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コロナ禍でも好成績を残した年金積立金と、同じような運用をする方法

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コロナ禍でも好成績を残した年金積立金と、同じような運用をする方法

公的年金(国民年金、厚生年金保険)の財源は、「現役世代から徴収した保険料」、「国庫負担(税金)」、「年金受給者が少なかった頃に貯めた年金積立金の取り崩し」の、3種類になります。

この中の年金積立金は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という組織が、2001年度から市場運用しております。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済が低迷した2020年度の、年金積立金の運用成績については、2021年7月2日にGPIFから発表されました。

これによると2020年度は、収益額が+37兆7,986億円、収益率が+25.15%(年率)となり、どちらも市場運用を開始した2001年度以降で、もっとも良い成績だったようです。

たまたま運が良かったのではないかという、疑問を持つ方がいるかもしれないので、市場運用を開始した2001年度から2020年度までの、すべての年度の運用成績を紹介すると、次のようになっております。

2020年度の運用状況
≪画像元:GPIF

これを見ると通期でも、収益額で+95兆3,363億円、収益率で+3.61%(年率)という、プラスの成績を残しているとわかるので、2020年度だけ運が良かったわけではないのです。

2014年度以降は株式の割合が従来よりも増えている

年金積立金は数年前まで、国債などの国内債券を中心にした、安全性の高い運用を行ってきたのです。

しかし2014年10月31日から、株価を上昇させたい安倍元総理の意向を受け、国内債券の割合を大幅に減らし、国内株式と外国株式の割合を増やしたので、資産配分が次のように変わりました。

・ 国内債券:60% → 35%

・ 国内株式:12% → 25%

・ 外国債券:11% → 15%

・ 外国株式:12% → 25%

・ 短期資産:5% → 0%

このような変更が実施された後は、株価が大きく下落するたびに、野党やマスコミは安倍元総理を追及したのです。

ただ資産配分が変更された、2014年度以降の運用成績を見てみると、収益額と収益率の両者について、プラスで終わっている年度が多いのです。

また投資で成功するためは、損失を小さく抑えて、利益を大きく伸ばす、「損小利大」が大切だと言われております。

2014年度以降の運用成績を見てみると、収益額と収益率がマイナスで終わった年度もありますが、マイナス幅が抑えられていることがわかります。

一方で収益額と収益率がプラスの時には、プラス幅を大きく伸ばしているため、損小利大が実施できていると思うのです。

2020年度以降は4資産に対して均等に配分する

2014年10月31日から、上記のような資産配分の変更が実施されたため、国内債券の割合が大幅に減って、国内株式と外国株式の割合が増えました。

また2020年4月1日から、更に資産配分の変更が実施されたため、現在は次のように4資産に対して、均等に配分しております。

・ 国内債券:35% → 25%

・ 国内株式:25% → 25%

・ 外国債券:15% → 25%

・ 外国株式:25% → 25%

このように国内債券の割合を減らし、外国債券の割合を増やした理由としては、国内の金利低下によって、国内債券の利回りが低下しているからのようです。

一方で株式の割合には変更がないため、2014年10月31日からの変更と比較すると、小さな変更のように見えます。

ただ投資の運用成績の約9割は、資産配分によって決まるという、アメリカの年金基金を対象にした研究があります。

つまり銘柄選択やタイミングなどが、投資の運用成績に与える影響は、1割未満というわけです。

ですから債券割合の小さな変更であったとしても、長期で見ると運用成績に対して、やはり影響を与えると思います。

税金と手数料の負担が抑えられるiDeCoとつみたてNISA

個人投資家が投資で成功するには、資産配分だけでなく、税金や手数料にも注意する必要があります。

その理由として収益から控除される税金が多くなるほど、運用成績が悪化するからです。

また税金は収益がなければ控除されませんが、手数料は収益がなくても控除される場合が多いため、投資が上手くいかなかった時のダメージを広げてしまいます。

ただiDeCo(個人型の確定拠出年金)や、つみたてNISAを通じて、債券や株式が組み入れられた投資信託を購入する場合には、税金や手数料について、あまり心配する必要はないのです。

その理由としてiDeCoやつみたてNISAを通じて、投資信託を購入すると、分配金や売却益に課税される、20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別所得税)が、非課税になるからです。

またiDeCoやつみたてNISAを通じて購入できる投資信託は全般的に、信託報酬などの手数料が低く設定されているからです。

一方でつみたてNISAは、保有する投資信託の全部または一部を売却すれば、すぐにお金を引き出せますが、iDeCoは60歳になるまで、お金を引き出すのが難しいという違いがあります。

4資産均等型とiFree年金バランスを活用する

4資産に対して均等に配分

年金積立金は上記のように2020年4月1日から、資産配分の変更が実施されたため、現在は「国内債券:25%、国内株式:25%、外国債券:25%、外国株式:25%」というように、4資産に対して均等に配分しております。

このような資産配分の投資信託は、つみたてNISAを通じて購入できる商品の中に含まれているのですが、主な商品としては次のようなものがあります。

・ JP4資産均等バランス

・ <購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)

・ eMAXISバランス(4資産均等型)

・ つみたて4資産均等バランス

これらの中から信託報酬などの手数料が低いもの、または純資産残高の多いものを選んで、積立投資を始めれば、現在の年金積立金と同じような運用ができるのです。

一方でiDeCo向けの投資信託の中にも、4つの資産に対して均等に配分した商品があるのですが、年金積立金の資産配分に近付けることを目指した、「iFree年金バランス」という商品もあります。

この商品は信託報酬などの手数料が低く抑えられ、また将来的に年金積立金の資産配分に変更があった時には、それに合わせて変更が実施されるようなので、長期投資に適していると思います。

ただ取り扱いのある証券会社が少ないので、この商品で運用したいという方は、取り扱いがあるのかを確認してから、口座を開設した方が良いのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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