新型コロナウイルス感染症はオミクロン株による「第6波」襲来により、一時失速したと思われた感染者数がまた爆発的に増加しています。
生活環境や経済状況の変化により、生命保険会社も新サービスの提供を開始しています。
最近「新型コロナウイルス特化型保険」が注目を集めていますが、どのような内容か、また加入を検討している際に事前に確認しておきたいこと、日本の医療制度等の知っておきたいことを家庭の収支の観点で紹介します。
目次
新型コロナウイルス感染症に特化した保険
コロナ助け合い保険(引受保険会社:株式会社 justInCase)
保障内容:1泊2日以上の入院をしたとき給付金10万円
被保険者条件:契約日時点で満15-満64歳の健康な方
※申込みの時に、過去の病歴、現在の健康状態等のヒアリングあり
※「わりかん がん保険(P2P特約が付帯したがん保険)」の被保険者として契約だと、この保険契約はできません。
保険料:
月々の保険料は510円から
月々の保険料は年齢・性別によって異なる(平均約665円)
PayPay保険サービス株式会社(取扱代理店:PayPay保険サービス株式会社)
保障内容:医師に新型コロナと診断された場合、保険金5万円をお支払い
被保険者条件:医療・福祉従事者など17業種の従事者
※正社員・派遣・契約社員・パート・アルバイト・職種(管理・営業・製造など)・在宅勤務に関わらず契約可能です。
保険料:月500円から(期間は3か月)
参照:PayPay Insurance Service Corporation
コロナminiサポほけん(引受保険会社:第一スマート少額短期保険株式会社)
保障内容:特定感染症(新型コロナウイルスを含む)に罹患したと医師により診断されたとき、特定感染症一時金10万円の支払い
被保険者条件:18歳~69歳
保険料:890円/(保険期間3か月)
※新型コロナウイルス感染者数の状況に応じて、保険料が変動します。
※「毎月1日にその月の申込時」および「翌月1日に更新を迎える契約の保険料」が確定します。
「コロナ保険」注意点1:保険料やプランが変動する可能性
感染者数に応じて、月額保険料が変動するプランなどもあり、当初想定していた内容が変更になる可能性もあります。
感染者数や新しいウイルス株登場により、日々状況が変化しています。
保険会社も状況に応じて、常に調整をしていることを念頭においておきましょう。
「コロナ保険」注意点2:重複加入をしない
すでに民間の医療保険に加入していると、新型コロナウイルス感染症で入院した場合、その他の病気やケガで入院したときと同様に、入院日数に応じて「入院給付金」が支払われます(加入保険会社によって条件は異なります)。
過剰な加入にならないように、まずは現加入医療保険の内容を確認しましょう。
「コロナ保険」注意点3:内容確認
加入前はホームページだけでなく、必ず重要事項説明書や約款を確認しましょう。
「コロナ保険」注意点4:別途料金発生の可能性
保険の条件で、その治療期間に関する保健所等発行の証明書(就業制限・解除通知等)を求められる場合があります。
書類発送の送料が必要なこともあり、保険料以外に出費が発生する可能性があります。
新型コロナウイルス感染に関する医療費に関して
新型コロナウイルス感染症の医療費は公費負担です(法令により「指定感染症」とされています)。
そのため医療費という面では公費で処理できるので、自己負担に配慮がされています。
新型コロナウイルス感染に対しての医療費負担
・70歳未満の医療費負担は原則3割
※ただし、一定以上の所得がある人の場合、居住区の自治体によっては一部自己負担を求められることもあります。)
・新型コロナウイルス感染による入院費・医療費は公費対象
・必要に応じてのホテル療養の際に発生したホテル滞在費無料
・自治体などで実施される行政のPCR検査・医療機関や保健所で検査が必要と判断された場合(保健所から「濃厚接触者」と指定されたときなど)の検査費は無料
すでに民間の医療保険に加入している場合に確認しておきたいこと
既に民間保険会社が提供している医療保険に加入している場合、ほとんどの場合がその他の病気やケガで入院と同様に「入院給付金」支払われます。
新型コロナウイルス感染症に関する対応について保険対象の詳細は、各社ホームページなどで発表しているので確認しておきましょう。
民間保険会社の医療保険で確認しておきたいことは、下記のような内容があります。
加入中の医療保険で新型コロナウイルス感染に関して確認しておきたい事項
・新型コロナウイルス感染症により死亡した場合の取扱い
・新型コロナウイルス感染症により宿泊・ホテル療養した場合の取扱い
・新型コロナウイルス感染症により自宅療養した場合の取扱い
・ 新型コロナウイルス感染症の影響により、必要な入院治療を受けられなかった場合の取扱い
※新型コロナウイルス感染症以外の傷病で入院が必要だったが、医療機関の事情で「自宅」または「その他医療機関」で臨時施設等での療養を医師より指示された場合を指します。
・新型コロナウイルスの感染者に対しての見舞金支払い有無
・新型コロナウイルスの感染者の保険料支払いの猶予期間について
各保険会社で対象範囲が異なり、また感染状況によって条件がアップデートされています。
詳細は保険外交員や「新型コロナウイルス感染症専用コールセンター」が開設されている保険会社もありますので、直接確認しておきましょう。
すでに加入している医療保険が、新型コロナウイルス感染に対して保険対象としている場合は、コロナ保険に改めて加入する必要は薄れてきます。
保険は本当に必要?日本の優秀な医療制度を見直そう
新型コロナウイルス感染については、初診料は発生します。
70歳未満は3割負担と、これは他の病気・ケガ等と同じです。ただし新型コロナウイルス感染は数週間~数か月の長期化療養が必要となるため、3割負担があっても医療費が高額になる可能性はあります。
日本では、健康保険には医療費が高額になった場合に「高額療養費制度」という処置があり、月々の自己負担額が一定範囲内に収まるよう制度が設けられています。
日本の医療制度は、非常に優秀なのです。「傷病手当金」などの特例措置もあり、これを踏まえて本当に保険が支出面でプラスになるか検討してみましょう。
保険をムダに支払わない
罹患のダメージと金銭的ダメージは、全くの別物なので、分けて考えておく必要があります。
罹患した際に実費でどのくらいの費用が発生するか予め把握しておかないと、月額保険料を無駄に支払うことになってしまいます。
「感染した際の精神的肉体的ダメージは、保険では全く軽減されない」ときちんと線引きした上で、保険加入を検討する必要があります。まずは、感染しないことが大事です。同じ支出であれば、健康管理や感染予防にお金を使うという考え方もあります。
第6波拡大で焦って保険を加入するのではなく、まずは「国の補償」や「すでに加入済み医療保険条件」を確認することをオススメします。
新型コロナウイルス感染の状況や環境は常に変化しています。家庭収支のバランスや生活スタイル、職種的観点からリスクを検証してみましょう。(執筆者:太田 玲世)