働いている女性が会社を辞めるタイミングには、結婚や出産が考えられます。
昔と違って今は、ほとんどの会社で結婚後や出産後にも仕事を続けられる環境が整っていることでしょう。
しかし、今も結婚や出産を機に辞める風潮になっている会社もあります。また、結婚や出産を機に会社を辞めたいと思っている方もいることでしょう。
今回はこのような方たちに向けて、結婚や出産で会社を退職した際の年金の手続きについて詳しく解説していきます。
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目次
退職後に夫の扶養に入る場合
ここでは、夫が会社員などの厚生年金保険の被保険者であり、結婚や出産による退職後に専業主婦などになって夫の扶養に入る場合の年金の手続きについて解説していきます。
厚生年金保険の被保険者である夫の扶養に入るには、年収130万円未満(障害者などは180万円未満)でなければなりません。
専業主婦になって収入が0円になった場合には、基本的には扶養に入れます。
厚生年金加入者である「第2号被保険者」に扶養されている年収130万円未満の配偶者は、国民年金の「第3号被保険者」です。
配偶者の勤務している事業所を通じて手続きするため、本人が手続きする必要はありません。
また、年金保険料も配偶者が加入している年金制度が一括して負担しているため本人が負担する必要はありません。
再就職またはパート先やアルバイト先で「厚生年金保険」に加入する場合
退職後に社員として再就職した場合はもちろんのこと、次のいずれか条件に当てはまる場合には「厚生年金保険」の被保険者になります。
(1) 1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が常時雇用者の3/4以上であること
(2) 以下の短時間労働者の要件の全てに該当すること
・ 所定労働時間が週20時間を超えていること
・ 月給が8万8,000円(年収106万円)以上であること
・ 1年以上継続して適用事務所に勤務する見込みがあること
・ 学生ではないこと
・ 従業員規模が501人以上の事業所に勤務していること(従業員500人以下の事業所は労使の合意があること)
厚生年金保険に加入する場合には「第2号被保険者」となり、保険料は勤務先と折半することになります。
勤務先が手続きするため、本人が自分で手続きをする必要はありません。
退職後に自営業者になるか、夫の扶養に入らない場合
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20歳以上60歳未満の方で
・ 夫が自営業者などで夫の扶養に入らない場合
などは、国民年金の「第1号被保険者」になる必要があります。
「第1号被保険者」の国民年金保険料は全額自己負担で、退職日の翌日から14日以内に住所地のある市区町村の役所に年金手帳を持参して手続きする必要があるのです。
退職前からきちんと考慮
このように、結婚や出産で会社を退職した際の年金の手続きは、退職後にどのような立場になるかによって変わります。
したがって、退職前からきちんと考慮することが大切です。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)