せどりは資金に合わせて行えるるビジネスです。
5万円や10万円でも問題ありませんし、極端な話、1万円しかなくてもせどりは可能です。
筆者は会社員だった時代からせどりをはじめましたが、その時は薄給で生活はぎりぎりで貯金もなく、せどりで使える自由な資金はたった3万円程度でした。
そのたった3万円を元手にせどりをはじめ、仕入れと販売を繰り返して数年かけてゆっくりと規模を大きくしていきました。
資金が少ない場合、まとまった利益を出すのにはかなり時間はかかりますが、それでも資金に合わせた戦略を取ることで確実に資金を増やし、大きくしていけます。
今回は筆者の経験をもとに、数万円・20万円・50万円と資金別のせどり戦略を紹介します。
やり方や考え方は人それぞれだとは思いますが、「みなさんのせどり戦略のヒントになれば」と思います。
持っている資金によって商品や戦略を変えて、効率的に資金を増やしていきましょう。
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目次
大前提:せどりの資金は「複利」で増やす
まず、せどりを始める前に知っておいてほしいのが「複利」という考え方です。
複利とは投資で使われる単語で、ざっくりと説明すると「利子・利益を元本に組み込むこと」です。
たとえば、1万円で商品を仕入れて売り、1,000円の利益が出たらそれを使ってしまうのではなく、
という考え方です。
せどりで利益が出るたびにその利益を使ってしまうと、追加しない限り資金はいつまでも増えません。
一方で、1,000円の利益を使わずにそのまま次の仕入れ資金に組み込むことで、この1,000円に対してもさらに利益が発生します。
これを繰り返すことで、資金を素早く増やしていけます。
たとえば、10万円の資金で毎月資金の10%利益を出すとします。
この10%の利益を毎月使ってしまった場合には、何年たっても資金はずっと10万円のままです。
ところが、10%の利益である1万円をそのまま資金に組み込んで11万円で仕入れをして10%の利益を出した場合には、翌月の資金は12万1,000円です。
利益を使ってしまった場合と比べると資金が2万1,000円多くなり、これを仕入れに回すことでさらに利益を増やせます。
これを12か月繰り返すと、理論上では資金は30万円を超えてきます。
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利益を毎月使ってしまった場合(10万円)と比べて、仕入れに使える資金が1年間で21万3,843円も増えるわけです。
もちろん使ってしまった利益(毎月1万円 × 12か月)も利益には変わりはないので、その分を差し引いた場合、増えた差額は9万3,843円です。
毎月出る10%の利益を使わずに資金に組み込むことで、1年間で10万円近く資金が増えるというわけです(あくまでも理論上です)。
もちろん利益を使ってしまうことが悪いわけではありません。
それを使って家族との時間を楽しんだり、ちょっとした贅沢をできるのであればそれはそれで正しい使い方です。
しかしながら、
という特徴があります。
そのため、資金が少ないうちに出た利益はそのまま資金に組み込み、仕入れ量を増やして効率よく利益を増やしていくことをおすすめします。
資金の金額別せどり戦略
ここからは筆者の経験をもとにした数万円・20万円・50万円と資金別のせどり戦略を紹介します。
資金1~5万円のせどり
副業でせどりをはじめる場合、このくらいの資金から始める人が多いようです。
とりあえずリスクを抑えてやってみたいという方や、筆者のように頑張って捻出してもこれだけしかない、という方など理由はさまざまですが、筆者としては大賛成です。
確かに、物販は資金があればあるほど仕入れを増やせて利益も大きくなるため資金は多いほど有利です。
しかし、知識のないうちから数十万円の資金を投入すると大抵の場合に失敗します。
最初のうちは資金があろうとなかろうと、知識を蓄えて相場を肌で感じるためにも数万円から練習としてコツコツと始めてみるのがよいことでしょう。
この額であれば、たとえ失敗してもダメージは少なくて済みます。
しかも、せどりはもともと「仕入れ」という商品資産を確保するビジネスなので、せどりで資金全額を失ったり、借金になることはありません(借入していたら別ですが)。
数万円から始めれば、失敗しても損失はせいぜい1~2万円程度です。
まずはこの額から始めましょう。
仕入れる商品
その数万円の小資金せどりのセオリーは「回転率の高い物だけ仕入れる」です。
回転率とは売れやすさのことで、回転率が高い商品というのは「出品するとすぐに売れるもの」のことです。
たとえば、人気のおもちゃや中古家電、流行りのトレンド品といったニーズの高いものです。
もちろん「売れやすくて利益も高い商品」などといった都合の良いものはまずありませんので、必然的に販売スタイルは薄利多売です。
とにかく利益はあまり考えず、極端なことを言えば「100円でも得すればOK」くらいの気持ちで売れやすそうな商品を仕入れていきましょう。
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たとえば、トレカなどは若い人を中心に人気で売れやすく、場所も取らないジャンルなのでおすすめです。
中古ショップなどでレアカードを仕入れてメルカリで売ると、1枚500円程度の差額であれば比較的取りやすいと言えます。
1万円を1万500円に、1万500円を1万1,000円に、と増やしていきます。
こうやってコツコツと稼ぐうちに利益計算や送料計算も早くなってきますし、商品の相場にも詳しくなっていきます。
小資金の時にはこのように売れやすいものを仕入れて売ってを何十回も繰り返し、数百円の利益を積み重ねてちょっとずつ資金を増やしていきましょう。
仕入れ先
小資金の仕入れ先としておすすめなのはリサイクルショップです。
安く売られているものがたくさんあり、うまくいけば利益率の高いお宝も拾えます。
足しげく通う必要があり多少の時間と労力はかかりますが、やっただけのメリットは得られます。
また、利益率を重視していなくても、あちこち回るうちに時々利益率の高いお宝が見つかります。
「300円で仕入れたものが1万円以上で売れた」などということも(もちろんそんなお宝は年に数回見つかるかどうかですが)あります。
このように「普段はコツコツと、時々はラッキー」で資金を増やしながら10~20万円を目指しましょう。
リサイクルせどりについてはこちらの記事で解説していますので、併せて読んでみてください。
なお、小資金仕入れで注意したいのが仕入れ値です。
いくら売れやすい商品でも、資金ぎりぎりの高額商品はできるだけ避けてください。
3万円しか資金がないのに2万円の商品を仕入れてしまい、万が一当てが外れてそれが売れなかった場合、資金が停滞してその商品が売れるまで他の仕入れができなくなります。
資金力があれば赤字覚悟で売りさばいたり、売れるまで放置してほかの仕入れもできますが、小資金では滞留在庫品は命取りになります。
資金が少ないうちにはとにかく
ようにしていきましょう。
もちろん低回転・高利益の商品を仕入れて売れるまで放置するという、労力の少ないやり方もありますが、資金を素早く増やすのには向きません。
特に規模を大きくする気がなく「負担なしで月1~2万円程度のお小遣いが出ればOK」という方はこちらの方法でもよいことでしょう。
資金20万円のせどり
資金が20万円ほどあれば、仕入れの選択に幅を持たせられます。
数万円の資金の場合、資金を効率よく増やしていくために回転率の高い商品の仕入れ一択でしたが、ある程度の資金があれば、一部「高利益」の仕入れが可能です。
たとえば、
・ 20万円のうち10万円はいままで通りに低回転率の商品を仕入れて、コツコツと売って安定した利益を出していく
・ 残りの10万円で「回転率は低いものの、売れれば高い利益が確保できる商品」の仕入れをする
といったようにです。
仕入れる商品
回転率が低く、利益が取れる商品の一例でを挙げると、2~3万円程度の腕時計があります。
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現在は腕時計の需要そのものはあまりなく、この価格帯もあまり人気がありません。
そのため、新品・中古ともに比較的安く仕入れられますが、需要が少ない分売れる可能性も高くはありません。
しかし、ビジネスマンをはじめとして未だに腕時計を必要としている方も多く、少し珍しいモデルやメーカーのものを仕入れれば、大きく利益を乗せても欲しい人は買います。
筆者が過去扱った商品では、仕入れ値が1万円程度でそこに5,000円~8,000円程度の利益を乗せていました。
10本仕入れて月に1~2本程度しか売れていかないような感じですが、それでも2万円近い利益が出ました。
このように
ようにしていきましょう。
基本的には今まで通り回転率の良い商品中心に仕入れて安定した利益を確保、その一方で時々売れる高い利益率の商品で一気に資金を増やしていくという方法です。
もちろんあくまでも一例で、20万円すべてを回転率の良い商品、もしくはすべてを利益率重視の商品の仕入れに使ってもよいと思います。
ただし、20万円の資金全てを回転率の良い商品にすると、発送や梱包といった作業工数が一気に増えて負担が大きくなります。
反対に、20万円すべてを利益率重視の商品にするとキャッシュフロー(現金流動)が悪くなります。
どの選択が正解というものはありません。
生活スタイルやせどりにかけられる時間に応じて、仕入れの割合を変えていきましょう。
20万円前後の資金のメリットはこの仕入れの割合を変えられ、販売戦略に幅を持たせられるという点です。
資金50万円以上のせどり
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資金が50万円を超えてきたら、新品の家電品などの数万円を超える高額な商品の仕入れに挑戦してみましょう。
基本的に価格の高いものほど利益は取りやすいと言えます。
たとえば、1,000円の商品で5,000円の利益を取るには、単純計算で仕入れ値の50倍以上の価格で売らないと達成できません。
一方、10万円の商品を仕入れて5,000円の利益を出す場合、仕入れ値にたった5%上乗せすれば達成できます。
このように、1回の取引で大きな利益を得るなら高額商品のほうが効率的です。
そのため、
ようにしましょう。
高額品などを仕入れて利益重視にすると回転率は落ちますが、このくらいの資金になってくると在庫量もそこそこあるはずです。
たとええ「1か月に1個しか売れない商品」でも、それが30個あれば1日1個は売れる計算です。
心配ならそこに少し回転率の高い商品を入れて調整すれば、売り上げもある程度安定するはずです。
また、既存の商品価格を少し上げて回転率と利益率を調整する方法も効果的です。
他の出品者よりも明らかに高くすると売れませんが、多少高くするとか、もしくはライバルがいなければ強気の価格に設定して買ってくれる人が現れるまで待つのもありです。
在庫が増えれば増えるほど回転率が悪い商品が増えても影響は小さくなりますので、徐々に「売る」だけではなく「大きく利益を取る」方向に転換していきましょう。
このあたりの資金になると、仕入れ、発送、梱包の負担が大きくなるため、回転率の高い商品で稼ぐのはかなり厳しくなってくるからです。
梱包や発送を代行してくれるAmazonのFBAを使うなど、外注に依頼するといった工数の削減方法もあります。
しかし、50万円程度の資金を回している段階では出せる利益もそこまで多くはありません。
ただでさえ多くはない利益を外注やFBAで削られるのは厳しいことだと言えます。
せどりでは資金によって「回転率」と「利益率」を調整するのがおすすめ
せどりに関して、全員が最初から潤沢な資金を用意できるわけではありません。
むしろ多くの人が数万円や十数万円程度の少額資金で始めるのではないでしょうか。
せどりは資金に合わせて仕入れる商品を変えることで、それぞれの資金に合った増やし方が可能です。
今回紹介した「回転率」、「利益率」の2つのポイントに注意し、資金に合った販売方法と商品仕入れを調整しましょう。
もちろん今回紹介しているのは一例であって、その人の生活スタイルや考え方によって最適な仕入れ方は変わってきます。
・ 時間のある人は増やしやすい回転率重視の薄利多売でコツコツ売る
・ 忙しい人は放置できる利益重視の回転率の低い商品をのんびり売る
今回の記事をひとつの目安にして、自分なりの方法をぜひ模索してください。(執筆者:せどりや投資も行うマルチな事業主 菊池 貴弘)