3月の高配当銘柄から続々と配当金が入金されて「さあ、どの銘柄を買おうか」と考えていませんか。
今回の記事では、7月~9月にかけて株価が上昇しやすい高配当銘柄を過去5年の株価で検証しました。
一般NISAを利用する投資家であるのならば、一般NISAで買い付けて保有し続けるのも良いことでしょう。
今回はそれとは別に、短期売買として7月に買付けて9月の権利付最終日かその前に売却し、利益を狙う手法を利用します。
1,000株など複数単元株を買った場合には半分利益確定し、残り半分で配当金を取得するという手法も良いことでしょう。
あなたの投資のお役に立てると幸いです。
なお、配当利回り等の指標は2021年6月25日のデータです。

目次
市場全体の株価騰落率平均
今回の検証にあたり、TOPIXの過去5年の7月~9月株価騰落率平均(以下、株価騰落率平均)を目安にします。TOPIXの株価騰落率平均は5.27%でした。
驚くことに、7月~9月は過去5年間全てでTOPIXが上昇しており、株価が上昇しやすい期間だということが分かりました。
今回紹介する銘柄は、強いTOPIXの上昇率を上回る銘柄が中心なので、好パフォーマンスへの強力な追い風が吹いていると言っても過言ではありません。
株価騰落率平均の高い銘柄
ではさっそく、株価騰落率平均の高い銘柄を見ていきましょう。
1. 三十三FG (7322)
5.29%
【配当利回り(9月のみ)】
2.65%
【株主優待】あり
【株主優待実施月】
3・9月
【株主優待内容】
(70株以上)定期預金金利 + 0.25%上乗せ
(500株以上)カタログギフト
【過去3年の7月~9月株価騰落率平均】
16.55%
三十三FGは、三重県地盤の地方銀行です。
2018年に三重銀行と第三銀行が合併して誕生したために2018年以降の株価データしかなく、三十三FGについては過去3年の株価騰落率平均を参照しています。
三十三FGは過去3年全てで7月~9月の株価が上昇しており、株価騰落率平均もTOPIX騰落率平均を約11%上回っています。
今回紹介する銘柄の中では最も期待値が高いので、高配当株投資家の方はポートフォリオに加えてみてください。
コロナの影響があり、貸倒引当金を計上するなど業績が悪化しているのが懸念事項ではあります。
減配の可能性もないとは言えないので、減配リスクがあることを把握したうえで投資するようにしてください。
ただ、タコ足配当をしているわけでもありませんし、減配リスクは小さいと考えています。
2. ディア・ライフ (3245)
4.37%
【配当利回り(9月のみ)】
4.37%
【株主優待】休止中
【過去5年の7月~9月株価騰落率平均】
11.30%
ディア・ライフは、マンション販売等の不動産企業です。
株価騰落率平均は過去5年中4年でTOPIXの上昇率を上回っており、TOPIX騰落率平均も約6%上回っています。
現状では業績は良くも悪くもありませんが、不動産の売買動向に大きく影響されてしまうため、非常に予想の難しい業種であることはリスクです。
業績が悪化した場合にいは減配する可能性は高いので、減配リスクがあることを把握したうえで投資するようにしてください。
しかし、ディア・ライフは9月一括配当銘柄なので、9月に向けての需給状況は3・9月配当銘柄に比べて良くなるというメリットがあります。
短期売買に徹するなら減配リスクを抑えられ、利益も狙うことができます。
3. パラカ (4809)
3.41%
【配当利回り(9月のみ)】
3.41%
【株主優待】あり
【株主優待実施月】9月
【株主優待内容】
(100株以上)クオカード2,000円分
【過去5年の7月~9月株価騰落率平均】
11.39%
パラカは、時間貸し駐車場の運営を行う企業です。
株価騰落率平均は過去5年中4年でTOPIXの上昇率を上回っており、TOPIX騰落率平均も約6%上回っています。
さらに、パラカは優待利回り1%を超える株主優待を実施する企業でもあるので、9月一括配当と株主優待のダブルメリットが需給面で発生します。
昨年は下記チャートのように権利付最終日にかけてジリジリと上昇し、権利付最終日に大陽線を引くほどの強さを見せました。短期売買に最も向いている銘柄だと言ってよいことでしょう。
人の流れが抑制されたことでコロナ前よりも業績は悪化していますが、赤字でもありませんし心配は特にありません。

4. アビスト (6087)
3.48%
【配当利回り(9月のみ)】
3.48%
【株主優待】あり
【株主優待実施月】3月
【株主優待内容】
浸みわたる水素水
(100株以上) 1ケース(1か月分)
(200株以上) 2ケース(2か月分)
(1,000株以上)5ケース(5か月分)
【過去5年の7月~9月株価騰落率平均】
11.01%
アビストは、自動車部品の開発と技術者派遣業などを営む企業です。
株価騰落率平均は過去5年中4年でTOPIXの上昇率を上回っており、TOPIX騰落率平均も約6%上回っています。
次の成長に向けた技術者教育強化のため1人当たりの売上高が減少したことにより、減収減益となったことは注意点です。
しかし、減収減益となってもここ数年は配当金を維持していますし、過度な減配リスクを心配する必要はないことでしょう。
5. 武田薬品 (4502)
4.79%
【配当利回り(9月のみ)】
2.39%
【株主優待】なし
【過去5年の7月~9月株価騰落率平均】
4.85%
武田薬品は日本の製薬トップ企業です。高配当銘柄として個人投資家に人気で、NISA組み入れ銘柄上位の常連です。
しかし、株価騰落率平均は過去5年中2年しかTOPIXの上昇率を上回っておらず、TOPIX騰落率平均も下回っています。
では、なぜ武田薬品がおすすめなのかと言えば、過去5年全てで毎年プラスリターンを達成しているからです。
「武田薬品をNISAで買いたいけどいつ買うべきか分からない」という方は、まさに今7月に買うと評価利益も狙える確率は高いことでしょう。
値下がりリスクをなるべく抑えたい投資家も、短期売買用に武田薬品をポートフォリオに組み入れるのはいかがでしょうか。
業績を見ても、昨年2021年3月期に過去最高利益を達成していますし、大きな不安は見当たりません。
先回り買いする際の注意点
絶対に値上がりするわけではないので、必ず損切水準を設定して損失を限定しましょう。
値上がり利益を狙いたい投資家は、なるべく権利付最終日直前に売却してください。
高配当銘柄の配当落ちは大きいので、権利落ち後は評価利益がなくなる恐れがあります。
値上がりした時には10%~15%を利益確定の目安としてください。欲張って利益を減らすよりは、確実に利益を残していくのが無難です。
複数銘柄への分散投資をしましょう。集中投資した場合にその銘柄に減配などの悪材料が出たら、大きく損を出す可能性があるためです。
以上の点に注意して、さっそく7月から買ってみてはいかがでしょうか。あなたの投資の幅をぜひ広げてください。(執筆者:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)