2024年から始まる新しいNISAの話題に隠れて、やや存在感を失っているiDeCo。
ですが老後資金を準備するという目的であれば、活用するメリットはとても大きい制度です。
掛け金が全額所得控除になるという点は、NISAにはない節税効果です。
NISAと併用することによって、より賢く老後資金準備ができるはずです。
以前は企業型DCに加入していた会社員は、iDeCoを活用することはできませんでした。
ですが昨年の制度改正により併用可能になり、加入を検討されている方も増えていると思います。
企業型DCにしても、iDeCoにしても、自身で運用商品を選ぶ必要があるのは同じです。
既にNISAなどで投資経験のある方なら、どのような商品を選べば良いのか、さほど困ることはないでしょう。
ですが、これから始めようと考えている方にとっては、少し商品選びで手こずるかもしれません。
なぜならiDeCo、企業型DCで選択できる商品の幅は狭く、その名称もNISAで投資する商品とは少し違います。
「おすすめの投資信託はコレ!」といった情報を入手しても、あまり意味がありません。
投資可能な商品リストに名前がなく、結局投資できないということが多々あるからです。
特に企業型DCの場合は、勤め先によって商品はバラバラとなります。
今回はiDeCo・企業型DCの商品選びのコツと、絶対に選んではいけない商品の特徴について解説したいと思います。
目次
抑えておきたいiDeCo・企業型DCの大きな特徴
商品選定の前に、絶対におさえておかなければならない制度自体の特徴について確認しましょう。
それは、
「60歳までは絶対に引き出すことができない」
という点です。
加入時の年齢が20歳であろうが30歳であろうが、60歳までは引き出すことができません。
人によっては、30年以上の運用期間がある場合もあります。
NISAとは違い、途中で現金化することはできません。
超長期での運用が大前提となる点は、絶対に抑えておきましょう。
企業型DCの投資先選定のコツ
基本的には、積立NISAなどの長期積立投資と同じ考え方で商品選定を行えばOKです。
- インデックスファンド(パッシブ運用)
- 全世界株もしくは米国株
- 同様のファンドがあれば手数料の安い方
と順番に確認していけば良いとお考えください。
また、ベンチマークとする指数も確認しておけば間違いありません。
例えば全世界株式の場合、有名な指数が2つあります。
- FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
- MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
FTSEをベンチマークとする投資信託の代表が「SBI・V・全世界株式インデックスファンド」です。
MSCIをベンチマークとするのが「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」です。
商品リストの気になるファンドがどの指数に連動しているか、その指数に連動する代表的な投資信託は何があるか、まで確認できれば完璧です。
おおかた間違いない商品へ投資することができるでしょう。
選んではいけない商品の特徴
次に、絶対に選んではいけない商品の特徴についてです。
以下に当てはまる商品には投資しないようにしましょう。
1. 手数料が高い商品(アクティブファンド)
手数料率が1%違うだけで、将来的に数百万円の利益の差につながることもあります。
運用期間が長くなるからこそ、ちょっとした手数料の違いにも気をつけたいところです。
2. 保険商品
通常の保険のような「死亡保障」や「入院保障」などはいっさいありません。
保険を使った積立商品です。
利率も低く、長期間運用するには向かない商品です。
3. 定期預金(元本確保型商品)
iDeCoでは3,000円弱の初期費用と、安い金融機関でも毎月171円程度の口座管理手数料がかかります。
NISAと違って、投資を継続するだけでも手数料がかかるのです。
定期預金では手数料負けしてしまい、実質的に元本が減ってしまうことになります。
外国株式インデックスファンドへの長期投資が1番の選択肢
NISAなどと違い、iDeCoや企業型DCでは、よりリスクをとった投資戦略が良いでしょう。
つまり最も大きなリターンが見込まれる商品へ投資することがおすすめとなります。
理由は、
「60歳までは引き出しできない=60歳までは運用を続けないといけない」
からです。
運用が長期になればなるほど、大きなリターンが見込める商品へ投資するのが最適と考えます。
特に米国、全世界の株式であれば過去15年以上の運用期間があればマイナスにならなかったというデータもあります。
また、債券やREIT(不動産)、コモディティなど他のアセットクラスと比較しても、株式が長期的に1番成長しているという結果も出ています。
つまり株式に投資することが、長期で見れば1番リターンが期待できる投資になるのです。
もちろん、過去のことが将来にも同様に起こるとは限りません。
ですが、現時点で1番大きなリターンが期待できるのは株式だということは間違いないでしょう。
短期的なリスク(値動き)は大きくなりますが、途中で引き出すことはできないのがiDeCo・企業型DCです。
60歳まで現金化できないというデメリットが、逆に運用を続けざるをえないというメリットに変わるのではないでしょうか。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)