積立NISAやiDeCoといった資産形成を始めたばかりの人に必ず訪れる壁があります。
それが
という問題です。
ちまたでもこの議論があふれておりますので、耳にされたことがある方も多いと思います。
どちらの論者ももっともなことを言っており、結局どちらを買ったら良いのか。
これは永遠の課題です。
今回は米国株式と全世界株式、どちらを購入するのがお得なのかについて解説したいと思います。
結論からですが、自動で投資国の比率を調整してくれる全世界株式の購入をおすすめします。
特に自身でタイミングを見て売買するような高度なテクニックを持ち合わせていない方(ほとんどの方が当てはまると思います)は全世界株式を積立し続ける方が安心して資産形成ができると考えております。
以下、順番に解説していきます。

目次
ここ10年においては米国株式一強!
米国が世界一の経済大国であることは疑いようのない事実です。
株価においてもここ10年の伸びは凄まじく、全世界株式のそれをはるかに超えております。
2010年以降については全世界株式ではなく、米国のみに集中投資する米国株式を購入していた方が資産が増加したことは間違いありません。
まさに最強であり、リターンに1番の重きを置くならば米国株式への投資がベストだといえるでしょう。
米国株式派の主張として多いのが
・ イノベーションが起きるのはいつも米国から
・ 新興国の成長も米国で取り込める
・ 新興国への投資はさまざまなリスク・コストを負う事になる
といったものです。
先進国の中でも米国は今後も人口が増えていくと予想されており、これは移民が多いことの影響もあります。
人口増=株価の成長、というわけではありませんが、人口の影響があることも確かです。
革新的な技術もほとんどが米国発です。
今では誰しもが知るGoogleやApple、MicrosoftなどのいわゆるGAFAMも全て米国の企業です。
また、米国の企業はグローバル企業が多いのもその特徴です。
他の先進国や新興国にも米国企業が進出しておりますので、それらの国の成長も取り込めるのも確かです。
ヨーロッパのような先進国ならまだしも、中国やインドといった新興国への投資は相応のリスクやコストがかかります。
中国政府によるIT企業や教育サービス企業への規制強化が発表され、株価が下落したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
昨今のコロナ禍による景気後退リスクも経済基盤の脆弱な新興国の方が高くなってしまいます。
わざわざリスクの高い新興国に投資する理由はないというのが米国株派の主張です。
低成長の国に投資するくらいなら米国株に集中投資する方が資産が増大する。
確かにこれらの意見には賛同できる部分もありますし、だからこそ米国株の人気が高いことにもうなずけます。
これから先もずっと米国一強の時代が続くとは限らない
先にも解説しましたがここ10年において米国株が最強であることは間違いありませんし、さらに長期で見ても右肩上がりで成長し続けているのが米国株の特徴です。
ですが今後もずっと米国が最強であるとは限らないことに目を向ける必要があります。
長い人類の歴史において超長期にわたって覇権を握り続けた国はありません。
現時点ではにわかに信じ難いですが、米国が陥落する時代が来る可能性もゼロではありませんし、2000年頃からしばらく低成長の時代が続いたことも忘れてはなりません。
米国株の暗黒期ともいわれています。
未来のことは誰にもわからない中で将来にわたって勝つ国を予想し続けることは非常に困難です。
多くが米国最強と信じている時だからこそ、そうでなくなった場合のことも想定しておく必要がある。
ここが米国株式ではなく、全世界株式をおすすめする1番の理由です。
全世界株式は国別構成比率を自動調整してくれる

将来的にどの国が強くなるのか予想することは非常に困難です。
予想するのではなく、どの国が強くなったとしても取りこぼす事のないように投資することができれば安心ではないでしょうか。
これを自動的に調整してくれるのが全世界株式です。
現在では全世界株式の国別構成比率のトップは米国株です。
ファンドによって多少の違いはありますが、50%から60%程度の割合で米国株に投資しています。
つまり今現在成長している米国株にもしっかりと投資し、その利益を取っているということです。
今後仮に中国やインドといった新興国が大きく成長し、米国に取って変わるような時代が来た場合、全世界株式を購入していれば自動的にその投資割合を調整してくれます。
米国株式を購入していた場合は自身で調整する必要があります。
売買のタイミングを見極めることは至難の業です。
自信のある方は都度売買をすれば問題ないかもしれませんんが、プロでも難しいところです。
特に初心者の場合は全世界株式を購入しておく方が安心して長期で資産形成ができると考えて問題ないでしょう。
今ベストなものが今後もベストとは限らない
コロナ禍においても強い成長を維持し続ける米国株式は確かに魅力的ですし、投資しない手はありません。
ですが今後もこの成長が維持できる保障はないという点にもしっかりを目を向けておく必要があります。
世界の潮流が変わった際に右往左往することがないよう、今からしっかりと対策を打っておくことをおすすめします。
米国株式にもしっかりと投資をしつつ、流れが変わった場合には自動的に調整してくれる全世界株式の方がリスクをコントロールすることが可能です。
資産形成は短期で考えるものではなく、長期的視点を持って考えるべきものです。
調子の良い時にこそしっかりと守りを固めておくことが賢い資産形成のコツです。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)