円 (2) 3,000円
3. 優待廃止「トラスコ中山」
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8月21日に「トラスコ中山 (9830)」より、株主優待廃止の発表がありました。
「トラスコ中山」は工場や現場向けに工具や消耗品などを卸している企業です。
これまで「トラスコ中山」の株主優待は、100株以上保有する株主には5,000円相当のカタログギフトを進呈していて、お米や日用品などから選べたため人気の高い優待株でした。
リリースには優待廃止の理由として、優待費用の増加を挙げ、約1億1,000万円(平成29年度)→ 約2億3,000万円(令和2年予想)と具体的な金額まで明示されていました。
企業として株主優待に力を入れている様子だったので意外な決断でしたが、コロナの影響もあるのでしょうか。
4. 優待廃止「河西工業 (7256)」
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8月31日に「河西工業 (7256)」より、株主優待廃止の発表がありました。
「河西工業」は自動車内装インテリア部品メーカーで、主に日産向けに製品を販売しています。
これまで「河西工業」の株主優待は、保有株数に応じて頂けるクオカードでした。
100株保有の場合には1,000円のクオカードが進呈され、配当と合わせた利回りは一時期5%を大きく上回る高利回りでした。
日産の不振や新型コロナの影響により出荷量が大幅に減少し無配転落、そして今回の優待廃止に至ったようです。
株主優待の変更が続々
株主優待の変更が続々と発表されていますが、優待好きとしてはなるべく避けてほしいところです。
なお、株価その他の情報は今後変更される可能性がありますので、ご自身でご確認のうえで投資されますようお願いします。(執筆者:取得優待は120以上 吉井 裕子)