新型コロナによる日常生活の制限が続いています。
サービス業や飲食業などに従事している方は、ボーナスや賃金の減額、また、派遣社員の雇い止めなどで経済的な損失が発生しています。
経済的に厳しくなった際に負担となるのが、毎月決まった支払いです。大学や専門学校に通う人の多くが利用する奨学金も毎月の支出です。

目次
奨学金の返済ができなくなると
いかなる理由があれど、奨学金の返済が3か月以上遅れると個人信用情報に傷がつくことになります。
いわゆるブラックリストに載るということです。
個人信用情報機関に名前が登録されると、
・ 住宅ローンの審査が通らなくなる
・ 賃貸契約の審査が通らなくなる
などのさまざまな制約を受けることになります。
さらに、4か月以上滞納すると民間の債権回収会社に委託され、電話や郵便物で催促されたり、自宅まで債権回収会社の担当者が訪問してくることもあります。
9か月以上滞納すると法的措置を取られます。
給与の差し押さえや保証人や連帯保証人に「本人の代わりに残金全額と利息分を支払ってください」という内容の支払督促申立予告が郵送されます。
「減額返還制度」と「返済期限猶予」
奨学金の返済ができなくなったら、そのまま放置してはいけません。
然るべき手続きを行えば
・ 支払い自体を正式に延期させる
こともできます。
「減額返還制度」
ケガや病気、自然災害、または個人の経済的困難などを理由に奨学金の返済が難しくなった場合に利用できるのが「減額返還制度」です。
月々の返済額の1/2または1/3まで減額できます。
その分返済期間は伸び、利息分は増加しますが、滞納して遅延金(年利3%)が加算されるよりも全体の返済額は少なくなります。
手続き方法:独立行政法人 日本学生支援機構
「返済期限猶予」
月々の返済を減額しても厳しい場合には、返済自体を一時的に猶予してもらえる「返済期限猶予」という制度もあります。
コロナの感染拡大を受けて緊急的に12か月を限度として「返済期限猶予」の申請ができるようになりました。
自然災害やケガや病気、失業した場合には今まで通り通算120か月まで申請できます(個々の審査により猶予期限は変動します)。
猶予期間であっても利息は発生しますが、「減額返還制度」と同じように遅延金よりも通常利息のほうが低いため、全体の返済額は少なくなります。
手続き方法:独立行政法人 日本学生支援機構
奨学金の返済にカードローンは利用しない

真面目な方の中には奨学金の返済をするためにカードローンを利用する人がいますが、個人的にはカードローンを利用して返済することはおすすめできません。
理由は利率の差です。
奨学金の利率は「利率固定方式」や「利率見直し方式」によって若干異なりますが、0.1~0.35%程度です。
一方で、カードローンの利率は10~18%と奨学金の利率と比べると30倍以上にもなります。
カードローンを利用するくらいなら、「減額返還制度」の利用を検討してください。
たとえば、奨学金を480万円(理系私立の学費相当)借りていた場合には月々の返済額は約2万円ですが、
になります。
多重債務者になる前に「減額返還制度」「返還期限猶予」を利用
奨学金の返済が遅れた結果、カードローンを利用して多重債務者になってしまう人がいます。
奨学金の返済が難しくなった場合には、冷静に「減額返還制度」と「返還期限猶予」の利用を考えてください。(執筆者:一級建築施工管理技士、マンション管理士 田中 かな太)