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住宅ローンが払えなくなった! 元弁護士が解説する4つの解決策

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住宅ローンが払えなくなった! 元弁護士が解説する4つの解決策

コロナ禍での減収やボーナスカットによって住宅ローンが払えなくなり、マイホームを手放す人が増えています。

この記事では、住宅ローンが払えなくなったときに考えられる解決策として、次の4つの方法をご紹介します。

・ 住宅ローンの借り換えをする

・ 借入金で住宅ローンを払い続ける

・ 個人再生(住宅ローン特則付き)を申し立てる

・ マイホームを任意売却する

それぞれの方法について具体的なシミュレーションを紹介し、どんな人にどの方法が向いているのかについてもご説明します。

ローンが払えない!

1. 住宅ローンの借り換えをする

例として、次のような住宅ローンを抱えている人を想定して、住宅ローンの借り換えのシミュレーションをしてみましょう。

・ 借入時期 2010年12月

・ 金利 2.5%(10年固定)

・ 返済月額 10万円

・残債務 2,000万円

住宅ローンの金利が2.5%というのは、いま考えると高いと思いますが、10年ほど前は固定金利2.5%は平均的でした。

その頃は景気は上向いていくと考えられており、もう金利は下がらないだろうと思ってこの程度の金利で住宅ローンを組む人は多かったのです。

しかし、金利は下がり続けて、10年ほど前に組んだ住宅ローンで高い金利を払い続けている人が多くいます

だからこそ、住宅ローンの借り換えをするメリットは大きいといえます。

いまでは0.5%未満の住宅ローン金利を適用している金融機関も少なくありません。

借換金利の相場としては、変動型で0.5~0.6%、全期間固定型なら1.3~1.4%程度です(2020年10月現在)

残債務2,000万円を金利0.6%で借り換えると、諸費用をローンに組み込んでも返済月額は約7万5,000円となります。

2.5%で払い続ける場合よりも毎月2万5,000円ほど安くなります

ただし、借り換えにも審査がありますので、収入が減少した人や、住宅ローンの他にも借金がある人などは難しいかもしれません

このような問題がない場合で、早めに手を打ちたい人には住宅ローンの借り換えがおすすめといえます。

2. 借入金で住宅ローンを払い続ける

借金をして住宅ローンを払い続けることは、基本的にはおすすめできません。

しかし、一時的に収入が減ったものの回復する見込みがある人や、昇進・資格取得・転職などによって増収が確実な人が一時的に借金でしのぐのは悪いことではないでしょう

ただし、くれぐれも自転車操業は短期間にとどめなければ借金を返済しきれなくなるおそれがあります。

仮に消費者金融から毎月5万円を借り入れて3万円を住宅ローンの返済に充て、残り2万円を借金の返済に充てるとします。

これを1年間繰り返すと、消費者金融からの借金は約39万円になります(金利は18%と仮定します)。

2年続けると約86万円、3年続けると約141万円にも膨らんでしまいます。

借金が50万円になると、借り入れをやめて毎月2万円を返済したとしても3年近くかかってしまいます

借入金で住宅ローンを払うのはあくまでも臨時的な場合のみにとどめておきましょう。

3. 個人再生(住宅ローン特則付き)を申し立てる

住宅ローンの他にも多額の借金がある場合には、個人再生(住宅ローン特則付き)の申立を検討するのがおすすめです。

住宅ローン特則とは、正式名称を「住宅資金特別条項」といい、住宅ローンのみを特別扱いしてもらえる特例のことです。

この特例を利用すれば、住宅ローンは従来どおりに支払いながら、他の借金を原則として5分の1、最大で10分の1に減額してもらえます

ただし、最低返済額は100万円以上です。

なお、住宅ローンがオーバーローンの状態になっている人には非常に有効な個人再生ですが、アンダーローンになっている人は注意が必要です

なぜなら、個人再生には「清算価値保障の原則」というものがあり、所有している資産の評価額以上の金額を返済しなければならないことになっているからです。

例えば、マイホームの評価額が2,000万円で住宅ローンの残債務が1,000万円の場合は、差し引き1,000万円の資産を持っていることになります。

この場合、最低でも1,000万円以上は返済しなければなりません

個人再生における返済期間は最長5年なので、1,000万円の資産がある場合は毎月17万円近くもの金額を住宅ローンとは別に返済する必要があります。

個人再生を利用する場合は、住宅ローンの残債務とマイホームやその他の資産の評価額を確認し、事前に返済額を試算することが重要です。

4. マイホームを任意売却する

上記の方法のいずれによっても住宅ローンを支払えなくなった場合は、身内の方などに肩代わりしてもらえない限り、マイホームを手放さざるを得ないでしょう。

その場合は、金融機関から競売にかけられる前に任意売却をすべきです

なぜなら、競売の場合は査定価格のおおむね60~70%でしか売れませんが、任意売却なら相場と同等の価格で売ることが可能だからです。

アンダーローンの場合は、売却代金で住宅ローンを完済してもなお、お金が手元に残ります。

そのお金で他の借金を返済できることもあるでしょう。

大幅なオーバーローンで自己破産するしかないという状態でも、競売よりは任意売却をおすすめします。

なぜなら、任意売却の手続きをした方が円満かつ柔軟に転居できますし、引っ越し費用も売却代金の中から出してもらえることが多いからです。

なお、「リースバック」といって、マイホームを売った後も賃貸として住み続け、一定期間の経過後に買い戻しが可能というサービスを提供している不動産業者もあります。

しかし、この方法では売却査定が低くなる上に、買い戻し代金は高く設定されているため、実際に買い戻すのは非常に難しいのが実情です。

住宅ローンを支払えなくなった以上は、任意売却の方が金銭的なメリットは大きいといえます。

いずれにしても、住宅ローンの返済が厳しくなってきたら、早めの対処がポイントです。

早期に対処すれば借り換えで解決できる場合でも、滞納を続けたり、他の借金を作ったりしてしまうとマイホームを手放すしか解決法がなくなってしまうので、ご注意ください。(執筆者:元弁護士 川端 克成)

《川端 克成》
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川端 克成

約15年間弁護士をしていましたが、人の悩みは法律だけでは解決できないことに悩み続けて、辞めてしまいました。現在はフリーライターとして活躍中です。読んで役に立ち、元気が出るライティングをモットーに、法律問題に限らず幅広いジャンルで執筆しています。これまでの人生では、ずいぶん遠回りをしてきました。高校卒業後は工場などで働いて二部大学に入り、大学卒業後も工場で働いて司法試験の勉強をしました。弁護士を辞めた後も工場で働きながらライティングの修行を重ねました。そんな人生経験にも基づいて、優しい心を執筆を通じてお伝えするのが理想です。 寄稿者にメッセージを送る

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