株式投資を始めてはみたものの、株価が少し上がると利益確定してしまい利益がなかなか伸びない、という悩みはありませんか。
これは「プロスペクト理論」というものが働いているためです。
プロスペクト理論とは、簡単に言うと「人は利益に対して確実に手に入れることを優先する」傾向があるということです。
株式投資においては、人は無意識のうちに利益確定が早くなるのです。
しかし、あなたが投資で資産を増やしたいなら「プロスペクト理論」に勝つルール作りが必要です。
さらに、ルールを守るためにメンタルを鍛える必要もあります。

目次
利益を逃す経験が次の取引に悪影響になることも
あなたにこのような経験はありませんか。
ある株に投資したところ、数日で20%上昇しました。
今売れば数万円の利益が出ます。
しかし、この銘柄は業績が好調で、長期的にも業績が伸びる銘柄だと思っているので継続保有します。
ところがその後、反対に株価は下げ続けてしまい買値と同じ株価になり、評価利益は水の泡になってしまいました。
この後あなたはこのようなルールを作ります。
この銘柄は自信があるので保有を続けていると、なんと20%上昇した株価まで再び上昇しました。
そこであなたは喜んで保有株を全て利益確定します。
「ふぅ、今度は売れたぞ。」と思ったのも束の間、この銘柄はその後も上昇を続け、株価は2倍、3倍とみるみる上昇してしまいます。
当初の予想通り、長期的な業績を期待して継続保有していれば数十万円以上の利益を狙えたところ、少しの利益が出たところで利益がなくなるのを恐れて売ってしまったことで数万円の利益で終わってしまいました。
私の失敗例
実際に今年、私は同じような失敗をしました。
「ゲンキードラッグ(証券コード:9267)」という銘柄です。
以下の株価チャートをご覧ください。

赤い矢印のある3月に約1,700円でゲンキードラッグを購入しました。
地元のスーパーやドラッグストアで食品やマスク等の商品の売り切れ状況を見て、スーパーとドラッグストアはコロナ禍で買える数少ない業種だと考えたからです。
中でもゲンキードラッグに投資した理由は、生鮮食品を扱うスーパーマーケットと、ドラッグストアの両面を持つ企業だからです。
さらに月次既存店売上を見ても、2月は110%を超えの売上実績がついてきたことも理由の1つです。
株価2倍以上は狙えると思っていました。
購入後、決算を無事に通過して株価も好調だったのですが、5月に株価の下落で評価利益が減って焦りました。
コロナショックで資産を減らして弱気になっていた私に「ガマン」という言葉は消えていました。
青い矢印の箇所で全株売却です。
その後の株価はご覧の通りです。
当初の狙い通りに株価2倍以上を狙えたのに、私は逃してしまいました。
このように、投資で利益が伸びない理由の1つに「プロスペクト理論」による悪影響があるのです。
利益を伸ばすルール作りが必要
株式投資で利益を出すためには、「損は小さく利益は大きく」することが大事です。
頭でわかっていても、いざ実践となると評価利益がなくなる恐怖から私のように売ってしまう方もいるのではないでしょうか。
そうならないためには、強制的に売却をしないようなルールを決めておくのがよいと言えます。
たとえば、投資する際に、
・ 下落後に高値を取ってきた時も売りをガマンすること
といったようなルールです。
特に自信のある銘柄のみにルールを適用するなど、ケースバイケースで対応するとよいことでしょう。

利益の減少に対するメンタルも鍛える
資産が増えてくると、当然のことながら1銘柄への投資額も増えます。
今までは自信のある銘柄に100万円投資していた方が、資産額増加で今後は200万円投資するようにルールを変更したとします。
そうすると、利益の増加ペースが2倍になるので株価が上昇している時には非常にハッピーな気分を味わえます。
「俺ってすごいじゃん」と調子に乗り始めた頃に、ちょっとした株価下落がきて今までの2倍の速さで評価利益が減っていきます。
こうなると今まで経験したことのない利益減少に焦ってしまい、ルールを破って全株売却してしまいます。
このような状況を他人の取引でも見てきました。
これを回避するには、
のがよいと言えます。
損失はガマンしなくてよい
損失をガマンして売らずにどんどん膨らませると、最悪の場合には投資から撤退させられます。
多少の損失で売る必要はありませんが、自分がこれ以上の損をすると困るラインを超えてガマンをするべきではないのです。
相場が自分の想定通りの方向に動いて利益が出ている場合のみ、株価下落による評価利益の減少を我慢して利益の最大化を目指すようにしましょう。(執筆者:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)