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長期・積立・分散投資は、なぜ投資の鉄則なのか

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長期・積立・分散投資は、なぜ投資の鉄則なのか

「長期・積立・分散投資」は、最近よく見聞きする言葉ですが、特に、新NISA制度を発表した頃から顕著になってきています。

ここでは、なぜ、これが投資をする上での常識的な手法なのか、それらの3つの項目ごとにその理由について深堀してみます。

投資の鉄則 お教えします

初心者でも始めやすい「長期投資」

長期投資は、株式・投資信託・債券などの金融商品を購入した後、長期間に亘って保有し続けるバイ・アンド・ホールド手法です。

短期投資は、株式銘柄やFX通貨などを数秒から一週間程度の短期間で売買を繰り返す手法が代表的です。

それぞれの運用期間については、特に定義されている訳ではないので、一般的に長期が10年~くらいの期間をイメージすると良いです。

その他、長期投資の手法でも1年以内の取引については、短期投資としている金融機関もありますが、これも明確な定義はありません。

長期投資のメリット・デメリット

ここでは、長期投資が鉄則である理由について、教科書的ですが長所・短所について短期投資と比較して触れてみます。

(1) 日々の値動きに一喜一憂する必要がない

長期投資は、金融商品を一度購入したら長い期間保有するので、短期投資に比べ時間と労力を余りかけずに済む

このため、この手法はストレスなく穏やかに投資と向き合えるとともに、投資に時間を割けない人向けです。

(2) テクニカ分析やチャート分析など細かな専門的知識が要らない

これは、デイトレードやスイングといった取引手法を駆使する短期投資と異なり、長期投資は、国や地域の経済や為替・金利および企業業績や財務状況などを表す指標(ファンダメンタルズ)などを理解できればより効果的な投資も可能です。

(3) 複利効果が期待できる

複利は、特に相場が上昇トレンドの場合、得た利益を再投資することでその効果が期待できます

たとえば、投資信託の場合、分配金を再投資すれば、次回の分配金は、(既投資額+分配金)を基に計算(口数が増える)されるので、投資期間が長ければ長いほど、雪だるま式に投資資金が増えるしくみです。

(4) 低コストと低リスク

株式に関わるコストは、売買を繰り返す短期投資とくらべ、取引回数が少ない長期投資は取引にかかわるコストが大幅に抑えられます。

投資信託については、販売手数料や信託報酬(運用管理費用)などのコストがあります

このうち、新NISAの「つみたて投資枠」やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの金融制度を利用すると、購入時の販売手数料は原則無料(ノーロード)なので負担がありません。

しかし、信託報酬や監査費用などの運用中のコストについては、基準価格から毎日差引かれますが、つみたてNISAの場合、毎年1月に信託報酬等を負担したコストの概算額を書面等で知ることができます。

下の図は、ファンドに掛かるコストのうち、金額が大きい信託報酬を含めた場合の基準価額の目減り額を表したものです。

比較を容易にするため、インデックスファンド(料率0.5%と仮定)、アクティブファンド(料率1.5%と仮定)の基準価額を百万円、20年間一定額として推移をみると、信託報酬はコスト料率によってそれぞれ大きく違います

運用期間中にかかるコストは、たとえ低率でも積上げれば結構な金額となるので、ファンド選びの際は、負担費用を意識して、より低コストの商品を選ぶ価値は十分にあります

基準価格の目減り推移

資産運用におけるリスクとは、金融商品の価格および為替や金利などの変動幅(バラツキ)のことで、標準偏差で表すことができます。

たとえば、株価を例にすると、値動きが激しいほど値上がり幅と値下がり幅が大きくなります

そのためリスクは「負」だけでなく、「正」も存在しています。

(5) ローリスクゆえのローリターン

リターンとは投資を行うことで得る利益のことですが、低リスクは長期投資の利点でもあります。

それと反対に高いリターンは期待できないのが一般的です。

これは主に投資信託の分散投資や積立投資において当てはまります。

過去から学ぶしかありません

過去(株価トレンド)の値動きから先を読む

将来の相場は、過去の推移から未来を予測するに過ぎないので、過去から学ぶしかありません。

下の図のように、両国の株価動向を俯瞰すると、米国の株価は右肩上がりの傾向にあり、日本は、バブル期の異常な株高を除けば、ほぼ同じ値動きの傾向を示しています。

これは、日本やアメリカに限らず、世界的に見ても、取引高や市場規模等は異なりますが、国の経済成長に比例してほぼ同じ上昇トレンドとなっています。

短期投資は、一般的に専門知識を基に、直近の株価の値動きを見て先を予測し、短時間で投資判断します。

これに対し、長期投資は、株式の場合、過去の株価の値動き、および投資信託の場合、S&P500インデックスファンドや世界株式ファンドに代表される優秀ファンドなどの基準価額の上昇トレンドから、それぞれ先を予測して運用を行うというイメージです。

日経平均株価とダウ平均株価の推移

「積立投資」で中程度のリターンを目指す

積立投資は、時間分散によるリスクの軽減を目的としており、「ドルコスト平均法」の安定した運用効果が期待できます。

ドルコスト平均法とは、毎月一定の金額を継続して購入する方法のことで、株式や投資信託などを一定の金額で買付けるため、株価や基準価額が低い時、買付けできる株数・口数が増えます。

その反面、高い時は株数・口数が減少します。

これによって、この方法は、積立期間が長いほど購入価格が平均化されるため、値動きの幅が短期投資と比べより小さく、相場の変動リスクが低減される効果があります。

たとえば、投資信託の「積立」と「一括購入」を投資期間、一括購入額、累計積立額をそれぞれ等しくした条件で比較すると

・相場が右肩上がりのパターンでは、両パターンとも利益ですが、

利益は「積立」より「一括購入」の方が多くでます

・相場が右肩下がりのパターンでは、両パターンとも損失ですが、

損失は「一括購入」より「積立」の方が少なく済みます

今のような株高の状況においては、株価を高値掴みするリスクも十分に考えられるので、この積立投資は最適な方法といえます。

「分散投資」は投資の基本!

分散投資は、リスクを分散するための投資の基本的な考え方です。

「卵は一つのカゴに入れてはいけない」という諺があります。

これは、一つのカゴを落とした場合、全部の卵が割れる損失を被りますが、卵を複数のカゴに入れておけば万一の場合でも全ての卵が割れるリスクは回避されるという意味で使われています。

分散投資の方法には、資産カテゴリー別の分散と銘柄別の分散、またはその両方もあります。、

分散投資の代表的な金融商品は、投資信託とETF(上場投資信託)です。

たとえば、国内株式ファンドの場合は、100を超える銘柄を組入れるファンドや国内株式、先進国債券、先進国株式などの資産カテゴリー(資産クラス)を組み合わせたファンドもあります。

日経平均は、今年の2月22日にバブル期に付けた最高値(3万8,915円)を超えました。

ただ、これから先の相場の方向性を正しく読むのは、そう簡単ではありません。

投資の初心者は、株式相場の直接的な影響を受けない投資信託の「長期」「積立」「分散投資」からスタートすることがおすすめです。

《小林 仁志》
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小林 仁志

執筆者:CFP、1級FP技能士 小林 仁志 小林 仁志

オフィスアセットポート 代表 山梨県生まれ。電器メーカーに入社後本社および米国・シンガポール・マレーシア等の事業所に勤務。在職中は財務経理を中心に総務人事・経営戦略・内部監査等の職種を経験したほか、同社の子会社監査役を務め2011年退任、2012年4月より独立系FPとして事業活動を開始。専門分野においては、特に団塊世代の年金・医療保険・税金等のリタイアメントプランや旅行とお金のプラン、住宅ローンや保険の見直し、株式・投資信託等の資産運用など。 <保有資格>:CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、総合旅行業務取扱管理者、登録ロングステイアドバイザー(ロングステイ財団)、他 寄稿者にメッセージを送る

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