5月23日の株価急落以降、アベノミクス相場に対する動揺が続いています。日経平均株価は、株高の起点となった昨年11月からの約6カ月間で約84%上昇後、5月23日から6月6日までの11営業日で約19%下落しました。

  こうした状況を受けて、新聞やテレビなどのメディアでは、アベノミクスに対する限界や不安を煽るような論調が大きくなっていますが、私は「株式相場と現実との関係を理解すれば、現在の調整局面で日本株は買える」と判断しています。

より長期的な視点での株価の水準訂正に意識を向けることが大事

  さて、最初に押さえて頂きたいのは「株式相場は将来に対する期待を先取りする形で動くため、現実のファンダメンタルズとのギャップやタイムラグが存在する」ということです。そのため、株価は短期的には売りと買いの力関係である需給に左右されますが、中長期的にはファンダメンタルズを反映したフェアバリューが形成されると言えます。

  したがって、アベノミクス相場が期待先行なのは至極当然であると同時に、今回のような株価急落を、現時点でのアベノミクスの成果の有無に結びつける見方は正しいとは言えません。

  アベノミクスの最終的な成否は事の成り行きを見守る必要がありますが、既に大幅な円安による企業マインドの好転や地価の反転、大手企業の夏のボーナスが過去2番目の伸び率となる見通しであるなど、成果は出てきています。

  また、アベノミクスのような大きな構造改革が見込まれる時には、景気循環的な株価の変化率から、より長期的な視点での株価の水準訂正に意識を向けることが大事になります。

  一方、需給面からみると、今回の株価急落の売り主体はマクロ系やCTA(商品投資顧問)などの海外ヘッジファンドや個人の信用取引とみられています。

  相場急騰の牽引役であったヘッジファンドの利益確定の動きは自然なことであるほか、急落時の23日を含む先週の海外投資家の売買代金が小幅な売り越しにとどまったことから類推すると、年金など長期保有を前提とした海外投資家の買いが入っていると思われます。

  また、個人の信用取引は追証の発生による意図しない売却を迫られた可能性が高い一方で、押し目買いを入れる動きがあることなどを考慮すると、アベノミクスへの評価が変化したことによる株価下落ではないと推測されます。

東証1部平均PERが15倍台に低下し、投資タイミングは近づいている

  今後は、日銀による長期金利のコントロールや欧米の経済状況に注意を払う必要はあるものの、5月23日以降の調整で東証1部平均のPERは15倍台に低下しており、投資タイミングは近づいているとみています。

  株価急落を先導している株価指数先物との関連から投資タイミングを予想すると、株価指数先物・オプション取引の影響が軽減する6月14日の清算日(SQ)以降で、先物とオプションの価格から将来の株価変動を想定する日経平均ボラティリティ・インデックスが、現在の41台から30以下に低下した時がひとつの目安となるでしょう。

  ただ、今後は投資テーマで一斉に買われるという相場ではなく、7月下旬から本格化する4~6月期決算発表が近づくにつれて、個別企業の業績の上方修正などにフォーカスした業績相場へ移行していくと予想されます。