自営業者等の国民年金加入者は、20歳から60歳になるまで40年間の全期間保険料を納めた場合に年額で78万1,700円、月額で約6万5,000円を老齢基礎年金として受け取れます(令和2年度)。
総務省「家計調査」によると、世帯主が60歳以上、無職世帯の1か月の支出は約24万円です。
あくまでも統計上の数字であって、各家庭によって支出額は違いますが、老齢基礎年金だけでは全く足りないということが分かります。
そこで、国民年金加入者の間に少しでも将来の年金額を増やすために、付加保険料を上乗せ納付することをおすすめします。

目次
付加保険料とは
付加保険料について説明します。
納めることができる対象者
・ 国民年金第1号被保険者
・ 任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)
任意加入被保険者とは
任意加入被保険者とは、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や国民年金保険料の納付済期間が40年(480月)に満たない場合、60歳から国民年金保険料を納めることで老齢基礎年金を増やせる制度のことです。
次の(1) ~ (4) のすべての条件を満たしている方が対象です。
(1) 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
(2) 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
(3) 保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
(4) 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
付加保険料の月額
付加保険料の納付額は1か月に400円です。
付加保険料の納付方法

市区役所および町村役場の窓口に申出することで、定額の国民年金保険料に加え「付加保険料」を上乗せして納めることができます。
納付方法は次のとおりで、前納制度を利用し保険料をまとめて納めると割引があります。
・ クレジットカード
・ 納付書「領収(納付受託)済通知書」
付加年金受給額
【具体例】20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めていた場合の受給額
9万6,000円を毎年の定額保険料に上乗せして受け取れます。
令和2年度であれば、
を受け取れるということです。
付加年金のメリット
「付加年金はお得」だと言われます。では、なぜお得なのでしょうか。
40年間に納めた保険料の合計は「400円 × 480月(40年)= 19万2,000円」です。
今回の場合、
からです。
3年目からは毎年9万6,000円のプラスとなるため、付加保険料の上乗せ納付をおすすめします。
その他の付加年金のメリットは、
・ 納めた付加保険料は社会保険料控除として所得控除の対象になる
などです。

付加年金の注意点
付加年金の注意点は次の通りです。
・ 国民年金の免除を受けている人、国民年金基金に加入している人は納付できない
・ 付加保険料は申し込んだ月分から納付する
・ 付加保険料の納期限は翌月末日(納期限)までですが、納期限を経過した場合でも期限から2年間は付加保険料を納められる
・ 付加保険料納付を希望しない場合は、付加保険料納付辞退申出書の提出が必要
・ 月末が土曜日、日曜日、休日等にあたる場合および年末の納期限は翌月最初の金融機関等の営業日
40年の納付で平均寿命までに150万円以上受給できる
付加年金は65歳以降に受け取れるため、デメリットはそれまでに亡くなってしまうことです。
しかし、厚生労働省が発表した簡易生命表によると2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳でともに過去最高を更新しています。
仮に、20歳から60歳までの40年間付加保険料を納めた場合には、納付保険料合計19万2,000円に対して、
男性:(81.41歳 – 65歳)× 9万6,000円 = 157万5,360円
女性:(87.45歳 – 65歳)× 9万6,000円 = 215万5,200円
が受け取れる額となり、かなりのお得です。
早い時期から上乗せ納付
全ての方が対象ではありませんが、国民年金第1号被保険者等の付加保険料を納められる方は、早い時期から上乗せをして、将来の年金額を増やしてください。(執筆者:社会保険労務士 望月 葵)