毎日使うカトラリーの多くはステンレス製です。
銀のカトラリーが最高級ですが、放っておくと黒ずんでしまい、一般家庭で使うには不便かもしれません。
ステンレスは丈夫でさびにくい金属ですので、一度買ってしまえば、なくしてしまうまで使い続けられるコスパ最高の素材と言えることでしょう。
今回は、100均のカトラリーから高級腕時計にまで使われている「ステンレス」についてお話しします。

目次
割れない・折れない「ステンレス」の基礎知識
ステンレスは、鉄を50%以上・クロムを10.5%以上含む合金です。
鉄だけでは、すぐに錆びてしまいます。しかし、鉄にクロムを加えると、クロムが酸素と結びついてステンレスの表面に膜を作ります。この膜がステンレスのさびを防ぐのです。
カトラリーのように毎日使い、小さな傷が絶えないものでも心配いりません。膜は、酸素と接することで再生します。
これが「傷だらけのステンレス製カトラリーがさびない理由」です。
100均のステンレス製カトラリーと高級カトラリーの違い
100円ショップには、ステンレス製のカトラリーがたくさん並んでいます。
しかも、日本製で製造元は金属加工品の一大産地である新潟県燕市と書いてあるものもあるのです。
日本が誇る燕市で作られたカトラリーが100円で買えるなんて「ステンレス製カトラリーは100均の掘り出し物」かもしれません。
一方で、百貨店の高級食器売り場にもステンレス製のカトラリーがあります。
小さなティースプーンが1本1,000円以上で販売されています。
「同じステンレスならば100均で十分」と思う人も多いのではないでしょうか。
品質の違い
実は、100均のステンレスと高級食器のステンレスには違いがあります。
高級食器売り場のカトラリーには「18-10」や「18-18」とかいてあります。これは、クロムとニッケルの含有率を表しています。
たとえば、「18-10」はクロムが18%以上とニッケルが12%以上です。「18-18」にはクロムとニッケルともに18%以上含まれています。
「18-8」であれば「よいステンレス」、「18-18」は作っているメーカーも限られる「最高級品」です。
国内で有名な「18-18」カトラリーは、株式会社アヅマの「インペリアル」シリーズだと言えることでしょう。大手百貨店の高級食器売り場でよく見かけます。
100均で売っているステンレス製のカトラリーは「18-0」がほとんどです。「18-0」とは表記せずに「stainless steal」とかいてあることもあります。
「18-0」は、クロムが18%以上でニッケルは0%ということです。高騰しているニッケルを使わないことで安価に製品を作れるのです。
100均のカトラリーと高級品を使い分けるのがベスト
「うちは100均のカトラリーでいいわ」と思う人も多いことでしょう。
しかし、おうち時間が増え、家で高級食材を食べたり、お取り寄せを楽しんだりする人も増えています。
せっかくの高級品を食べるのであれば、食材の味や香りを堪能したほうが「高いお金を払った甲斐」があるというものです。
高級カトラリーは、クロムやニッケルを多く混ぜることで鉄の含有量を抑えています。鉄が多いと「金気(かなけ)」と呼ばれている金属の匂いがするのです。
グルメな人の中には、高級店でキャビアを食べる際には銀製のスプーンは使わずに、あえてプラスチックのスプーンを使うという人がいます。
銀製のスプーンでは金属の味や香りが気になり、キャビアの味が台無しになることもあるそうです。
100均のカトラリーに多く使われている「18-0」の強みは「強い」ことです。
ニッケルは入っていなくても、ステンレスの強みはきちんともっています。そしてなにより安いことです。
おうち時間で高級料理をおいしく味わうための1,000円程度の出費は「賢い出費」ではないでしょうか。
家にあるカトラリーの品質が分からない時の見分け方

家にあるカトラリーが高級品なのかを確かめる方法があります。
1. 数字を読み取る
最も簡単な方法は、裏にかいてある数字を読み取ることです。
「18-18」や「18-10」もしくは「18-14-3」のようにかかれていれば高級品です。
「18-14-3」の最後の3はモリブデンを示しています。モリブデンを混ぜることで表面がとても固くなり、キズのつかない高級カトラリーだということです。
また、カトラリーの中で白くプラチナのように輝いているものは高級品かもしれません。
2. 磁石につけてみる
長年愛用していて字が読み取れないときには、カトラリーを磁石にくっつけてみましょう。
磁石にくっついたら、鉄が多く含まれていることを意味しています。
磁石につかなければ、鉄の含有量を抑えた高級品だということになります。
「18-0」は磁石にくっつきます。「18-8」は磁石にはくっつきません。「18-8」以上も磁石にくっつきません。
それぞれに魅力がある
100均のカトラリーの中には、日本が誇る「モノづくりの町」で作られているものがあります。
筆者の家には、数年間毎日使い続けている燕市で作られた100均のバターナイフがあります。かわいいキャラクターが彫ってあり、使うたびに「これが100円は安いな」と思います。
1本1,100円の「18-18」のバターナイフも毎朝使っています。使うたびに「この重厚感がいいな」と思います。
価格には10倍の差がありますが、それぞれに魅力があるのです。
節約は「安いモノを買うこと」ではありません。
価値あるものを、その価値を理解して購入し、長く愛用することも節約につながるのです。(執筆者:クリエイティブな節約家 式部 順子)