長女が小学校に入学した当時に漢字ドリルを1冊買ったことがあります。
しかし、それ以降には、中学生を卒業する今年まで新しい漢字ドリルは買っていません。その代わりに長く使える辞書と本を購入して、それを子ども3人が使いました。
今回は、学校のテストを最大限に有効活用したコスパの良い漢字学習方法を紹介します。

目次
間違えた漢字だけを復習する
方法はいたってシンプルです。学校から持ち帰ったテストを見て、間違えたところだけを家で再テストします。それでも間違えた漢字のみを復習するのです。
再テストのコツは2つです。
(2) 一度にたくさんをやり直さない
ことです。
(1) 新しい紙に間違えた問題だけを書き写す
ミスした跡の残るプリントを見て、子どもが嫌な気分になってしまうと学習意欲が下がってしまいます。
漢字テストを持ち帰ってきたら、間違えた問題だけをノートや裏紙に書き写します。
(2) 一度にたくさんをやり直さない
たくさんのミスがあったとしても、一度に書く問題数は10問以内にしましょう。間違えた漢字の復習には、ある程度の時間をかけるからです。
さらに、問題数が少ないほうが子どものやる気も出やすくなります。数が多い場合には、数日に分けます。
一度に多くの問題に取り組んで疲れてしまうと漢字の復習自体が嫌なものになってしまい、漢字学習自体のハードルが上がってしまうのです。
今回の方法は少し手間がかかるのですが、小学生のうちに漢字の学習方法を身に着けることが目的です。
中学生になった長女はこの方法で漢字への苦手意識がなくなり、毎年漢字検定を受けて無事に3級まで合格しました。
中学1年生の次女も5級を獲得し、今は唯一の小学生となった末っ子がこの方法で学習しています。
「たくさん書いても間違えてしまう」などという場合には、ぜひお試しください。
2つの原因に合わせた復習方法
漢字の間違いには主に2つの原因があります。
(2) 漢字の意味をつかめていない
それぞれの学習方法を紹介します。
(1) 漢字の形を正確に書けていない時の学習法
この場合には、「意味は分かっているが、形が整っていない」ということです。
お子さんによってはトメ、はね、などの線の特徴を正確に書くこと自体が面倒だと感じることでしょう。
しかし、漢字にはこの線や点の形がとても大事だということを伝えて、書き順から練習します。
正しい書き順はきれいな字を書ける順番です。線や点の書き忘れも防ぎやすくなります。
書き取りは3回程度でも良いのですが、ここでのコツは大きな紙に大きく書くということです。
ノートでも裏紙でも構いません。用紙いっぱいに大きくゆっくりと書いてもらいましょう。
たくさん書く必要はありません。その代わりに、書き順や線の形を正確に書くようにします。
鉛筆よりもペンや油性マジックなど太く書ける筆記具のほうがおすすめです。
「覚えたかな」と思ったら鉛筆に持ち直して普通のサイズで書いてもらいます。「まだ微妙だな」と思ったらもう一度大きく書いてもらいましょう。
家にホワイドボードがあれば、そちらに書いてもよいと思います。大きく書くことで、曖昧だった漢字の形が掴みやすくなります。

(2) 漢字の意味をつかめていない時の学習法
空欄になっている、または別の漢字を書いている場合には、どちらも原因は同じです。漢字の意味をつかめていないのです。
ここでやることはまず、問題に使われている言葉の意味が分かるかを聞いてみることです。
問題に出ている言葉の意味が分からなくて、ふさわしい漢字を選べないという場合があります。この場合には、国語辞典で調べてもらいます。
調べた言葉はいったん音読してもらいましょう。目読だけの時よりも覚えやすくなります。
問題に使われている言葉の意味が分かったら、漢字自体の意味を復習します。漢字の意味は漢字辞典や学校のドリルに載っています。
漢字の意味をひととおり復習したら、問題を出してあげましょう。
たとえば、
といったようにクイズ形式にすると答えやすくなります。
文章を作るのも良いのですが、意味がつかめていないと例文を作りにくいのが事実です。
漢字辞書やドリルなど教材の例文を見て、親が「こういう使い方もあるよ」と漢字を使うシーンを増やしてあげると意味を掴みやすくなります。
意味を先にイメージしてから、漢字の形を復習します。意味は分かったもののうまく書けないという場合には (1) の学習法を行います。
それでもどうしても間違えてしまう場合
結局のところ、漢字は使わなければ身に付きません。家庭学習をしていても、普段に書く機会がなければすぐ忘れてしまいます。
そこで、気軽な復習を日常に取り入れましょう。
・「こういう場面でも使うよ」と会話の中で使用シーンを増やす(意味の復習)
こういった紙に書かない復習を短期間のうちに2~3回行うと効果的です。
全ての漢字を家で学習しない理由
以前は「ドリルを買って学校で習う全ての漢字を練習させなくては」と思っていました。しかし、子どもの宿題やテストを見ていると、
(2) 意味を学ぶ:ノートに例文作成と書き取り練習
(3) ミニテスト:プリント
(4) 学期ごとの漢字復習テスト:プリント
このように学校では宿題も含めて漢字にある程度の時間をかけていることが分かります。
ここまでやってもテストで書けなかったということは、(1) 書き順、(2) 使い方 のどちらか、あるいは両方でつまずいているということです。
したがって、「間違っていない漢字は理解し、使えている」と認識して家庭での復習に時間をかけないことにしました。
筆者は (4) の学期ごとの漢字復習テストを中心に漢字の家庭学習を行っています。
(3) の ミニテストの段階で間違っても、繰り返し行われる漢字テストで次第に意味や形を覚えることがあるからです。
しかしながら、一度間違って覚えると修正が難しい子の場合には、ミニテストの段階から家庭学習を取り入れるとよいのかもしれません。
子ども3人が使い込んだ辞典と本
書店に行けばフルカラーでわかりやすい辞典がたくさんあります。
その中からぴったりの物を探すのも楽しいのですが、参考までにわが家で使っている漢字学習用の書籍を紹介します。
漢字辞典と同音異義語の本は長女が小学生の頃に買ったものですが、下の子達も使い続けています。
小学生用の漢字辞典:「オールカラー 学習漢字新辞典 第2版」 | 小学館

小学館の「学習漢字新辞典」は画数ではなく学年別に掲載されているので、子どもでも探しやすくて重宝しています。
親としては、教えている時に「この漢字は何年生で習うんだっけ?」という時の確認に使えて助かります。
書き順や字のなりたちなどイメージで覚える時に必要なことも載っています。どのような辞典なのかをホームページでお試しで読めるのもありがたいところです。
同音異義語の解説本:「絵でわかる漢字使い分け」(丹波哲也著) | PHP出版
手元にあるのはPHP出版の「絵でわかる漢字使い分け」(丹波哲也著)という本ですが、10年前の本なので現在は販売されていないようです。
「同音異義語、小学生」で検索すると漫画ありの解説本がヒットするので、検索してみてください。
小学生で習う漢字の同音異義語はけっこうあるものです。
こういった本は漫画の部分だけ読んでも違いが分かるようになっていることが多いので、子どもが気軽に覚えられます。
小学生用の国語辞典
小学生用の国語辞典は、1人1冊購入しました。自分用があると調べた言葉に線を引いたり、付箋を貼って成果が見えるようにできるからです。
それだけでも辞典を使うモチベーションが上がります。分からないことがあると勉強が嫌になってしまうのが子どもというものです。
面倒でも、ひとつずつの言葉を調べて意味を知る習慣を根気よく教えましょう。
親が子どもの前で辞書を引く姿を見せるのもよいことだと思います。
ドリル購入時との費用を比較
Amazonで漢字ドリルを検索して、最も安いと思われる価格が1学期でおよそ750円でした。1年間で2,250円、6年間で1万3,500円です。
一方で紹介した学習法にかかる費用は、
・ 類義語の本:1,200円
・ 国語辞典:2,530円
合計:6,150円
ですので、およそ半額です。しかもドリルの場合には勉強できるのが漢字のみですが、辞典や本はその他の勉強でも使えるのでコスパの高い教材だと言えます。
「小学生のみ」の教材はメルカリでもよく出ているので、中古を選べばさらに費用を抑えられます。
ただし、2020年に新しい小学校学習指導要領になり、4・5・6年生で習う漢字が増えているのでその点は注意しましょう。
参照:文部科学省
新しい問題を解きたければ「無料アプリ」などを利用
いろいろと試してきて、親も子も無理なく続けられるようになったのがこのスタイルでした。
このほかにも、新しい問題を解きたい場合にはネット上にある「無料の漢字ドリルを印刷する」「無料の漢字アプリを利用する」などの方法もあります。
ドリルを買うことにこだわらず、家庭にあったコスパの良い漢字学習法を探してみてください。(執筆者:田中 よしえ)