クレジットカードにステータスを求める人もまだ多いですが、現代にその要素、本当に必要でしょうか。
キャッシュレス決済の普及で、自慢のカードを店舗のスタッフに見せる機会も大幅に減りました。
18歳でも簡単にゴールドカードを持てる時代では、幻想のステータスより、実益を重視していきたいものです。
5,000円から1万1,000円程度するゴールドカードの年会費が、実益に見合っているのか検証します。
目次
ゴールドカードに実益はある?
ゴールドカードは、高グレードカードの中では最も下の位置づけにあります。
この券種を、実益の面から見てみます。
一般的にはこうした機能・特典が付いています。
・ 海外旅行傷害保険(現地治療費200~300万円程度)
・ 国内空港ラウンジ無料
・ 専用デスクで問い合わせを受け付けてくれる
・ 会員情報誌
・ ポイントボーナス
5,000円から1万1,000円程度する高めの年会費と、これらの付加サービスが本当に見合うのかが問題です。
サービスを細かく見ていきます。
海外旅行傷害保険はカードだけでは不十分
医療制度が異なる海外では、予期せぬ手術や入院で、治療費が1,000万円など多額になるケースがあります。
ゴールドカードに付帯した保険の補償だけでは十分とはいえません。
特に家族カードを持てない高校生以下の子供を同行した場合が問題で、この場合に役立つ「家族特約」の補償額が十分なカードは、ゴールドだけでなくプラチナにもほぼありません。
クレジットカードの補償は、お金を出して入る保険商品と合算はできるものの、大きな意味まではありません。
空港ラウンジは有料なら使う?
国内空港のラウンジ無料利用にゴールドのメリットを感じている人も多いでしょう。
もっとも、豪勢な航空会社ラウンジとは違い、カードラウンジでの無料のサービスはソフトドリンク程度です。
この施設、お金を支払えば(1回1,100円)誰でも使えますが、この価格だったら高く感じるでしょう。
混雑していることも多い空港ラウンジ、「無料だから使っている」のが利用者の実情ではないでしょうか。
ゴールドの年会費にサービスは見合っていない
デスクへの電話がつながりやすいのは確かにゴールドのメリットです。
ただ、電話する頻度に見合う価値があるかどうかです。
会員情報誌も面白いですが、有料でも購読しますか?
ポイントボーナス等も、高い年会費のごく一部を返してもらえるだけです。
結論として、高い年会費とサービスの実質的価値の差を「ステータス」という抽象的な要素で埋めているのが多くのゴールドカードの現状です。
正体のあいまいなステータスを無視すると、年会費に見合わないゴールドカードが多数です。
ゴールドに価値があるのは航空系、通信系
とはいえ、年会費が高くても実益のあるゴールドカードも次の通りあります。
・ マイル獲得のための航空系カード
・ dカードGOLD、au PAYゴールドカード等携帯キャリア系
航空系ゴールドカードは、年会費の高さがマイル還元率に比例するので、よく飛行機に乗る人ほど高いグレードにする意味があります。
携帯キャリア系ゴールドは、携帯電話ユーザーへの還元が豊富で、年会費を取り返せる可能性が大です。
ゴールドでも、ステータスより実益特化型です。
ただしahamo×dカードGOLDのように、価値の下がる組み合わせもある点に注意しましょう。
年会費負担のないゴールドカードをご紹介
見てきた通り結局、ゴールドカードの実質的価値を、高い年会費が下げてしまっている状態です。
逆に言うなら年会費を支払わないことで、ゴールドカードを持つ積極的な価値が生まれます。
年会費無料で使えるゴールドカードを2枚ご紹介します。
今回取り上げる2枚によく似ていてライバルになるカードが新たに誕生したばかりです。
年間100万円の利用により年会費永年無料となるSAISON GOLD Premiumにも注目しましょう。
(1) エポスゴールドカード
エポスゴールドカードは、年会費無料で使えることが最大のメリットです。
次の2種類の方法で、年会費永年無料で使えます。
・ 年会費無料のエポスカードを持ち、1年以内に50万円利用してインビテーションを受ける
・ 最初からエポスゴールドカードを持って、1年以内に50万円利用する
後者の方法だと初年度の年会費5,000円が発生します。
ただし最初から年間100万円以上使う予定の人なら、この方法でも損しません。
ボーナス含め年間1万5,000円分のポイントがたまる(実質還元率1.5%)ためです。
スタンダードのエポスカードだと、還元率0.5%です。
年会費が無料になっても、エポスゴールドカードには豊富な特典やポイントアップ手段があって、メインカードにおすすめです。
メリットの一例です。
・ カード年間100万円利用で、実質還元率1.5%
・ モバイルSuicaを「選べるポイントアップショップ」に登録して、チャージ還元率1.5%
(2) 三井住友カードゴールド(NL)
「三井住友カードゴールド」は老舗のゴールドカードですが、「NL」が付くカードは2021年デビューの1枚です。
「30歳以上」という最近では珍しい年齢制限のある「ゴールド」と異なり、ゴールドNLは「20歳以上」と大きく緩和されています。
年会費もゴールドの1万1,000円の半額、5,500円です。
このカード、エポスゴールドカードと同様、年会費永年無料となります。
加入後の1年間で、100万円の利用を達成すればその後ずっと無料です。
加入後の1年だけ、「光熱費・通信費・税金等を集約する」「家族にも家族カードを使ってもらう」等の手段で100万円を達成しましょう。
利用100万円を達成すると、1万円相当のボーナスがもらえるのも大きなメリットです。
還元率が通常0.5%のカードですが、ボーナスを考慮すると実質1.5%となり、エポスゴールドカードに並びます。
年間100万円達成の年度をエポスと三井住友でずらし、両方無料で手に入れるのもいいでしょう。
カードの機能は、「海外旅行傷害保険の治療費用が100万円」など従来の「ゴールド」(300万円)には劣りますが、年間100万円を超えれば還元率で大きく勝っています。
ゴールドカードも実益に注目
ゴールドからプラチナ、ブラックと進んでいきたい方は別ですが、ゴールドカードでいいのであれば、実益特化をおすすめします。
年会費無料で使えるゴールドが一番高価値です。(執筆者:沼島 まさし)