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「国民負担率」の上昇が止まらない予想 2023年消費税引き上げの下地も整う

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「国民負担率」の上昇が止まらない予想 2023年消費税引き上げの下地も整う

みなさんは、「五公五民」という言葉をご存じですか。

江戸時代、農民は収穫したお米の半分つまり5割を年貢として上納し、残りの5割で暮らしていました。これを、「五公五民」と言います。

ただし、江戸時代でも初期は農民の手元に6割のお米が残る「四公六民」だったのですが、8代の徳川吉宗が行った享保の改革で、「五公五民」になりました。

吉宗は、ドラマ「あばれん坊将軍」では、悪人を叩き斬る正義の味方で、実際に強権を持って大鉈を振るい、様々な改革をしました。

ただ、それまでの「四公六民」から「五公五民」にして負担が重くなったことで、農民の一揆なども増えたと言われています。

実は、今の日本は、この「四公六民」から「五公五民」に変わる境目にあります。

財務省が、毎年公表している国民負担率は、10年前は39.8%で「四公六民」でしたが、2020年度は46.1%し四捨悟入すれば「五公五民」。

21年度は44.3%と少し戻しましたが、この先、社会保険料や税金のアップがあることを考えると、「五公五民」になりつつあるといっても過言ではないでしょう。

しかも、財務省は「国民負担率」のほかに「潜在的な国民負担率」という将来世代の潜在的な負担として財政赤字を加えた数字も出していますが、こちらは56.5%。

「五公五民」どころか「六公四民」という、江戸時代の農民よりもひどいことになっています。

「国民負担率」の 上昇が止まらない!

給料が減り、年金も減っていく

そんな中で、収入は確実に減っています。

2022年の4月から、年金の支給額が前年に比べて0.4%減ります。

2021年度は0.1%の減額なので、2年続けての減額ということになります

では、2023年度は、どうなるのでしょうか。

年金は、前年3年間の働く人の給料がベースとなっています。

昨年2021年度の年金額は、18年、19年、20年の給料の平均ですが、20年に新型コロナの影響を受けたために減りました。

22年度の年金は、19年、20年、21年の給料の平均ですが、20年、21年が新型コロナの影響を受けたために、より大きく減りました。

そして、23年度は、20年、21年、22年とモロにコロナの影響を受けそうなので、さらに減額になるのではないかと予想されます。

2023年には、消費税引き上げの下地が整う

給料や年金が減る一方で、税金や社会保険料の負担は年々上がっていきます。

今年10月には、雇用保険の保険料が引き上げられ、働く人の負担分は0.3%から0.6%と2倍になります。

介護保険も、10月から後期高齢者の窓口負担が1割から2割に引き上げられます。

さらに10月からはパートでも100人超の会社に勤めている年間106万円以上の人は、会社に社会保険料を支払わなくてはならなくなり、サラリーマンの妻で今まで社会保険料を払っていなかった人は、収入から保険料を引かれるようになります

加えて12月には、昨年の税制改正大綱で「見直しの検討を進める」とされた110万円まで無税で贈与できる暦年贈与の廃止が具体的に進められていく可能性があります。

2023年には、健康保険や介護保険料も上がりそうで、その先にも、たばこ増税や皆さんが飲む第三のビール、発泡酒の増税が待っています。

しかも、2023年10月からインボイス制度がスタートするので、容易に消費税の引き上げが行える下地が整います。

しかも、そんな中で食料品やエネルギー価格は、驚異的に値上がりして家計を脅かしています。

「円安」になると、輸入物価は一段高に

海外ではアメリカをはじめとして多くの国が、インフレを警戒して金融の引き締めに乗り出そうとしています。

けれど、日本は8年も続いた「異次元の金融緩和」から抜け出すことができず、日銀は金利を上げることができません

そうなると、金利が上がる海外と金利を上げられない日本の金利差が開きます。

マネーは金利の高い国の通貨に流れやすいので、日本では「円安」が進むということになります

日本は、食料品やエネルギーの多くを輸入に頼っていますから、「円安」になると、ただでさえ高い食料やエネルギーの価格が、一段高になる恐れがあります。

徳川家康は、「百姓は生かさず殺さず」という言葉を残しましたが、それは現代の私たちにも通ずるものなのかもしれません。

封建制の江戸時代と違って、今は民主主義社会なので暴力での一揆は起こせませんが、7月の参議院選挙で、みなさんの一票が政治に影響を与えるはずです。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)

《荻原 博子》
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荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

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