(昨日のコラムhttp://manetatsu.com/2012/12/7788/  のつづき)


 自己破産で負債をなくせない場合(免責不許可事由)の具体例を教えてください。


主なものは以下のとおりです。

(1)浪費
  多重債務者の方には、収入の範囲で払っていけるのか、利率が何%か、完済までにいくらの利息を払わなければならないか、といったことに無頓着な方がおられます。

  「カードが使えるから使う」といった感じで、高額な買い物などを重ねる方もおられます。カードが使えるからといって、カードを使ってもよいとは限りません。借金を重ね、収入に見合わないお金の使い方をした場合、程度が著しい場合には免責にならないことがあります。

(2)ギャンブル
  借りた金でギャンブルをし、勝てばそれでよく、負けたら自己破産ということは許されません。 多いのはパチンコです。株式投資やFX等で、損を取り返そうとして借金を重ねてお金をつぎ込む方もおられます。

(3)一部の債権者だけに支払う
  親族・知人・勤務先などからも借りている場合、「迷惑はかけられない」と考えるのが人情かもしれません。しかし、貸金業者でも親族等でも、お金を貸している債権者という立場に違いはありません。

  支払困難な状態なのに、親族など一部の債権者だけに支払い、他の債務だけなくしてしまうのでは、債権者間で不公平が起きます。そのため、このような場合にはすんなり免責されません。 

  自己破産する場合は、個人の債権者も含めたすべての負債について、返済を止め、免責していくことになります。勤務先から借入をし、給与天引きで返済している方の場合は、弁護士が勤務先に連絡して天引きを止めてもらいます。

  破産申立前のお金の流れは、裁判所がチェックします。
 
  借金で困っている親族、知人、自社の従業員にお金を貸すと、その後支払困難となっても自己破産を決意しづらくなり、かえって進退困難な状態になってしまうことがあります。借金で困っている方には、お金を貸すのではなく、弁護士に相談に行くように勧めるのがお互いのためです。

  援助を受ける際に借金の額を過少申告したり、完済後も借入を重ねたりするケースもよくありますので、注意が必要です。

(4)カードで購入した物をすぐ売却
  目先の支払いに困り、カードで貴金属や金券を購入してすぐ売却し、現金を作る方がおられます。購入代金より少ない現金しか手に入らないうえ、利息をつけて支払っていかねばならず、自分の首を絞める行為です。

  完済前に自己破産となると、カード会社は商品を引き上げようとしますが、売却しているため引き渡せません。他人(カード会社)の物を売却してお金を着服したことになります。「カードのショッピング枠の現金化」を謳う業者がいますが、絶対に利用してはいけません。

(5)財産を不当に減少させる行為
  自己破産するような状況で、財産を不当に減らすようなことをすれば、債権者は迷惑します。

  多重債務を負った状態で、退職金などのお金が入り、これを浪費する方がおられます。退職金などの使途は、自己破産申立の際、裁判所に報告する必要があります。
 
  親などが亡くなり、多額の負債を負った方が遺産の相続人となるケースも時々あります。自己破産するような状況なのに、遺産を気前よく他の相続人に取得させる遺産分割協議をしてしまうと、債権者は遺産から債権回収できなくなってしまうため、問題です。

  このような場合は、亡くなったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所で「相続放棄」の手続をしたうえで破産申立をすれば、問題視されません。同じ「遺産はいらない」ということでも、遺産分割協議という形をとるのと,相続放棄という形をとるのとでは、破産手続上の扱いが違います。

(6)財産の隠匿
  自分の財産を隠して裁判所に報告せず、借金だけをなくそうとしたことが発覚した場合も、免責が受けられなくなることがあります。破産管財人が選任されるケースでは、破産者宛の郵便物がすべて破産管財人に転送されます。郵便物から、財産が発覚することがあります。

(7)二度目の自己破産
  一度自己破産をした後、7年以内にまた自己破産をする場合、原則として免責されません。たまにですが、二度目の方にお目にかかります。隠していても発覚します。

  他にもありますが,割愛します。