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住宅ローンの繰上げ返済、それでもしますか? 6つのデメリット

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住宅ローンの繰上げ返済、それでもしますか? 6つのデメリット

  よく、住宅ローンの繰上げ返済をすると何百万円も利息が削減できます、あるいは繰上げ返済は確実な資産運用です、といったことを聞きます。余裕資金ができたら本当に繰上げ返済するべきなのでしょうか。

  住宅ローンの繰上げ返済のメリットには、この利息総額の削減効果、返済期間の短縮、毎月の返済額の削減、あとは借金が少なくなるという精神的負担感の軽減効果などがあります。

  しかし、繰上げ返済にはメリットばかりではなく以下のようなデメリットもあります。近年は低金利が続いていますので住宅ローンの金利も低いことと思われます。そもそも金利が低いほど利息総額の削減効果は少なくなります。ここでは相対的に低金利で固定金利の住宅ローンという前提で話を進めていきます。

住宅ローン繰上げ返済のデメリット

(1)住宅ローン控除にかかる問題

  住宅ローン控除を受けられている方は概ね住宅ローン残高の0.5%~1.0%相当額の税額控除を受けていますので、その控除期間中は控除対象金額については実質的に0.5%~1.0%低い金利で住宅ローンを借りることができているということです。

  繰上げ返済をしてしまいますと住宅ローン残高が減りますので、その金額についてはこのメリットを受けられなくなってしまいます。

(2)キャッシュフロー上の問題

  余裕資金を繰上げ返済に回してしまいますとケガや病気など急な出費が必要になった場合や収入が減った場合に対応に困ることになります。別途ローンを組もうとすると概して住宅ローンよりも金利は高くなります。また、万一失職してしまった場合には新たにローンも組めなくなる可能性もあります。

(3)金利が上昇したときの問題

  将来金利が上昇してきて元本保証の金融商品の利率(税引後)が借りている住宅ローンの金利より高くなるかもしれません。このとき繰上げ返済せずに余裕資金を残しておけば、余裕資金を運用して繰上げ返済による利息削減額よりも多い運用益を得られる可能性があります。

(4)資産運用ができない問題

  資産を増やしていくためには多少のリスクを取って株式や債券等に投資をしていくことも必要です。余裕資金がないとこの投資をすることができません。投資の能力を高めるには机上の勉強だけでなく、投資を実践することも重要です。

  また、長期に投資した方が複利効果で資産も増えていくことが期待できます。住宅ローンを完済してからでは投資の勉強期間も運用期間も短くなってしまいます。

(5)万一の場合の問題

  住宅ローンを組んでいる方はローンの条件として団体信用生命保険(団信)に加入している方が多いと思います。団信は住宅ローンの返済中にローン契約者が万一死亡又は高度障害になった場合、ローン残高に相当する保険金が債権者である金融機関に支払われローンが完済されるという保険です。

  繰上げ返済をせずに余裕資金を残しておけば上記の万一の場合、ローンが完済されてその余裕資金は手元に残ります。しかし、繰上げ返済をして余裕資金がない状態で万一の場合が起きるとローンは完済されますが、余裕資金は手元に残りません。

(6)インフレになったときの問題

  将来もしインフレになって、たとえば物価が今の2倍になりますと給料もいずれ2倍になります。一方、インフレになっても住宅ローンの元金が増えることはありませんし、金利も固定金利なら増えません。給料に占める住宅ローンの返済額の負担割合は半分になります。

  極端な話、コーヒー1杯が1,000万円になったら2,000万円の住宅ローンは無いも同然となるということです。繰上げ返済しなければその間余裕資金でインフレに強い資産に投資することで資産形成ができます。

  住宅ローンの繰上げ返済はこれらのデメリットを考慮して慎重に検討することをおすすめします。




《犬山 忠宏》
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犬山 忠宏

犬山 忠宏

犬山忠宏税理士事務所/FPオフィスp.1 代表 神奈川県出身 昭和34年生まれ。明治大学経営学部卒業後、製造業の企業に経理職を中心に30年勤務。2012年に早期退職し、税理士、ファイナンシャル・プランナーとして独立開業。「お金と税金について知ること」をお手伝いして皆さんの人生を少しでも豊かにすることを目標に活動しています。 <保有資格>: 税理士、CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、マンション管理士 寄稿者にメッセージを送る

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