このところ、マイナンバーカードの自主返納に関する話題が多く報道されています。
セキュリティーへの不安や、利用と管理を懸念する声が聞こえてきますが、果たして自主返納は得策なのでしょうか。
そこで今回は、マイナンバーカードの基礎知識を再確認し、自主返納したときのデメリットを検証してみました。
目次
基礎知識1 返納しても個人情報とのひも付けは残る
私たちが最も心配するのは、個人情報の流出です。
しかし、たとえ返納しても個人情報とのひも付けは残ります。
ではマイナンバーカードには、どんな情報がくみこまれているのでしょうか。
基礎知識2 年金や税金、医療情報は入っていない
マイナンバーカードのICチップには、国民1人1人に割り当てられた12桁の番号のマイナンバーと顔写真のデータに加えて、氏名・住所・生年月日・性別の基本4情報と電子証明書、住民票コードが記録されています。
けれども年金や医療、税といった個人情報は、記録されていません。
返納のデメリット1 再発行にはお金がかかる
いったん返納すると、再発行には手数料がかかります。
マイナンバーカードの発行は800円、電子証明書も同時に手続きする場合は、プラス200円が必要になります。
返納のデメリット2 健康保険証はマイナ保険証へ一本化
2024年秋には、今の健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化する方針で国は動いています。
マイナンバーカードを持たない人には、健康保険証の代わりとなる「資格確認書」を交付する方向で検討されています。
自動的に送付する形となるのか、自己申請か、費用は必要なのか、期限は?など詳細は審議中、確定していません。
返納のデメリット3 紐付けられた個人情報が簡単に確認できない
専用サイトの「マイナポータル」の「わたしの情報について」というページでは、
・ 健康・医療
・ 税・所得・口座情報
・ 年金関係
・ 子ども・子育て
・ 世帯情報
・福祉・介護
・ 雇用保険・労災
といった、ご自身の情報が閲覧できます。
ところがマイナポータルは、マイナンバーカードを利用して本人確認を行うため、返納するとマイナポータルが利用できなくなります。
ご自身の個人情報とマイナンバーのひも付けが正しいかどうか、最も重要な確認事項がウエブサイトから簡単に…というわけにはいかなくなります。
返納のデメリット4 役所に出向く手間が増える
さらに、マイナポータルからは次のような外部サイトにアクセスし、スムーズに利用ができますが、それらの機能も使用できないことになります。
・ 国税庁 国税電子申告・納税システム(e-Tax)
・ 国税庁 公売電子入札
・ 日本年金機構 ねんきんネット
・ 総務省 電波利用 電子申請・届出システムLite
・ 厚生労働省 求職者マイページ(ハローワークインターネットサービス)
・ 厚生労働省 マイジョブ・カード
・ 日本郵便 MyPost
・ 野村総合研究所 e-私書箱
・ シフトセブンコンサルティング ふるさと納税e-Tax連携サービス
参照:マイナポータル
マイナポータルが使えなくなることで、不便になると思われる日常的なサービスは、次のようなものが考えられます。
・ 国民年金の保険料の免除・猶予、国民年金への切り替え
・ 引っ越しの際の転出届の提出
・ パスポートの取得や更新の手続き
・ 年金記録の確認
・ 住民税や所得に関する情報などの閲覧
・ コンビニなどで住民票の写しなどの証明書の交付
今後の動きに注目を
マイナンバーカードは便利である一方で、プライバシーが守られているのかは誰しもが気になるところです。
まずはご自身の登録情報が正しいか、マイナポータルから確かめておきましょう。
確認する方法は、こちらを参考にしてください。
万が一間違った情報が登録されていた場合は、国民向けマイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)もしくは、ご自身が加入されている医療保険の保険者にご連絡ください。
マイナ保険証の動向も含めて、今後の情報に注目していきましょう。
なお、記事は2023年7月18日現在の情報を基に構成しています。(執筆者:FP2級 吉田 りょう)