最近、外貨建て保険をすすめられる機会が増えました。
たしかに円建て保険とは異なり、利回りや返戻率が高いため運用目的で保有するのもよいかもしれません。
しかし現在のコロナ禍で外貨建て資産を持つことに対する不安や、保険の本来の目的は保障であることを考えると、外貨建て保険の加入には躊躇してしまいます。
今回の記事では、外貨建て保険のメリットとデメリットを整理しながら、外貨建て保険の加入について考えたいと思います。

目次
外貨建て保険のメリット3つ
外貨建て保険のメリットを3つまとめます。
2. 生命保険料控除の対象である
3. 円以外の通貨資産が持てる
1. 利回り、返戻率が高い
円建ての保険に比べて、外貨建て保険は利回り、返戻率とも高めに設定されています。
日本は超低金利で、預貯金をしても利息はほとんどつきません。
しかし海外では日本よりも金利の高い国が多く、海外の資産を運用することにより利回りと返戻率を高めに設定することが可能です。
2. 生命保険料控除の対象である
円建ての保険と同様に、生命保険料控除の対象です。
年末調整や確定申告のときにきちんと申告すれば、所得控除の対象です。
ただし、外貨建て保険の場合は日本円に換算する必要があります。
申告時には、保険会社から送付される保険料控除の書類をご確認ください。
3. 円以外の通貨資産が持てる
日本円以外の通貨(米ドルや豪ドル等)を保有することで、通貨分散がかないます。
複数通貨を保有することで、円の価値が目減りしたときのリスクに備えられます。

外貨建て保険のデメリット3つ
続いて、外貨建て保険のデメリットを3点お伝えします。
2. 手数料が高い
3. 為替リスクがある
1. 円での元本保証がない
外貨建て保険は外貨で元本が保証されていても、円では元本保証されていないことがあります。
受取時に払い込み分の金額が担保されているのは外貨でのみ、という場合です。
例えば以下のような保険があったとします。
加入時の為替:1ドル=100円
加入時の払い込み:500万円
運用の結果、満期時には5万5,000ドルの保険金が得られ、外貨ベースでは5,000ドルの利益が出ました。
しかし、満期時の為替によっては、円換算すると損失が出る場合があります。
満期時に受け取った5万5,000ドルを円換算してみると、
満期時の為替:1ドル=110円の場合、受取保険料は605万
満期時の為替:1ドル=90円の場合、受取保険料は495万円
満期のときに円安もしくは加入時の為替と同水準ならば損失は出ませんが、為替レートによっては損失が発生してしまいます。

2. 手数料が高い
外貨建て保険では、保険会社が運用する際に為替手数料が発生するため、円建ての保険よりも手数料が高いです。
また、運用時にも手数料が発生します。
両替時の手数料と運用時の手数料、2重で手数料を徴収されます。
3. 為替リスクがある
デメリット1でシミュレーションしたように、外貨建て保険には為替リスクが伴います。
円以外の通貨で資産が保有できることはメリットですが、円高・円安といった為替相場の影響を受ける点には注意しなければいけません。
外貨建て保険には加入しない方が良いのか
株式や投資信託で投資することに抵抗がない人は、運用目的で外貨建て保険に加入する必要はないと思われます。
「投資は投資、保険は保険」と明確に区分して、保険には保障内容のみ求めればよいので円建て保険で十分でしょう。
自分で資産運用をするのが難しかったり、投資について調べるのが手間だと感じたりするならば、資産運用を兼ねて外貨建て保険を利用するもの悪くないかもしれません。
外貨ベースと言えど元本保証があり、保険商品として保障内容も付随しているため、比較的手堅く簡単に資産運用が始められます。
「損する」「難しい」とウワサされている外貨建て保険ですが、メリット・デメリットがあります。
資産運用において、自分自身が重視するポイントによって選ぶべき商品は異なります。
まずは自分が何を重視するかを整理しましょう。(執筆者:元証券ウーマン 安田 小夏)