海外の長期プロ投資家は冷静に日本株の保有高を増やしている

  アベノミクス相場でこれまで10兆円超を買い越した外国人投資家の動向(2012/9末~2013/6/25 米ファクトセット調査)をみると、米国を筆頭に英国、ノルウェーの機関投資家が上位を占め、年金基金や政府系ファンドなどの長期マネーが主体であることがわかります。

  昨年11月以降、日本株市場は海外ヘッジファンドに代表される短期資金に振り回されてきた感がありますが、ファンダメンタルズを重視する海外の長期プロ投資家が冷静に日本株の保有高を増やしていることは、個人投資家にとっても心強い限りです。

  このことは、株式の原理原則である「株価は短期的には売りと買いの力関係である需給に左右されるが、中長期的にはファンダメンタルズを反映したフェアバリューが形成される」という流れに繋がっていくとみています。

質の高い利益追求や合理的な資本配分は投資家に対する企業の使命

  したがって、日本株が今後も持続的に上昇していくには、投資家の期待通りに日本経済が成長していく必要があり、実行段階に入ったアベノミクスの早期実現が重要となります。

  具体的には、金融市場の参加者をただ刺激するような改革ではなく、企業が設備投資を増やし、家計が貯蓄を消費に回すような動きを後押しする政策であり、その柱は日銀によるデフレ脱却と政府主導の規制緩和だと思います。

  しかしながら、忘れてはならないことは「最終的なアベノミクスの成否は、コーポレートガバナンス(企業統治能力)の向上にかかっている」ということです。

  アベノミクスはあくまで側面的なサポートであり、経済を活性化させる主体は企業なのです。質の高い利益を追求し、合理的に資本を配分することは投資家に対する企業の使命です。

  キャッシュポジションが高く資産が有効活用されていなかったり、利益率が低すぎることなどは企業統治能力が劣っていると指摘されても致し方ありません。

  最近のオリンパスや西武ホールディングスの例から言えることは、海外の物言う株主は企業の統治能力向上を促すという意味では、必ずしも悪者ではありません。むしろ、日本の機関投資家である生命保険会社や銀行などがそうした指摘をせず、株主としての役割を果たしていないことが企業の収益力低下を招いているとも言えます。

  ファンダメンタルズを重視する海外の長期プロ投資家が企業に求める主たる指標はROE(自己資本利益率)であり、日本企業がこれらの投資家の期待に応えるためには、現在の平均的な6~7%のROEを10%以上にする努力は必要だと思われます。

  今後、個別株投資を行う際には、ROEが向上している企業に注目すると良いでしょう。