1年間(その年の1月1日から12月31日までの間)に支払った医療費が一定額を超える時にその医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けられるのが「医療費控除」です。
この「医療費控除」の適用を受けるには、税務署に確定申告書を提出する必要があります。
※制度の詳細については、国税庁のホームページをご参照ください。
「医療費控除」の還付申告は、医療費を使った翌年から5年後の12月31日まで遡ることができます。
ご自宅にうっかり放置したままになっている病院の領収書はありませんか。
私は以前に時効ギリギリとなった領収書をかき集めて還付を受けたことがありました。
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つい面倒で還付申告をしそびれた
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2014年に大がかりな歯科治療を受け、これだけで20万円以上の医療費がかかりました。
その時にすでに「医療費控除」の制度は知っていたので、歯科治療の領収書だけではなく他の病院にかかった領収書も保管して確定申告に備えていました。
しかしながら、当時の私は今ほどお金の管理に敏感ではありませんでした。
また、年末調整のある会社員だったために確定申告自体が必須ではなく、わざわざ書類を揃えて税務署に出向くのが面倒で、何もしないままにズルズルと2015年3月の確定申告時期を過ぎてしまいました。
ある日、確定申告の中でも「医療費控除」の還付申告は医療費を使った翌年から5年後の12月31日まで遡れることを知りました。
それでもズボラな私はぎりぎりまで手続きをしなかったのですが、いよいよ時効を迎える2019年末にふと思い立って計算したところ、納めた税金が1万円以上戻ってくることに気がつきました。
「1~2時間で頑張って書類を揃えて税務署に出せば、時給5,000円!これはやらねば」と、怠惰な心に鞭打って書類に記入しました。
重い腰を上げて5年前に納めすぎた税金を取り戻す
まずは「国税庁 確定申告書等作成コーナー」のWebサイトにアクセスしました。
今でこそ「e-tax(電子申請)」という方法もありますが、5年前の話で電子申告をできるかどうかが分からなかったため、画面に入力したものを紙に出力して提出する方式を選びました。
所定のフォームに沿って必要事項、特に手元の領収書の内容を1つ1つ入力し、完成したものをPDF形式でダウンロードしたうえで、紙に出力して提出します。
若干の手間はかかりましたが、難しいものではありませんでした。
これが2019年12月29日でした。期限までは残り3日で、税務署は当然ながら年末年始休暇に入っています。
「何か不備があれば連絡ください」と投函日と連絡先とを明記した手紙を添えたうえで封をして、最寄りの税務署の時間外ポストに投函しました。
われながら、なかなかひどいものです。
思っていたよりも多くの税金が返ってきた
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3週間ほどで申告が受理された旨を知らせるハガキが届き、その後2020年2月4日付で無事税務署から還付金が振り込まれました。
その時点で振り込まれたのはおおむね想定していた金額だったのですが、この後さらに1か月半ほどたって、今度は住んでいる自治体から納めすぎていた住民税を還付するとの連絡がありました。
もし、通常の確定申告のスケジュールで還付申告をしていれば、翌年の住民税納付額が決定する前なので医療費控除分が翌年の住民税額に反映されていたことでしょう。
しかし、私の場合には2015年の住民税を払った後で還付申告をしたため、自治体が住民税を計算し直して払い過ぎた分を返してくれたのです。
2020年4月21日付の入金でした。2月に戻ってきた所得税の分とほぼ同額が戻ってきたので、さらに得した気分になりました。
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諦めずに「還付申告」住民税も戻ってくるかも
以上、5年越しで「医療費控除」の還付申告をした私の体験談をお届けしました。
通常の手続き時期を大幅に過ぎての申請はなんだか気が引けて、長いこと行動に移せませんでした。
しかし、時効寸前で意を決して手続きをしたところ、思っていた以上の額の還付金が振り込まれたのです。
申告しそびれたままの医療費の領収書がお手元にある方は、ぜひ還付申告されることをおすすめします。(執筆者:星澤 美衣)