IDeCo(イデコ)という制度は、老後2,000万円問題が話題になって数年がたちます。
コロナ禍で証券口座開設数も増えているという報道もあります。
投資にはさまざまな種類があり、IDeCoはその投資の一手段です。
NISAと並び人気の制度ですが、しっかりと理解されている方は意外と少ないようです。
今回はIDeCoの特徴と若年層は慎重になったほうが良い理由について解説したいと思います。
「節税ができるって聞いたしできる限り大きい金額で投資した方が良いのかな」
「将来は貯金できるかわからないし今のうちから始めた方が良いらしい」
こんな疑問を持ちの方のお役に立てるかと思いますので最後までお付き合いください。

目次
そもそもIDeCoとは メリットの多い投資制度
IDeCoがメリットの多い制度であることに間違いはありません。
IDeCoを一言で表すとこうなります。
以下順番にメリットを解説します。
【節税】 → 拠出する資金が全額所得控除になります(拠出した金額分、所得から引いてもらえるので税金が安くなります)
【非課税】 → NISAや積立NISA同様、利益で出ても税金がかかりません(通常の投資だと利益分の20%に対して課税されます)
【老後資金準備】 → 60歳までは引き出すことができないので実際に使えるのは老後です(若年層ほど使えるまでの期間が長くなります)
【受け取る際の税金も安い】 → IDeCoで運用した資金を受け取る際、退職所得控除が使えます(完全非課税というわけではありませんが受取金額によっては非課税にもなります)
【投資制度】 → あくまでも投資なので増えるか減るかは使う時にならないとわかりません(元本保障ではありません)
老齢年金だけでは老後生活資金をまかなうことができなくなるのがこれからの世代です。
引退まで勤め上げたら退職金と老齢年金で生活できる時代は終わりを迎えました。
実感のない方も多いかもしれませんがこれは事実です。
賢く生きるためにも老後資金準備を自分たちでしないといけない時代の到来です。
ですが国としてもこの状態を放置できません。
何とか助け舟を出したいとの思惑で始まった制度なので有利な制度であることには間違いありません。
自分たちの収入から一定金額を拠出する必要があるので、収支に余裕のある方しかできない制度かもしれませんが、多くのメリットがあります。
特に会社員や公務員の節税策は限られています。
長期的な運用だと利益が出ることが見込まれる中で非課税運用ができるのも魅力です。
余裕があるなら加入しないよりかは加入した方が良い制度であることに間違いありません。
ですが若年層ほど拠出金額に注意が必要です。
IDeCo最大のデメリットとは
メリットの多い制度ですが、反面デメリットもしっかりとあります。
いくつかのデメリットがありますが、今回解説するのはIDeCo最大のデメリットです。
特に20代や30代の若年層にとっては致命的にもなりかねないデメリットなのでしっかりと抑えてく必要があります。
「60歳まで原則引き出すことができない」
これが1番大きなデメリットです。
20代や30代といった若年層は60歳を迎えるまでにさまざまなライフステージのイベントが想定されます。
つまりお金がかかることが想定されるということです。
・ 結婚
・ 教育
・ 住宅購入
などなどさまざまなことが挙げられます。
こういった引退までの資金準備がしっかりとできている方であれば問題ありませんが、多くの方がその都度、資金を工面することになるかと思います。
ここでIDeCoに資産の多くを投入していた場合、それらの資金は一切使うことができません。
60歳まで引き出すことができないからです。
将来のための資金準備も大切ですが、今の幸せがあっての将来です。
賢く生きるためにも老後までの資金準備も非常に大切です。
若年層についてはIDeCoに回す金額は完全な余裕資金のみにしておき、NISAや積立NISAを活用することをおすすめします。
IDeCoと同じ非課税運用でいつでも現金化することができるので不足の事態にも安心です。
もちろん投資なので長期目的で始めることに違いはありませんが、いざという時に「使える」のと「使えない」のとでは大きな差があります。

若年層は拠出金額に注意が必要
繰り返しになりますがIDeCoはメリットの多い制度であり、加入しないよりかは加入した方が良い制度なのは間違いありません。
ですがデメリットがあることも事実です。
20代や30代の若年層にとって60歳までの期間は短いようで長い期間です。
引退を迎えるまでに多くの資金が必要になることは想像に難くないと思います。
賢いマネープランを立てるためにもIDeCo(老後用)に資金を回しすぎないことをおすすめします。
これからIDeCoを始める方も、既に始めている方もこのことを忘れないようにしてください。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)