前回は中長期投資家にとっての良い会社の基準として,良好な財務内容,効率的な経営,売上・利益の増加が予想できること,業務内容がある程度わかることを挙げました。

  20世紀最大の投資アドバイザーであるベンジャミン・グレアムは言っております。「良い株や悪い株というのは存在しない。あるのは安い株と高い株だけである。」(賢明なる投資家)

  つまり良い会社の株式が常に良い投資対象となるわけではありません。当然株価との関連で判断すべきです。私ども個人投資家はプロの投資家と違って株価が高すぎて良い投資対象の会社がない場合は、じっくりと待つかあるいはその会社をあきらめることができるという特権を持っております。焦らなくても良いわけです。

  良い会社の中から どんな会社に投資したらよいかを以下のような基準で判断しております。

(1) 株価が利益水準に比べて妥当であること

  広く使われているPER(株価収益率)がベストな指標で、投資判断に大いに役立ちます。PER(倍)=株価/1株当たり純利益(今期予想ベース)同じ利益水準が続いた場合、何年で投資金額を回収できるかという考え方に基づいております。株価が利益水準に比べて割高か割安かを判断するのに役立ちます。

  ただ成長業種のPERは高くまた成熟業種のPER低く、業種によってかなり違いがあります。8月22日の日経によると東証1部全銘柄のPER(今期予想ベース)の平均は15.51倍です。基本的に15倍以下、成長業種でも20倍以下という基準を目安としております。

(2)株価が資産に比べて妥当であること

  PBRがわかりやすいと思います。PBR(倍)=株価/1株あたり純資産 株価が1株当たりの純資産に比べて何倍まで買われるかを知ることができます。

  例えば1倍以下なら、株価は仮にその会社を解散した時の解散価格を下回っていることになり資産価値から見て割安だろうという判断になります。東証1部全銘柄のPBRの平均は1.26倍ですが、ソフトバンクや楽天といった会社のPBRは5倍以上ですので単純に低いから割安、高いから割高とも言い切れません。

  無形資産が大半を占めるサービス・情報等を除く会社では2倍以下くらいを目途にしております。通常は業種内での比較といった参考程度に見ておりますが、株価が下落局面にある時に下値水準を判断する時に有効です

(3)配当金が株主にとって魅力的であること

  配当利回りが良い指標です。配当利回り(%)=1株当たり配当金/株価×100東証1部全銘柄の配当利回りの単純平均は1.72%です。配当利回りが低くて良い会社も多くありますが、一般には高い利回りが望ましいと言えます。

  なるべく1.5%以上を目途にしております。株価が低迷していても配当利回りが高ければ、それほどいらいらせずに長期間保有する気持ちになれるからです。

(4)市場から見て投資のタイミングがふさわしいこと

  「悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し幸福間の中で消えていく」という有名な相場の格言が示唆するように、大儲けをする一番のやり方は「市場全体が悲観・懐疑の時に買い、楽観・幸福の時に売る」ことなのでしょう。

  最近の例で言えば、2008年9月のリーマンショック後に経済的ダメージが顕在してきた翌年の前半くらいがベストな買い時期だったのです。ただめったにそういった機会はありません。せめて市場が過熱している時期を避けて、市場全体が弱気ムードになっている時期に買うことは十分可能です。

  万能なシグナルはありませんが、次のような指標を参考にしております。

・25日移動平均乖離率:
((当日の終値-25日移動平均値)÷25日移動平均値)×100
+5%以上で調整局面、-5%以下で反発局面という経験則があります。

・25日騰落レシオ:
(25日間の値上がり銘柄数の合計÷25日の値下がり銘柄数の合計)×100
130%以上が過熱、120%以上が買われ過ぎ、70%以下が売られ過ぎと言われております。

・RSI(Relative Strength Index 相対力指数):
(14日間の上げ幅の合計)÷(上げ幅の合計下げ幅の合計)×100
70%以上で買われ過ぎ、30%以下が売られ過ぎと言われております。

・サイコロジカルライン:
(12日間の中で前日比プラスの日数)÷(12日間の日数)×100
75%以上で買われ過ぎ、25%以下で売られ過ぎと言われております。