つみたてNISAは、投資で利益が出た場合に(運用益)に本来かかってくる20%の税金が非課税になるお得な制度です。
税制の優遇を受けながら将来の資産形成をできるため、投資が未経験だった人も含め、現在多くの人がつみたてNISAを始めています。
今回は、そんなつみたてNISAで初心者がついつい取ってしまいがちなNG行動についてご紹介します。
かしこく資産形成していきたい人は必見です。
いまからしっかりチェックしておきましょう。
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目次
【NG行動1】毎月の積立金額を少し高めに設定する
「今話題になっているし、みんなやっているから」
そんなきっかけからつみたてNISAを検討し始める人も少なくないでしょう。
ほかにも、現在預貯金の金利も低く、税制の優遇も受けられることから「やらなきゃ損」と考えている人もいるかもしれません。
しかしここでまずポイントとして押さえておきたいのが、投資は余剰資金で実施するのが大前提だということです。
このポイントを押さえないまま何となくつみたてNISAを始めた人のなかには、限度額いっぱいの掛金で運用をスタートさせ、結果毎月の家計を圧迫するハメになってしまったというケースもよく聞く話です。
将来のためにと少しでも積立金額を多くしておいたほうがよいのではという気持ちも理解できますが、貯金を切り崩したりボーナスから補填したりするような事態になっては本末転倒です。
運用を始める場合、まずは毎月の家計からいくらなら無理なく積立金額が出せるかを確認することから始めていきましょう。
また、不安な場合は生活防衛資金をある程度確保して余裕ができてから始めるのも方法です。
会社勤めの人なら生活費半年分、自営業の人なら生活費1年分が生活防衛資金の目安と言われています。
お得さや節税などのメリットだけを見て始めてしまうと失敗につながる恐れがあるため、まずは冷静になって自身の家計と向き合ってみるようにしましょう。
【NG行動2】自身にとっての決め手がないまま商品選定をしてしまう
つみたてNISAの対象商品は、金融庁の定めた基準を満たしているものです。
そのため、初心者の人の中には「金融庁の基準をクリアしているということは、どの商品も優秀ということだろう」と考えてしまい、人に薦められたものや、自身にとっての決め手もないまま何となくの感覚で商品選定してしまう人もいるようです。
しかしそのような選び方をしてしまうと、販売担当者のカモにされて代行手数料の高いものを進められたり、自身が想定していたリスク許容度を超えたハイリスクな商品を選んでしまったりする可能性も否めません。
また商品内容をしっかり吟味して選定しなかったゆえに、長期間保有するなかで商品の特性を忘れてしまう人も大勢います。
そうなってしまうと、どんな指標に連動しているか、バランスファンドの場合はどんな資産にどれぐらい配分されているのかなども分からなくなって売買のタイミングを逃してしまったり、そのほか同様商品を複数保有してしまったりするケースも考えられます。
初めて投資する場合こそ、しっかりと自身に合った商品を見極めて選定するようにしましょう。
【NG行動3】商品を分散しすぎる
投資未経験の人は、慣れるまでリスクをできるだけ低くしたいと考えている人も多いでしょう。
そんな人がリスクヘッジとして有効なのが、商品を複数買い付ける分散投資です。
これはつみたてNISAだけでなく通常の投資信託でも同じですが、投資する国をはじめ、株や債券等の投資対象を分散することで、リスクを抑える効果があるとされています。
しかし、いくらリスクを低くしたいからと言って、分散しすぎてしまうのも考えものです。
そもそも投資信託の商品は、すでに複数の銘柄や資産に分散投資されています。
そのため分散しすぎると、重複している銘柄や資産が複数出てきてしまう可能性が高くなりバランスのよいポートフォリオとなりません。
分散投資はリスクヘッジに有効な手段ですが、できれは5本以内にとどめておくようにしましょう。
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【NG行動4】相場の下落局面で怖気づいて売却してしまう
投資経験の少ない人の中には、相場の下落局面で資産が目減りしてしまい「これ以上の損失が出たら」と怖くなって積み立てをやめてしまったり、積み立てた投信を売却してしまったりするケースがよく見られます。
特に2020年あたりコロナの影響で世界的にコロナが暴落した際、早まって売却した人も少なくありませんでした。
しかし、多少の値下がりや損失が出たからと言って、早期で中途解約するのはあまりおすすめできません。
つみたてNISAにあてているお金については、今すぐに必要となるお金ではないはずです。
そもそもつみたてNISAは中・長期での資産形成を目的とした金融商品であり、10年~20年、少なくても数年単位での長期スパンでの投資を考えていたもののはずでしょう。
また、相場は長い目で見ると必ずどこかで底を打って回復する形となっているほか、値下がり局面では多くの口数が購入できるため、平均購入価額引き下げにもつながります。
ですが、値下がり局面で積み立てをやめてしまった場合、このメリットはいかすことができません。
したがって、つみたてNISAでは一時的な相場の動きに一喜一憂せず、コツコツと積み立てを継続していくことが大切です。
金融庁の試算でも、つみたて投資で資産を20年保有すると、利益は年率2~8%ほどに落ち着くと示しています。
どんな局面でも焦らず、淡々と継続させていくよう努めましょう。
【NG行動5】20年後のことをシミュレーションしていない
つみたてNISAを非課税で投資できる期間は20年間です。
20年後まで保有し続けた場合、その後のことをきちんとシミュレーションできているでしょうか。
例えば、もしも20年後の解約時に相場が下落していた場合、あなたならどうしますか。
ここで慌てて売却してしまうのはよくないです。
特にすぐに使うお金でないのなら、課税枠にシフトして運用を続けるのも1つの方法でしょう。
それ以降の運用益については課税されてしまうものの、非課税機関で増えた分については非課税のままです。
暴落時に損失確定するのではなく、復活してから取り崩していくという方法などいくつかの手段についても今からシミュレーションしておくとよいでしょう。
知識を備えてつみたてNISAを賢く活用しよう
多くの人が運用を始めているつみたてNISAですが、しっかり知識をつけたうえで始めないと思ったような成果は得られにくいでしょう。
つみたてNISAは中・長期で資産を形成していく商品ゆえ、かしこく運用していきたいものです。
これからつみたてNISAでの運用を検討している人や、始めたばかりで不安を感じている人は、紹介した内容もぜひ参考にしてみてください。(執筆者:元銀行員 吉村 みき子)