「投資するなら米国株が一番」
「過去のチャートを見ても右肩上がりの米国株が一番安心」
「将来の成長期待も米国が一番」
さまざまな理由から米国株に投資している人は多いと思います。
そんな米国株の投資信託で代表的なものが「S&P500」と「VTI」に連動する商品です。
大人気の「eMAXIS Slim S&P500」や「楽天VTI」に投資している人も多いのではないでしょうか。
・ 両方とも人気なのは知っているけど、結局どちらがおすすめなの?
・ これから投資を始めようと思うけど、どちらも良さそうで迷う
・ 2つの違いがよくわからない
今回はこんな疑問にお応えしたいと思います。
結論からいうと「どちらも好商品、好みで選ぶ姿勢で問題なし」となります。
ですがこれだけだと疑問解決にはなりませんので、選ぶ際の根拠について解説したいと思います。
選択基準となる2つのポイントについて解説しますので、どちらを優先するかで選択していただければと思います。
まずは「S&P500」と「VTI」の特徴から解説したいと思います。
目次
S&P500とは?
米国株の代表的な指数である「S&P500」に採用されている会社にまとめて投資するのがこのタイプです。
S&P500に採用されるためにはさまざまな厳しい条件をクリアしなければなりません。
そこを見事にくぐり抜けたトップ企業だけで構成されていますので、まさしく「米国を代表する企業」で構成された指数になります。
このS&P500で米国企業全体の時価総額の約80%を占める形となります。
S&P500連動型の投資信託として有名な商品として
・ eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
・ SBI・V・S&P500インデックスファンド
があります。
VTIとは?
VTIとは「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」のことで、こちらはETF(上場投資信託)を指します。
VTI連動型投資信託を購入することにより、米国企業全体の約4,000に投資することができます。
全米株式ファンドと呼ばれるのがこのVTI連動型の投資信託です。
大企業はもちろんのこと、中小企業も含まれておりますので、これ1本で米国のほぼ100%の企業に投資することができる点が人気です。
米国丸ごとへ投資するイメージです。
有名な商品として
・ 楽天・全米株式インデックスファンド(楽天VTI)
・ SBI・V・全米株式インデックスファンド(SBI VTI)
があります。
構成銘柄トップ10はほぼ同じ、投資割合(構成比率)に違いあり
S&P500もVTIもどちらも米国企業に投資するファンドです。
つまり投資対象となる企業に重複があるということになります。
実際に両ファンドの構成銘柄トップ10はほぼ同じ企業になっています。
どちらのファンドもアマゾンやマイクロソフトなどの有名企業にしっかりと投資しています。
違いはその投資割合にあります。
S&P500については既に紹介した通り、米国を代表するトップ500社が投資対象となります。
対してVTIは全米国企業に投資するので、トップ企業から中小企業まで全体に投資する形をとります。
投資対象が広い分、一つ一つの企業が占める割合は小さくなりますので、より分散を効かせているのがVTIになります。
トップ企業メインならS&P500、全体へ投資ならVTIというとわかりやすいかもしれません。
信託報酬などの経費については分散の小さいS&P500の方が安くなる傾向
投資信託を購入する際の大事な視点として「コスト」があります。
このコストを一番の理由としてファンドを選ぶ投資家もいるくらい、重要な要素です。
投資信託にかかるコストとして代表的なものに
・ 購入手数料
・ 信託報酬(運用コスト)
・ 信託財産留保額(売却コスト)
の3つがあります。
S&P500でもVTIでも先に紹介した人気ファンドに投資するのであれば購入手数料と信託財産留保額は無料、0円です。
信託報酬に違いが出てくるのですが
S&P500の人気ファンドについては
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) → 0.0968%
- SBI・V・S&P500インデックスファンド→ 0.0938%
VTIの人気ファンドについては
- 楽天・全米株式インデックスファンド(楽天VTI)→ 0.162%
- SBI・V・全米株式インデックスファンド(SBI VTI)→ 0.0938%
となっており、SBI・Vシリーズを選択すればどちらも同じコストとなります。
ですがこちらの商品はSBI証券でしか投資できません。
他の証券会社をお使いの方だとeMAXIS Slimと楽天VTIで比較することとなります。
この場合は楽天VTIの方が高コストとなりますが、対象銘柄が広い分、コストが高くなると考えれば自然な形だと考えます。
厳密にいうと上記3つのコスト以外にも隠れコストなるものがありますが、基本的に投資対象が広い方がコストもかかる傾向にあると考えていただいて間違いありません。
同じ信託報酬のSBI・Vシリーズにおいても、隠れコストを加味するとS&P500の方が低コストとなる可能性は十分あり得ます。
リターンについてはほぼ同じ
気になる投資成績についてはどうでしょうか。
結論としては「相場による。ほぼ同じ」となります。
VTIの方が小型株を含んでいるためボラティリティ(値幅)が多少大きくなる傾向はありますが、長期のリターンで見るとほぼ同じ投資成績となります。
運用成績でどちらのファンドに投資するか決めるほどの違いはありません。
より低コストで投資したいならS&P500、分散投資に重点を置くならVTI
以上の内容からS&P500とVTIを選択するポイントは
・ 分散投資
・ コスト
の2つになります。
長期で考えれば考えるほど大切になってくるのが「分散投資」という考え方です。
確かにトップ企業に投資すれば安心かもしれません。
ですが一つの指標に頼るより、全体に投資する方が安全性が高くなるのは間違いありません。
投資の鉄則である「長期分散投資」を実践するならVTIの方がおすすめとなります。
対して少しでもコストを低く抑えたいと考える場合はS&P500の方が目的に合っているといえます。
長期で見ればコストの差で投資成績に違いが出るのも間違いありません。
分散を優先するか、コストを優先するかを選択の基準として置くことにより、明確にファンド選びができるようになると考えます。
大事なのは投資を続けることです。
自身で明確な根拠を持って選択したファンドなら長期で投資を続けることができると思います。
本記事がファンド選びの参考となれば幸いです。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)