人は誰しもが空腹を感じます。
しかしつらいほどの空腹感を節約中だからと我慢して過ごしていてはいずれ心身に害が出るかもしれません。
節約中のつらい空腹感の対策について説明します。

目次
空腹とは
空腹は体からの栄養不足のサインです。
体が栄養不足状態になる3つの原因を説明します。
1. 食事の量がたりない
日本人の食事摂取基準2020年版では推定エネルギー必要量を18~74歳の男性で2,400~2,650kcal、女性で1,850~2,000kcalとしています。
これだけのエネルギーを摂取しようとするとある程度、食事の量が必要になります。
食費節約のためにと食事の量を減らしすぎたり、食事の回数を減らしすぎたりするとエネルギー不足になり空腹を感じやすくなることがあります。
2. 栄養バランスの偏り
日本人の食事摂取基準2020年版では30種類の栄養素について推定必要量を設定しています。
人が健康的に生きていくためには最低でもこれだけの栄養素が必要だということです。
節約のためにと安い食材ばかり使っていると何らかの栄養素が不足することがあります。
しかし、どの栄養素が不足しても体から発する信号は空腹感だけなのです。
つまり空腹を感じ何かを食べても、不足している栄養素が補充されるまで空腹感を感じやすい状態が続くこともありえるのです。
3. 栄養が吸収されていない
食事の量は確保していて、栄養バランスを考えている、それでもつらいほどの空腹感がある。
そういう人は食べたものを吸収できていないことが考えられます。
せっかく食材を食べても消化・吸収できなければ、栄養として体は使うことができません。
胃腸が弱っている、早食い、食事の時間が不規則なこと等が重なり原因です。
つらいほどの空腹の解決策
苦しい空腹感を解決する方法を考えます。

1. 満足感を得られるまで食べる
食事のたびにカロリー計算をするのは現実的ではありません。
あなたに必要なエネルギー量はどれくらいのものなのか、目と体で会得するのがベストです。
目安はゆっくりよくかんで食事をして20~30分程度かかる量、おなかが張る「満腹」ではなく、食後に充足感を得られる「満足」を感じることです。
十分に食事ができていれば「何か食べたい」と感じることはありません。
2. 一汁一菜を、意識する
毎食30種類もの栄養のバランスを考えることは現実的ではないので、一汁一菜の型を整えることをおすすめします。
ごはんやパンなどの主食に汁物と1品のおかずを添えるのが一汁一菜です。
コンビニごはんで考えるならば、おにぎりに豚汁と豚の生姜焼きの組み合わせです。
汁物を具沢山にして野菜をとるのがポイントです。
この型を整えることで普段の日の栄養バランスが整った食事になります。
3. 消化器官を整える
食べたものを栄養として使うためには消化器官が元気であることがマストです。
タンパク質と脂質中心の食事は胃腸内の滞留時間が長く、消化器官に普段をかけやすくなります。
糖質制限をすると便の状態が悪くなった、という経験をお持ちの方もいるかもしれません。
忘れがちですが口も消化器官で食べ物がペースト状になるまでかみ、唾液を十分に分泌させることも必要です。
しっかり栄養・食べて満足・節約献立
実際にどのくらいの量、何を食べたら良いのかというのは人によって、また、状況や環境によって変わります。
そこで女性、40歳、デスクワークの筆者が普段食べている食事を紹介します。
あなたの状況と照らし合わせて調整する参考にしてください。
主食:雑穀米200g(45円)

ごはんをしっかり食べることでカロリーを確保し、満足感を高め、腹持ちを維持します。
雑穀を混ぜることで栄養価を上げます。
米は安価で節約と栄養を両立させてくれます。
汁物:具だくさんみそ汁(30円)

みそ汁の具は野菜、きのこ、海藻類を中心にします。
これらは食材の中でも安価であり、量を食べても節約しつつ栄養を確保できます。
主菜:鶏とほうれん草のソテー(140円)

米にもたんぱく質が含まれているので、十分に米を食べていれば肉はたくさんはいりません。
写真の鶏肉は80gです。
鳥もも肉1枚で3~4人分のイメージです。
栄養的には十分であり、価格も抑えられます。
低コストの品で満足感ある食事を
ごはんが多くて肉が少ないと感じたのかもしれません。
しかしこれが栄養バランスと満足感、節約を1度にかなえる献立の1例です。
これらの一汁一菜で合計220円です。
ごはんとみそ汁の低コストの品の量と栄養を確保すれば、高コストになりがちなおかずは増やさずに満足感を得ることができます。
節約はあなたや、あなたの家族の幸せのためにしているのだと思います。
それが節約することが目的となり、つらいほどの空腹を抱えて日々を過ごさなければいけないのでは本末転倒です。
元気に楽しく節約を続けてください。(執筆者:栄養士、管理栄養士 小原 水月)