私が過去に住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)やファイナンシャルプランナーとしてご相談を受けた時に、どのような局面で住宅ローンの返済が苦しくなったのかを紹介します。
概ね3つの局面に集約されていることから、この局面を意識し対策を立てることで、住宅ローンの返済は乗り切れるものと考えられます。
目次
局面1:子供の医療費が無料から有料になった

朝日新聞の2018年2月21日付け、「子供医療費の無料化拡大、是か非か?」によると、通院医療費無料は、「中学生まで」と「高校生まで」を合わせると8割にも達するそうです。
これは子育て世帯をつなぎとめるためですが、過剰医療の懸念もあり、自治体にとっては大きな負担となっています。
仮に医療費無料がなかった場合、6歳(義務教育就学前)未満は2割負担、6歳以上は3割負担になるわけですから、この恩恵は大きいと言えるでしょう。
そして、子供に医療費がかかっていない場合、住宅ローンを組む時に、子供には医療費はかからないと考えてしまうのが人間の性です。
特に医療費無料期間に通院回数や入院回数が多い子ほど、医療費有料の年齢に達した後、想定以上の医療費がかかることになってしまいます。
このための費用は予測しにくい事もあり、医療保険などの準備も遅れ、住宅ローンの返済にまで影響を及ぼすことがあるのです。
そういう意味でも、流動性預金は100万円程度は必ず確保し、いざという時に備えてください。
局面2:教育費を削れず、手元資金から流用した時
これも子供にかかわる問題ですが、現在は小学校から塾に通うのが当然となり、以前より塾代も増加しています。
受験において塾が必要なのは否定しませんが、子供よりも親が不安に駆られて、多数の塾に通わせます。
受験前には実際の所、住宅ローンの返済などは頭になく、ただひたすら手元資金から塾代を捻出しようとします。
金銭的に余裕があれば問題ありませんが、手元資金から流用した結果、住宅ローンの返済に影響を及ぼします。
このようなことを防ぐためにも、資金使途をしっかり別けて管理することが何よりも重要です。
局面3:給与が上下し、生活費を削れなかった時

最近は、会社が能力主義になり、年収が伸びた後、減収になった時に起こる事例です。
人間誰でも年収が上がれば、将来に期待し、ある程度生活が派手になるのは、仕方がないことかもしれません。
しかし、会社が能力主義となったことで、数年後には一転減収となり、今後の将来見通しも期待できない時代となりました。
ここで大切なのは、減収に合わせて生活費などを削ることなのですが、そのレベルを落とすことがなかなか出来ません。
結果として、それなりの年収があっても、住宅ローンの返済に影響を及ぼすのです。
このような事例に対処するにはいかに割り切るか、家族でのコミュニケーションが大切になります。
さまざまなリスクに備える
住宅ローンの返済というのは長期に渡るため、家庭でのさまざまなリスクと向きわ合わなければなりません。
そのため、住宅ローンの負担を重くしてしまうと、家庭のリスクが住宅ローンの返済に影響を及ぼすことになります。
家庭のリスクと住宅ローンの返済を両立できるか、考えてみることをお勧めします。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)