クレジットカードは、ステータスより実益の時代です。
プラチナカード等グレードの高いカードも、還元率を重視して選んだほうがいいでしょう。
年会費無料で使えるゴールドカードのパフォーマンスが目立ちます。
それでも還元率が高く、年会費を十分取り返せるプラチナカードも存在します。
実益特化型プラチナカードを3種類ご紹介します。
目次
実益に強いプラチナカード
プラチナカードの「ステータス」については、この記事では無視してしまいます。
いっぽうでプラチナカード付帯のサービスに金銭的価値を感じる人もいるでしょう。
具体的には次の項目です。
・ 海外旅行傷害保険(特に未成年の子供に適用される家族特約の大きさ)
・ プライオリティ・パス
・ レストラン1名無料
・ コンシェルジュ
ですが、これらの価値についても考慮しません。
あくまでも、次の数値が高いカードをピックアップします。
年会費無料のゴールドカードと勝負になるプラチナカードを紹介します。
還元率が高く、年会費が安いプラチナカードを探そう
年会費無料で使えるゴールドカードが流行っています。次のものです。
・ エポスゴールドカード
・ 三井住友ゴールド(NL)※Oliveフレキシブルペイゴールドも同様
・ SAISON Gold Premium
エポスゴールドはインビテーションまたは年間50万円の利用で、その他の2枚は年間100万円利用で年会費永年無料となります。
エポスゴールドと三井住友ゴールド(NL)は、年間100万円利用で還元率1.5%です。
年会費無料で使えるなら、これらのカードは実益の点で圧倒的な存在です。
こういったゴールドカードに実益で勝とうとする場合、次の双方を満たすプラチナカードを探す必要があります。
・ 年会費が比較的安価
・ 年間ボーナスが大きく、実還元率が高い(年会費の出費を取り返せる)
高いステータスを求める発想とは相容れないものだという点、理解しておきましょう。
(1) ジャックスカードプラチナ
年会費:2万2,000円
還元率:最大2.0%
その他特典:年間300万円利用で、Jデポ1万円分
還元率をさらに上げる方法:なし
ジャックスカードプラチナは、入会初年度は還元率1.5%です。
年間(1月1日から12月31日)300万円利用すると、ポイントボーナスにより翌年の還元率が2.0%となります。
年間300万円の利用の場合、合わせて請求値引き特典である「Jデポ」1万円分がもらえるので、これを便宜上年会費から控除し、1万2,000円と考えることにします。
1万2,000円の年会費を考慮した修正還元率を出すと、次の計算式となります。
(<300万>×<2.0%>−<12,000>)/<300万>=1.6%
年間300万円利用を前提にした場合、年会費を考慮したジャックスカードプラチナの修正還元率は1.6%ですから、優秀です。
ジャックスの欠点としては、チャージでポイント対象となるのがモバイルSuica程度の点です。
モバイルSuicaは利用時ポイントはない(Wポイントにはならない)ため、これ以上ポイントを増やす手段はほぼありません。
そして年間300万円を超えて使うと、これ以上のボーナスはもうないため、修正後の還元率はどんどん下がっていきます。
(2) 三井住友カード・プラチナプリファード
年会費:3万3,000円
還元率:最大2.0%
還元率をさらに上げる方法:特約店多数
三井住友カードでは、従来型の年会費の高いプラチナ、ゴールドも引き続き発行していますが、主流は完全に還元率重視のラインナップに変わりました。
プラチナの主流も、新タイプのプラチナプリファードです。
三井住友銀行一体型のOliveフレキシブルペイプラチナプリファードもほぼ同様です。
年会費3万3,000円と比較的安価な年会費です。
一般的な三井住友カードの場合には年会費を安くできる仕組みがあるのですが、プラチナプリファードにはありません。
通常還元率は1.0%で、一般的な三井住友カードの倍です。
そしてポイントボーナスがあります。「利用額100万円ごとに1万円相当」です(最大4万円)。
つまり、100万円のちょうどいい区切りで終えると、還元率2.0%です。
プラチナプリファードの場合、年間400万円使うのが最も高率となります。
「1年間」の区切りは入会時により異なる点、親切です。
年間400万円利用時のプラチナプリファードの修正還元率は、次の通りです。
(<400万>×<2.0%>−<33,000)/<400万>=1.175%
数字だけ見ると、年間100万円利用時の三井住友ゴールド(NL)に負けていますが、プラチナプリファードの場合ポイントアップの特約店が数多くあります。次のとおり(一例)です。
カッコ内は、上乗せされる還元率です。
・ 三井住友カード共通・タッチ決済による最大18.0%
・ Expedia(9.0%)
・ Hotels.com(9.0%)
・ 一休.com(6.0%)
・ さとふる(4.0%)
・ ふるなび(4.0%)
・ タクシーアプリGo(4.0%)
・ ETC(2.0%)
・ 阪急・阪神百貨店(2.0%)
・ スターバックス(1.0%
・ ファーストキッチン(1.0%)
・ PRONTO(1.0%)
・ モスバーガー(1.0%)
・ スーパー、ドラッグストア多数(1.0%)
三井住友カード共通のタッチ決済最大18.0%店舗は関連記事をご参照ください。
プラチナプリファードに限り差し込み決済でも還元がありますが、スマホタッチ決済が最も有利です。
これ以外は、プラチナプリファード独自の特約店です。
工夫すれば、実還元率はかなり上がるでしょう。
三井住友カードの弱点としてチャージにはあまり強くなく、Wポイントでポイントを上乗せする方法はありません。モバイルSuicaチャージもポイント対象外です。
プラチナプリファードはVISAブランドのため、au PAYへのチャージもできません。
LINE Pay(ポイント上乗せはない)を使えるのは三井住友VISAカードのメリットです。
(3) エポスプラチナカード
年会費:2万円(条件あり)
還元率:基本0.5%だがボーナス多数
還元率をさらに上げる方法:選べるポイントアップショップ/au PAY、楽天Edy等チャージ
エポスプラチナカードは、年会費3万円のカードですが、ほとんどの人は2万円で使えるはずです。
エポスゴールドカードからのインビテーションで、またはエポスプラチナを一度年間100万円使うことで、この年会費になります。
基本還元率は低いものの、次の通りポイントアップの方法が多数あり、実還元率は大きなものです。
・ 誕生月はポイント倍
・ 年間利用額に応じてボーナスポイント
・ ファミリーボーナス(最高額は6,000ポイント)
・ 選べるポイントアップショップ(任意の3店舗についてポイント3倍)
年間300万円のうち、毎月23万円、誕生月は47万円使う設定にします。
年間利用額に伴うエポスプラチナカードのボーナス最高額は、「1,500万円使って10万ポイント」もらえるというものですが、金額が上がるに連れ、ボーナスの効果は目減りしていきます。
他のプラチナと同程度のラインを探り、年間利用額「300万円」の設定(ボーナス4万ポイント)とします。
この上の意味ある年間利用額は、500万円です。
エポスの場合は家族をゴールドカードに招待できます。
仮にこの家族のゴールドカードが年間利用0円だとしても、家族で300万円以上なので最高額のファミリーボーナス6,000ポイントが付きます。
最後に、選べるポイントアップショップに特定のお店を最大3店舗登録すると、ポイント3倍です。
ポイントを稼ぎやすい、公共料金を3店舗合計50万円使うものとしてみます。
すると、年間のポイントは次の通りです。
・ 通常ポイント … 1万5,000円(300万円×0.5%)
・ 誕生月の付加 … 1,200円(24万円×0.5%)
・ 年間利用額ボーナス … 4万円
・ ファミリーボーナス … 6,000円
・ 選べるポイントアップショップ付加 … 5,000円(50万円×1.0%)
合計は、6万7,200円です。
これを計算式に当てはめます。
(<6万7,200円>−<2万)/<300万>=1.57%
なかなかいい数字が出ました。なお、誕生月の「ポイント倍」効果はそれほど高くありません。
エポスゴールドカードで年間100万円使っている場合と、引けを取らない数字が出ています。
年間300万円利用する人なら、年会費を取り返してなお十分だと考えていいでしょう。
エポスはチャージに強く、電子マネーの楽天EdyやQRコード決済のau PAYへのチャージに通常ポイントが付き、年間利用額にも加算してもらえます。
これらを利用するとさらに数字が出ます。
残念ながら、選べるポイントアップショップからモバイルSuicaが2023年9月より外れてしまいます。
一部のプラチナカードなら、年会費を考慮しても高い還元率が出る
還元率の観点から、プラチナカードを3種類見てきました。
次の点に気を付ければ、年会費を支払ってもなお高い還元率が得られます。
・ 年間利用額に注意(100万円単位で損得が大きく変わる)
・ 年間利用額が高くないと、還元も大きくない
・ 電子マネーへのチャージ等でさらに還元率が上がる場合もある
ハイグレードのカードも、一度ステータスとは違う観点からチェックして、日ごろの実力を確かめるのがおすすめです。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)