感染症が拡大してからの投資ブーム。
2024年から始まる新NISAなど投資関係の話題に事欠かない昨今ではありますが、実際にここ数年で投資デビューした方も多いのではないでしょうか。
初心者がまず始めるべき投資として推奨されているのが「つみたてNISA」でしょう。
個別株式投資やFXなどと違って大きな損失を被る可能性が低く、毎月の収支の余剰からコツコツ投資できるとあってとても人気となっています。
投資対象は金融庁が認可した優良インデックスファンド中心ということもあり、長期的に見れば初心者でも勝率の高い王道の投資がこのつみたてNISAだといえます。
筆者ももちろん活用しておりますし、周りに勧める場合も「まずはつみたてNISAから」となります。
このつみたてNISA、一見すると非常にリスクの少ない投資手法に見えますが、若干ながらワナも潜んでいます。
コツコツと長く続けるものだからこそ失敗したくないもの。
今回はつみたてNISAの3つの失敗について解説したいと思います。
目次
【失敗1】早期に売却してしまう
一番多く、そして致命傷を負う失敗が早期売却です。
- 暴落に耐えられなくなり売却した
- 日々の値動きに心配になり売却した
- プラスになっていたため利益確定のために売却した
- 急に大きなお金が必要になり売却した
売却理由は人それぞれですが、そもそもつみたてNISAは10年、20年といった長期間続けることを前提とした投資口座です。
月1万円、2万円といった少額でも長期で積立するからこそ大きな利益を得ることができるのです。
短期で売却してしまうのは機会損失としかいいようがありません。
「大きな含み損が出ているから」や「利益があるうちに売却したい」といった理由はもってのほかです。
SNSなどの投稿を見ていると「米国株はずっと右肩上がりで成長していく」と勘違いしてしまう方もいるかもしれません。
ですがそれは違います。
何度も下落と上昇を繰り返して結果として成長しているのです。
短年で見ると20%以上の暴落なんてザラにあります。
また、利益に対する考え方も同じです。
多少の利益で売却してしまうとせっかくの「非課税」の恩恵を捨ててしまうことになりかねません。
- 恐怖からの売却
- 欲望からの売却
これを乗り越えた先に大きな資産増加があるということを今一度ご確認ください。
短期売却により失った「時間」は二度と戻りません。
【失敗2】手数料の高いファンドへの投資
つみたてNISAは金融庁が認可した投資信託にしか投資できない制度です。
ですので数は多くはありませんが、それでも一定程度手数料率の高いアクティブファンドへの投資も可能となっています。
もちろんアクティブファンド自体への投資を否定する気はありません。
ファンドマネージャーの考え方や投資スタンスに共感して資金を投じるのも立派な投資です。
「気持ちが同じだからこそ続けられる」ということもあるでしょう。
インデックスファンドへの投資は何か味気なく、共感できるアクティブファンドへお金を預ける方が「投資している感がある!」といった意見も十分理解できます。
ですがそのファンドのことをよくわかっていない状況で投資することはお勧めできません。
投資期間が長く、投資金額が大きくなればなるほど1%の違いが大きくなります。
手数料率の違いが投資の成否を分けるといっても過言ではありません。
銀行窓口や大手証券会社でNISA口座を開設した方がこの失敗に陥りがちです。
ネット証券ではなく人を介する場合はどうしても人件費の問題が出てきます。
担当者が手数料率の高いファンドを勧めてしまうのは仕方のないことです。
そういった部分を理解して相談することが大切でしょう。
また、2024年に始まる新NISAの「成長投資枠」も大手金融機関への忖度のための制度ではないかといった噂さえ流れています。
- FPに勧められたから
- 窓口で推奨されていたから
といった「何となく」でアクティブファンドへ投資するのは避けるべきです。
【失敗3】余剰資金での投資ではない
これもよくある失敗例です。
「投資は余剰資金で行う」は大原則です。
本記事をご覧のほとんどの方がご存じだと思います。
ですがいうは易し行うは難しなのか必要資金で投資する方が後を絶ちません。
必要な資金で投資してしまうと下落への耐性も弱くなってしまいます。
また、日々の値動きが気になってしまい目先の資産増減に一喜一憂することになりかねません。
こんな状態では10年、20年といった長い期間投資を継続することが困難になってしまいます。
焦りからなのか、SNSなどの投稿の影響なのか定かではありませんが、余裕のない状態で投資を始めることは逆に遠回りになってしまう可能性さえあります。
先に解説した「短期売却」の主要原因もここにあるでしょう。
いざという時のための「緊急予備資金」をしっかりと確保した上で投資することを強くお勧めします。
ライフスタイルや家庭環境にもよりますが目安は「半年分の生活費」です。
手数料の安いファンドへ長期間コツコツ積立することが成功の秘訣
これまで解説してきた失敗例はどれも注意をすれば避けることができるものです。
特別な知識は必要ありません。
言い換えれば
ともいえます。
これは2024年から始まる新NISAにも同じことがいえます。
積立投資は長期間続けて初めて利益が得られる投資手法です。
- 目先の値動きに動揺せずコツコツ続けること
- 手数料の安い優良ファンドへ投資すること
- 余剰資金で投資すること
これらを守れば誰にでも長期投資の実践、結果として大きなリターンを得ることが可能だと考えます。
実践しているつみたてNISAが今回の失敗例に当てはまっていないかご確認ください。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)