先日、とある相続セミナーで
なぜなら、相続人へ贈与をする場合、亡くなる3年以内の贈与分は相続財産に持ち戻しになるけれど、相続でな人い孫であれば、直前(3年以内)の贈与も加算しなくていい」
と聞いた佐藤さん、その対策について、筆者にも確認をしてきました。
「開始3年以内の贈与財産は、相続税の課税価格に加算される」規定とは、相続税法19条で、以下のようなことです。
第十九条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前三年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産(第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三及び第二十一条の四の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産を除く。)に限る。以下この条及び第五十一条第二項において同じ。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第十五条から前条までの規定を適用して算出した金額(当該贈与により取得した財産の取得につき課せられた贈与税があるときは、当該金額から当該財産に係る贈与税の税額(第二十一条の八の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)として政令の定めるところにより計算した金額を控除した金額)をもつて、その納付すべき相続税額とする。(引用元:e-Gov)
目次
生前の孫への贈与は節税となるか
19条が適用されるのは、「相続又は遺贈により財産を取得した者」です。
孫は相続人でないことが多いです。
そのため3年以内の贈与加算の適用を受けず、死亡直前の贈与も、相続税対策になります。
逆に、相続人となった孫には適用されます。
例えば、「孫を養子にしている」、親より子が先に亡くなって、孫が代襲相続人であれば加算されます。
また、相続人でも、相続又は遺贈により財産を取得しなければ加算されません。

遺言で孫に遺贈した場合は
遺言書で孫に財産をあげる(遺贈で取得)ことにすれば、3年以内の贈与財産の加算が適用され、節税プランはいかされません。
生命保険の受取人に孫を指定したら
これも、「遺贈で財産を取得した者」とみなされ、3年以内の贈与が加算されないはずであった孫への贈与も、すべて加算されることになります。
さらに、相続人であれば、死亡保険の受取人には1人500万円 × 法定相続人まで非課税の枠がありますが、これも適用できません。
また、一親等及び配偶者以外である孫(代襲相続人の孫には適用されません)には相続税が2割加算されることも知っておきたい知識です。
※孫を養子にしても2割加算されます。
相続人でない孫への贈与でも加算されることがある
直前の相続税対策として、孫(相続人でない)に生前贈与することは、有効な相続税対策です。
その孫を受取人とした死亡保険に加入している、遺言で財産を相続させる場合は、節税にならないばかりか、その孫は「遺贈で取得した者となり」3年以内の贈与加算の対象にもなります。
保険の受取人は、確認しよう
保険に加入する時はあまり受取人の事を考えずに加入していることが多いです。
しかしこのようなことあるため、確認作業をお勧めします。
取人が既に亡くなっている場合も多く。別れた前の配偶者になっていることもあります。
保険の契約者が、子や孫である
名義預金と同じで、契約者だけ家族の名前に変えても、相続財産から除かれるわけではありません。
被相続人の通帳から家族名義の保険料が引き落とされていれば、その保険は被相続人の財産とみなされます。
対策は、被相相続税続人が元気なうちにしかできない
被相続人が、意思能力が低下して贈与を行うと、贈与が無効になることがあります。
そのため、財産を受ける側は元気なうちに贈与するよう提案してきますが、渡す側は、人生100年という時代です。
子に早々に贈与することで自身の生活設計が不安になるのも事実です。
本音は、あげたくありません。
そして相続税対策で得するのは相続人でしかないこともあります。(執筆者:1級FP、相続一筋20年 橋本 玄也)