もめ事が起きる原因には,いろいろあります。相手方や第三者から見たら,その行為がどのように受け取られるか,という視点が欠けていたために誤解を招き,証拠がないので誤解が解けない,というケースが時々あります。

「李下に冠を正さず」と言いますね。

  訴訟になって,「自分はこういう考えに基づいて,正当なことをしたまでだ」と主張しても,相手方の誤解が解けないくらいなわけですから,裁判官から見ても,言い分が本当かどうかわかりません。

  1つ,例を挙げてみましょう。親の介護や世話をしていた相続人Aと,介護や世話をしていなかった相続人Bがいたとしましょう。

  このようなケースでは,Aが親名義の預貯金を管理し,お金の出し入れを任されていたりします。Aが親名義の口座からお金を引き出し,親の生活費などに使っていきます。親が亡くなった後,預貯金をどう分けるか,という段階に至って,Bが次のように言います。

「本当に親のために使ったのか。明細を出してくれ」

  このパターンはよくありますが,厄介です。親のために使った以外に,Aが自分の懐に親のお金を入れていることがあります。

Aの言い分
  「親の面倒をよく見たことについて親が感謝してくれ,自分にお金をくれたものである」
Bの言い分
  「親の金をごまかして懐に入れたのであろう。けしからん」

  親が良かれと思ってしたことが,紛争の種になります。親が生きていれば,どちらが正しいのか,親が裁定を下すことができますが,相続で揉めている時点では,親は亡くなっています。「死人に口なし」的な主張が出てきたりすることもあります。

  遺言書があれば,防げる紛争です。