今回は、銘柄選別時に確認しなければならない「信用倍率」と「VIX指数」について解説していきたいと思います。

目次
需給関係に注目
株式などの有価証券に投資する際の銘柄選別法にはいくつもの種類があり、
必要があります。
しかし、「ファンダメンタルズ分析」は不確かな点が多く、突発的なイベントが発生してしまうと後手に回ってしまうため、分析が非常に難しいと言えます。
その点、「テクニカル分析」であれば、過去の統計的なデータから算出される数値を基にした分析で予測精度を高められます。
この「テクニカル分析」には、「RSI」や「ボリンジャーバンド」「MACD」などのさまざまな指標が使われますが、
ということです。
1. マーケット全体の需給を確認
株式投資をする際には、
必要があります。
米国市場の動向は「S&P500」と「ナスダック」のネットポジションで判断
この需給を判断するための指標は数多くあり、最も重視しなければならないのが米国市場の動向です。
米国市場の動向は「S&P500」と「ナスダック」のネットポジションから判断でき、ここから機関投資家のポジションが買いなのか売りなのかを判断する必要があります。
・ 売りが積み上がっているのであれば将来的に上昇する可能性が高い
たとえば、今年の9月の米国株式市場の急落局面では、「ナスダック」の売りポジションが大幅に積み上がっていて、「S&P500」は買いが積み上がっていました。
これから、「ハイテク株が売られて景気敏感株が買われるローテーションが起こっていた」ことを判断できます。
さらに、ナスダックの売りポジションが大幅に増加しているということは、将来的に大きく買い戻される可能性が高いということを意味しますので、その後ナスダックは上昇に転じました。

日本の「2市場合計信用倍率」を確認する
また、日本の「2市場合計信用倍率」を確認することも非常に重要です。
9月の米国株の下落局面において、日本株は全く下落することなく、反対にその水準を切り上げて上昇に転じました。
これは、
します。
機関投資家やヘッジファンドは、この需給の偏りを狙って売買を仕掛けますので、日本株式を売り仕掛けてもうまみが少なかったものと考えられます。
従って、マーケット全体の需給関係をまず確認することで適格市場を選択するのが重要です。
2. 個別銘柄の需給を確認
前述にあるように適格市場を選択し終えたら、次にしなければならないのが個別銘柄ごとの需給関係を判断することです。
そこで見なければならないのが
であり、信用買い残がどれだけ少ないのかを判断する必要があります。
「信用倍率」が高いと需給的には上昇しづらくなり、何かしらのネガティブイベントが発生すると株価が急落する可能性があり、注意が必要です。
ここで、特に注目しなければならないのが「制度信用倍率」であり、これは半年後に期日が到来するため、必ず売却されることが決まった建玉です。
この「制度信用倍率」が非常に高いと、短期的にすぐに売られる可能性がさらに高くなりますので注意が必要です。
従って、前述にある注意点を意識し、
ので、銘柄選別には必ず確認しておくようにしましょう。
「VIX指数」でマーケットリスクを回避

前述では、全体市場と個別銘柄の需給関係から適格銘柄を選別する重要性について解説しました。
しかし、マーケット全体のリスクが高い状態では、安値で買ったつもりがさらに急落してしまうケースが多々あります。
そこで重要になってくるのが、「VIX指数」(恐怖指数)の動向を確認することです。
この「VIX指数」とは、市場の不安心理を表す指標であり、この水準が高いと市場のボラ(変動率)が高いことを意味します。
そのため、この値が急上昇している局面で投資判断をしてしまうと、リターンよりもリスクが高くなり、予想外の損失につながる可能性が高いのです。
今年のコロナショック時においても、この「VIX指数」は急騰し、過去最高水準まで高騰しました。
この時に「VIX指数」の水準を見ることなく安易に投資判断をした場合、その損失は計り知れないものとなっています。
従って、
してから、前述にある需給の見極めをする必要があります。
リスクを抑えて効率よく投資
以上より、銘柄選別時にまず確認しなければならないのが、「VIX指数」の水準であり、市場が安定しているタイミングを狙う必要があります。
さらに、マーケット全体、個別銘柄ごとの需給をネットポジションや信用倍率から判断し、適格銘柄に投資することでリスクを抑えた効率のよい投資ができます。(執筆者:現役証券マン 白鳥 翔一)