※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

年金が減る? 10月から始まる「払いすぎた年金の回収」の実情

コラム コラム
年金が減る? 10月から始まる「払いすぎた年金の回収」の実情

  10月分の年金から支給額が下がることをご存じでしょうか。ただ、10月分として支給されるのは12月に入ってからとなります。

  現在、支給されている公的年金は「完全自動物価スライド制」という仕組みで支払われております。あまり聞きなれない用語ではありますが、「完全自動物価スライド制」とは、物価の動きに合わせて年金の受取額を調整する仕組みのことです。つまり物価が上がれば同じだけ年金額を上げて↑、物価が下がれば同じだけ年金額も下がる↓ということです。

  年金相談を承っていると、年金が下がり続けているという印象をお持ちの方も多いのですか、それは年金の仕組みが改正されることが原因にあるのです。物価調整・支給開始年齢引上げなどの要因もありますが、後付の改正でなく、時代に合わせた根本的な改正が求められていると思います。

払いすぎた年金を回収する背景

  ただ、制度というものは、時として政治的な意図と思われるような出来事が起きるものです。当時、国民の反発を恐れた、政府が「高齢者への優遇政策」として、平成12年・13年・14年の3年間でありますが、年金の減額調整を凍結として、物価スライド特例措置を設けました。その当時は、物価は下落傾向であるにもかかわらず、年金を減額しないで支給されていたのです。

  3年の合計は 1.7% 〔内訳 1年目3% 2年目0.7% 3年目0.7%〕 

  その後の物価情勢の推移などを加算すると、現在の公的年金の支給水準は本来より「2.5%」も高くなってしまったのです。

  年金を受け取っている方にとって実感は無いでしょうが、現在支給されている年金は、過去、物価下落時に据え置かれてものであり、特例的に、本来支給する年金よりも高く受け取っているのです。【これを特例水準といいます。】

  そこで、払いすぎた年金を回収しょうとすることになったのが、今回の減額処置です。「2.5%」を解消する方法として、減額は3段階に分けて行われることになりました。

第一段階 2013年10月分から1%を減額
第二段階 2014年4月分から、さらに1%を減額
第三段階 2015年4月分からさらに0.5%を減額

  具体的には・・・。国民年金の支給額はいずれも月額で、基礎年金が満額を受け取っている人の場合ですと、666円引き下げられます。「月額で計算すると 64,875円」

  厚生年金は夫婦2人の標準的な世帯で、2349円引き下げられる。厚生年金のモデル世帯では「1万1800円」も振り込まれるお金が減る計算となります。

減額調整後に待っている「マクロ経済スライド」

  減額調整される方にとっては受け入れがたい話でありますが、これで終わりではないのです。解消後に待っているのが、平成16年改正で導入された「マクロ経済スライド」。現在は、物価スライド特例処置により実施されていないが、物価下落率の累積分が解消されるとスタートされるものである。

  年金支給額が本来の水準に戻る2015年度には、少子高齢化に応じて年金給付の伸びを自動的に抑制する「マクロ経済スライド」を発動する環境が整うことから今後の動きが気になるところだ。導入されると、年金額の増額が抑えられる形となり、実質的な価値が下がっていくことなることから、より一層の老後資産の準備が必要となりそうだ。

《村井 一則》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

村井 一則

村井 一則

ノーリエ合同会社 代表社員 北海道札幌市出身。理容師免許取得後サロン勤務・管理職・店舗経営を経て、2004年に訪問理美容の専門事業を展開。事業拡大に伴い2011年4月にノーリエ合同会社を設立。現在、福祉系FPの年金アドバイザーとして、老後の資産設計や介護に関する悩みをお持ちの方のご相談のサポートとして活躍。メール無料相談も実施中しておりますので困ったことがありましたらお気軽にお尋ねください。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集