国民年金は日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての方が加入しなければなりませんので、収入のない学生であっても例外ではありません。
国民年金に加入するということは、国民年金保険料を支払う必要があるということです。
しかし、収入のない学生にとっては、国民年金保険料の支払いはとても厳しいものです。
今回は、国民年金の「学生納付特例制度」を利用した場合の追納について詳しく解説していきます。
目次
「学生納付特例制度」
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このように国民年金保険料の支払いが厳しい学生のために、国民年金には申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」というものがあります。
この「学生納付特例制度」を利用した場合には、この期間の保険料の支払いは猶予されて「老齢基礎年金」の受給資格期間にも含まれます。
しかし、将来受け取る「老齢基礎年金額」への反映はされません。
この「学生納付特例制度」を利用した期間を年金額に反映させるためには、後から納付する追納という方法があります。
「学生納付特例制度」の対象
「学生納付特例制度」は、以下の要件を満たしている方が申請できます。
(1) 本人の所得が次の式以下であること
118万円 + 扶養親族等の数 × 38万円 + 社会保険料控除等
(2) 以下の学校に在籍する学生であること
大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校(修業年限が1年以上の課程)、一部の日本国内にある海外大学の日本分校(文部科学大臣が個別に指定した課程)に在学している方
「学生納付特例制度」の追納
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国民年金に20歳で加入して60歳までの40年間(480か月)すべての国民年金保険料を支払った場合には、満額の「老齢基礎年金」を受給できます。
「学生納付特例制度」を利用している期間は「老齢基礎年金」の年金額には反映されませんので、その国民年金保険料を払っていない期間の分は減額されて受け取ることになります。
「老齢基礎年金」の年金額を満額受給するためには、「学生納付特例制度」によって猶予されていた期間の国民年金保険料を追納する必要があるのです。
ただし、「学生納付特例制度」を利用した期間の国民年金保険料の追納は、承認を受けた年度の翌年度から10年以内にする必要があります。
10年を過ぎてからの追納はできませんので注意が必要です。
年金額を増やすためにも追納がおすすめ
学生納付特例期間は「老齢基礎年金」の受給資格期間には加算されますが、受給額には反映されません。
学生の内には国民年金保険料を支払うことは大変かもしれませんが、年金額を増やすためにも追納することをおすすめします。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)