ファイナンシャルプランナーに住宅ローンの相談をすると、返済期間は短い方が良いとアドバイスをされることがあります。
当然、返済期間が短いとトータルで支払う金利は減りますのでお得ですが、その分毎月の支払いは多くなります。
そのため住宅ローンの返済については、その人の状況に応じて検討する必要があります。
今回は住宅ローンの返済期間にかかわる「3つの選択肢」についてお話します。

目次
【選択肢1】住宅ローンの返済期間を短くして利息削減
では、3,000万のマンションを金利1%で全額借りた場合、30年と35年で総支払額の違いについて比較してみます。
35年の場合
毎月の返済額:8万4,985円
利息総額:約557万円
30年の場合
毎月の返済額:9万6,491円
利息総額:約474万円
期間が5年短くなると支払利息は約83万円減ります。
このように期間が短くなれば当然に総支払利息は減り、期間が25年、20年と短ければ短いほど差は大きくなります。
【選択肢2】ライフプランとの関係性重視で手元資金を厚く
住宅ローンの返済は短い方が利息の支払いは少なくなるので、単純に得だと考える人も多いと思います。
しかし実際のライフプランと照らし合せると、子供の成長に合わせて、車の購入や教育資金などお金が必要です。
子供手当や学資保険なども有効ですが、私立に通わせたり、習い事をさせたりと手元資金では足りないケースも出てきます。
その際に、リボ払いやカードローンなどでお金を借りるとなると、住宅ローンの金利よりも高い金利を払わなくてはいけません。
カードローンの金利は低いと1.8%から借りられますが、最大18%と条件によっては非常に高い金利です。
しかし手元資金に余裕がない場合は、リボ払いやカードローンなどで資金を調達しないといけません。
そう考えると、住宅ローンをフルローンで組んで最長期間借りて、手元資金を置いておく方が良いでしょう。
【選択肢3】手元資金を運用するという考え方
もし、住宅ローン金利以上で余剰資金を運用出来れば、住宅ローンを早く返済してしまうよりも資産を増やせる可能性もあります。
例えば高配当株であれば、コロナショックで価格が下落していることもあり、大手銀行など5%以上の銘柄がたくさんあります。
実際には手数料や株の上下で損をすることもありますが、経費などを差し引いても毎年数%の利回りで運用できます。
また、余剰資金を頭金として収益不動産を買うという選択肢もあります。
実際に私の周りでも住宅ローンを借りられるだけ借りて、現金は資産運用に当てているという人は多いです。
しかし投資をするということはリスクを取るということなので、リスクが怖いという人にはおすすめはしません。

自分にあった住宅ローンの返済期間とは
「住宅ローンの返済は短い方が本当に有利なのか」という問いに対する答えは、「その人の状況による」ということです。
「リスクはあまり取りたくない」、「借金は嫌いだ」という人にとっては、やはり住宅ローンの返済期間は短い方が総支払金利を減らすことができるので有利だと言えます。
しかし、毎年資産を5%で運用できるという人にとっては、わざわざ安い金利の住宅ローンを早く返済する必要はないと思いますし、購入時に手元資金に余裕がないのであれば、毎月の支払いは少ない方が良いでしょう。
住宅ローンを組む前に、手元資金の状況や投資への適性をきちんと把握しておくことが重要です。
筆者のおすすめは「最初は借入期間を長く取っておき、余裕が出てきたらまとめて繰上返済する」という方法です。
そのためにも、ひとまずフルローンで借りて、期間は最長期間借入するという方が良いと思います。
ただAIの台頭やコロナ下で職の安定性が失われる時代が来ていますので、くれぐれも身の丈を越えるような物件を購入して、支払いが苦しいというような住宅ローンの組み方だけは避けていただきたいと思います。(執筆者:山口 智也)